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コラコラなひとびと~自然にやさしいローカル認証~ vol.1 花谷まゆ@石垣島

はじめまして、コラコラ(=coral collabo)事務局メンバーの花谷まゆです!これからコラコラの認証事業者さん(農・飲食・宿)を一組ずつ紹介する連載がスタートします。人に優しく環境にも優しい取り組みをされている事業者さんばかりですのでどうぞお楽しみに!今回の第一回目は、まずはコラコラがどのようにして始まったのかや、始めた理由についてご紹介させていただきます。

コラコラは2019年の5月に、農・飲食・宿の事業主が集まって、ローカル認証を作るために勉強会を開いたのが始まりです。ローカル認証のローカルというのは「その地域の」という意味があります。その地域の環境を考える大切さや、地域で作られたものを買う大切さ、地域の人々の暮らしを大切に想う心がローカル認証には集約されています。月1回のペースで勉強会を開き、ローカル認証の概要を学び、環境に優しい事業を行うためのガイドラインを自分達で作りました。

2023年10月現在、農・飲食・宿ごとに9つのガイドラインがあり、9つのうち3つ達成した事業者には紅型でできたコラコラ認証書をお渡ししています。事業者が作ったガイドラインには「へぇ~、こんな所に気を付けて事業してるんだ~!」とか「これは自分の生活でもマネできるかもしれない!」とか思っていただけるガイドラインがたくさんあると思いますので、ぜひホームページで見てみてくださいね♪

第4回コラコラ勉強会の様子

石垣島をはじめとする八重山諸島といえば、世界有数のサンゴ礁で有名です。しかし近年はこのサンゴ礁の衰退が進んでいて、その大きな原因の一つが実は私たちの生活圏である陸域にあります。生活排水の流入や農地からの赤土流出です。海洋生物の4分の1がサンゴ礁生態系によって支えられていると言われていますが、富栄養化した水の流入や太陽の光を遮断する赤土流出がサンゴの成長を阻害してしまいます。

石垣島のサンゴ礁

私自身もこの事実を知ったのは約5年前で、ハッとさせられました!石垣島に10年以上も住んで農業にも携わっていながら、サンゴや自然環境への負荷について考えたこともありませんでした。ただ毎日生活しているだけで、知らないうちに環境に負荷を与えてしまっている事や、それらを知らなかった自分自身に強い衝撃を受けました。そしてそれと同時に世界にはローカル認証を使って環境再生に取り組む事例がある事を知りました。

当時私は慣行農業から有機農業に農法を切り替えたばかりでしたが、それは食べ物が人に与える影響を考えなおすためでした。しかし陸域での生活が海域のサンゴ礁に与える影響の事を知って、有機農業は人にやさしいだけではなく自然環境を守る助けにもなり得るのではないかと考えました。

農業に限った事ではなく、どのような分野でも人にやさしい事と環境にやさしい事はイコールになり得て、この2つをローカル認証というツールを使って結びつけることで、あらゆる命を大切にできる仕組みが作れるのではないかと思い、友達と一緒に事業者に呼びかけて勉強会を始めました。この仕組みを通して、次世代の子どもたちに自然豊かな環境を残していけるといいな~と思っています。

石垣島の年配の方々から昔の話をよく聞きます。

「昔は海に行ったら貝や魚や海藻などいくらでも食べるものが手に入った」と。昔は海を汚す原因となるものがほとんどなかったのでしょう。陸域での自然環境が正常に保たれていれば、海域の自然環境も正常に保たれることに繋がります。

自然環境というのはまさに私たちを生かしている基盤そのものです。食を支えるのは自然環境で、自然環境が豊かである事が安定した社会を支え、安定した社会が経済活動を支えます。今一度このことについて考えなおす時代にきているのではと強く感じています。

現代は、地球上のみんなが普通に生活しているだけで、地球全体の自然環境は悪化の一途を辿っています。誰かを非難したい訳ではなく、そういう事実があるということです。でももし各地域に地域で作ったローカル認証があって、これに参加する人が増えたとしたら、普通に生活しているだけで、自然環境が再生されていく仕組みづくりができるかもしれません。

コラコラが目指す環境に優しい経済循環

そして石垣島なら、環境にやさしい取り組みのヒントは石垣島での昔の暮らしにあるのではないかと思います。島でとれる木材やさんご、葉っぱなどを使ってモノづくりをしたり、草木で染料を作って染物をしたり、海水とダイズで豆腐を作ったり、などなど。手間と時間はかかるけれどそれらは循環のなかでの営みで、自然環境の一部として生きることがもたらす精神的な豊かさは計り知れないものだったのではないかと想像します。(これは、私自身が有機農業を始めたことで想像できるようになったことでもあります)

花谷農園では有機農業に取り組んでいる

初年度7事業者でスタートしたコラコラ認証ですが、現在認証を受けている事業者は19組(農業6・飲食9・宿4)です。認証事業者が増え、コラコラ認証を持っている事業者の製品が選ばれて購入されることで自然が再生する経済循環が生まれることを期待しています。

今後は観光や、漁業、畜産、建設業など、様々な分野でガイドラインを作る事を目標にしています。ガイドラインは厳しい必要はありません。自分たちに出来る範囲で少しだけ違う方法を試してみる事や、現在地から最終地点まで視野を広げるという事が一番大切なことだと思っています。石垣島には、分野は違えど環境を大切に想う方がたくさん居ます。個人で頑張っている方々をコラコラ認証で繋いでいくことで、これまでにない人間関係やアイデアが生まれてくると感じています。

宿Amayuraさんのコラコラ認証書

さいごに、コラコラ認証は参加型認証です!認証を担保するのはコラコラ側ではなく市民(消費者)の皆さんです。認証事業者のお店に行ったり、認証事業者が開催するコラコラワークショップなどに行って、認証事業者の皆さんが実際に取り組んでいる事や、その想いをご自身で確かめてください。

また現在は「コラコラ会員大募集中!」です。コラコラ会員(年会費3500円)になると、コラコラ総会に参加する事ができるようになります。総会に参加して、八重山地域のみんなで一緒に地域の環境や社会の事を考えてみませんか。多くの方々のご参加お待ちしています!

R5年コラコラ総会 認証事業者Baraqueさんにて

コラコラHP
Coral Collabo|コラコラ<八重山の自然を守るローカル認証> (coracolla.wixsite.com)
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この記事を書いた人

花谷 まゆ
2008年石垣島に嫁ぎ、現在は夫婦で花谷農園を経営。
嫁ぎ先は大規模なゴーヤー農家で10年間は慣行農業をしていたが、息子の喘息をきっかけに慣行農業から有機農業に切り替える。現在無肥料栽培6年目。無肥料でも作物は作れるという事がわかってきて自然の偉大さを日々畑で体感しながら暮らしている。
食べ物を変えた事で息子の喘息も治まり、また栽培方法を変えた事で環境負荷が大幅に削減され、人に優しい農業は自然環境にも優しいという事を実感し、これは自然環境が最大の資源である石垣島にとっては大切な取り組みであると思い、有機農業の認知度をあげるべく日々の活動に取り組んでいる。
2019年 さんごにやさしい八重山ローカル認証「コラコラ(Coral Collabo)」に事務局として参加。


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