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スパイスを粉にするには
朝、唐突にカレーが食べたくなる。
その時我が家にはカレールーがなかったので、カレーのスパイスを石臼で挽くことにした。
クミンシードとコリアンダーシードをそれぞれ適当に石臼のくぼみにザラザラと入れた。
(我が家はタイの石臼を使っています)
電動ミルならあっという間なんだけどね、と思いながら、粒をひたすら石の棒で摩擦する。
最初は大きい粒だったのが徐々に徐々に細かくなっていき、
その間、強く立ち昇るクミンとコリアンダーシードの香り。
その香りを嗅ぎながら、
粒が石臼に擦られる様を想像し、手首や石棒をどう動かせば効率よく粉になるのか試行錯誤していた。
電動ミルを使っていたなら、想いを馳せなかったであろう場所へ。
これが遠回りだと思うか、道草と思って楽しむか。
私はこういう作業が結構好き。
昔の人が当たり前に暮らしていた暮らしを体験したい衝動。
どんな感じで身体を動かして、どんな気持ちでスパイスを挽いていたのかなぁ、なんて考えながら作業する。
そして、ただの自己満足なのだけど、
この前よりスパイスの香りが豊かなのはきっと、石臼で挽いたからだわ、とか、勝手にご機嫌になっちゃったりして。
自分の手間を加えるほど、
そのものに対する愛着が湧く不思議。
それに携わった自分に対する誇りも。
そこは他者との比較はなく、ただただ自己満足な世界。
最近、
自己満足でいいよなぁって思う。
この世には絶対的な正解と不正解が存在すると思っていた。
私はずっと、正解を探していた。
けれど、同じ物事でも、人によって見方は様々で、生き方にも正解はないんだと。
最近、すごく沁みた。
スパイスを電動ミルで挽いてもいいし、石臼で挽いてもいいし、そもそもカレールーで作ってももちろんいいわけです。
自分が満ち足りればいい。
大事なのは、自分がどう感じていたいか。
そのセンサーを常に働かせること。
思考停止だった私には少し難しいけれども、やってみます。
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