赤い服の琴弾きの青年とプペルと私。
リモートワークを続けていた11月のある日、共通の知人を通して知り合った人からメッセージが届いた。
「渋谷を盛り上げたい子がいて、応援したい。渋谷TSUTAYAさんを紹介してもらえませんか?」
詳しく聞いていくと、キングコング西野亮廣さんのエンタメ研究所というサロンに、彼も入っていて、その男の子もサロンで知り合った子で、先日公開された映画『えんとつ町のプペル』に関連している話らしい。
西野さんも登壇でいらしたことのある渋谷のブックカフェBOOK LAB TOKYOで以前店長をしていた私は、渋谷TSUTAYAの館長さんたちと面識があり、イベントもご一緒させていただいていた。
全貌の見えない申し出だったけれど、とりあえず面白そうな感じだけしたので、即座に清水館長にメールを送り、数日後の11月10日、久しぶりの渋谷に降り立つことになる。
メッセージをくれた伊賀さんと合流すると、赤いヨレヨレの着物みたいなものを身に付けた男の子が緊張した面持ちでヘラヘラしながら現れた。
お琴くんと名乗る彼の、みんなをワクワクさせるキラキラした眼差しに取り憑かれて、この日から影武者みたいに動く日々が始まる。
「あそこで流れるんすよ!?すごくないっすか!?僕も勇気を与えられる存在になりたいんすよ!!」
饒舌に語る日もあれば、
「自信ないっす。もうむりっす」 応援してくれる人、意見をくれる人、お琴くんのために言葉をくれる人たちの一言一言に一喜一憂し、音信不通になる。そして心配をかける。
サロンメンバーでも、西野さんの超絶ファンでもなかった私も、お琴くんやお琴くんを囲むサロンメンバーさんたちと、家族みたいになっていき(お母さんや伯父さん、お兄ちゃん、お姉ちゃんを周りに引き寄せておける彼の能力はスゴイと思う。)本人のいないメッセージグループが立ち上がったりして、だんだん、プペルと西野さんまで好きになってくる。
渋谷TSUTAYAさんで、限定表紙の「えんとつ町のプペル」を扱ってくださること、クラウドファンディングのリターンで集まった絵本を7階に展開してくださること、極め付けは西野さんご本人が配信してくださることが決まっていく。たくさんの方々が関わってくださり、ひとりの琴弾きの挑戦が、とてつもない大きい波をつくっていく。
「僕は渋谷TSUTAYAさんを全力で応援する。
今日から3日間、渋谷TSUTAYAさんで購入してください」
本を売る場所の意味を伝え、足を運んでもらう理由をつくる。心が震えた。
プペルから勇気をもらって立ち上がり、日本武道館で琴を演奏する未来を思い描くひとりの青年が、リスクを承知で、プランも立てずに巻き起こした、渋谷スクランブル交差点で映画『えんとつ町のプペル』の映像を流す挑戦は
私には「誰かをバカみたいに応援し、一緒に考えること」「自ら巻き込まれちゃった人たちとチームをつくり、一体感を味わえること」の楽しさを改めて感じさせてくれる時間になり、また、スクランブル交差点を渡る人たちの背中にそっと手を添えてくれるような、そんなあたたかい気持ちにさせてくれると信じたい。
渋谷に足を運べない遠方の方からも「お琴くんとプペルと渋谷の書店を応援したい」とご連絡をいただき、どうしたら良いか一緒に考えさせてもらったりもした。
お琴くんのnoteを読んできてくれた高校生3人組(さとし,そうた,ひかる)
12月24日、クリスマスイブ、そして映画公開前日。
実際にスクランブル交差点で映像が流れはじめた。
お琴くんをずっと励ましつづけ、誰よりも味方をし、撮影し、渋谷のラジオではMCの片鱗を見せた伊賀さん(ようちゃん)。
立て続けの無茶ぶりにかっこいいデザインと可動力で応えつづけた、高木 龍之介さん(りゅうちゃん)。
渋谷TSUTAYAさんではコミュニティもスタートしていて、NESTのメンバーに企画の相談もさせていただきました。
たくさんの人たちと、行動をともにできたこの1ヶ月半。
やっと明日、お琴くんに催促してお礼に、と半ば奪い取ったチケットで 映画『えんとつ町のプペル』を鑑賞してきます。
お琴くんの挑戦は、12月30日まで。あと2日。