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保存療法の「リハビリ」では何するの?【変形性股関節症からの脱出 第5回】
変形性股関節症の「治療」は、大きく分けると「手術」か「手術以外」の2つ。保存療法とは、「手術以外」の治療だ。
保存療法の中心は、理学療法士のマッサージ(施術)と運動療法(リハビリ指導)。
マッサージ(施術)はともかく、運動療法(リハビリ指導)はネットで検索して自分でもできるのではないか……。
最初、ぼくは「そう思って」いた。探せば、患者向けの親切な資料はある。たとえば……
日本理学療法士協会『理学療法ハンドブック シリーズ17 変形性股関節症』
「おしりの筋肉を鍛えましょう‐おしりの筋肉(大臀筋)は、股関節を守る大切な筋肉です!」と、イラストで具体的にリハビリを教えてくれる。
「あお向けに寝て、両ひざを立てます。おしりに力を入れて持ち上げます。5~10秒保持して下ろします」
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説明として十分だし、これ以上の説明はない。
と、思っていたぼくが甘かった。
担当の理学療法士Kさんが「あお向けに寝て、両ひざを立てます。おしりに力を入れて持ち上げます」と言うから、「ああ、アレだな」と思ってゆっくりお尻を上げた。
「そうじゃなくて、お腹に力を入れて息を吐きなながらやってみてください」
え!? そんなこと書いてないし、けっこうキツい。
「無理にお尻を持ち上げようとしなくてもいいですよ」
え?
「お尻を持ち上げると言うよりも、お腹の下からせり上がる感じで。息を吐ききるまでがんばってみてください」
お、おぉ……。さっきと違う部分が動いている感じがする。お尻上げも、やり方によって、全然違うじゃないか。
ちなみに、この回のリハビリで「お尻上げ」のコツを掴んだ!と思ったら、次の回で理学療法士Kさんは「別バージョン」を指導した。
「今日は、両ひざを立てたら、踵だけで身体を支えてみてください」
おぉ……! 太ももとの後ろが張ってくる。
「太ももとの後ろが張ってくるでしょ。その状態で、息を吐きながらお腹に力を入れて、下からせり上がる感じでお尻をゆっくり、上げてください」
さらに、その次の回では、痛めていない右足を抱えて、左足により荷重のかかる「お尻上げ」を指導してくれた。
マッサージ(施術)はともかく、運動療法(リハビリ指導)はネットで検索して自分でもできるのではないか……。
「そう思って」いたぼくは、甘ちゃんだった。