日曜日のライバル Kさん
この話はフィクションです。
私は毎週日曜日の朝、スーパーへ行く。
家から、車で10分ほどのそのスーパーの駐車場は広いが、9時半頃からだいぶ混み始め、お昼近くなると満車になる。
私は車と車の間にバックで駐車するのが嫌なので、9時前に着くように、時間を見計らって家を出る。
私にはお気に入りの場所がある。
とめやすく出やすい。ベスポジだ。
だけど、同じように狙っている人がいるらしく、少しでも出遅れると、他の車がとまっている。
かなりの確率で、グレーの軽自動車だ。
今日、駐車場に入るちょっと前に私の車を追い越していった車があった。
そして、取られた。マイベスポジを‼︎
グレーのKさんだ。
どんな人だろう、とチラチラ見ていると、70代後半ぐらいの男性だった。
Kさんのバックグランドが見えた。
Kさんの奥さんは病を患い、今は家で寝たり起きたり、家事はほとんどKさんが賄っている。
Kさんは奥さんが病気になるまで、ほとんど家事をしたことがなく、炊飯器も洗濯機も電子レンジさえも使い方がわからなかった。
でも、今では買い物をして料理するまでになった。
料理番組や情報番組で野菜の旬や保存法も覚えた。
でも、負けない。
来週もベスポジを巡っての攻防戦は続く。
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