京都のバスに翻弄されて東京が恋しくなった話
先日、京都で取材をすることになったので、大阪から行ってきた。
私は、約19年間住んだ北海道を出て、10年間東京で暮らし、6月末だか7月末に大阪に引っ越してきたばかりの人間である。京都へ行ったのも高校の修学旅行と、プラスで1回2回あるかないか。そんなレベルの京都初心者だ。
だから今回の取材も遅刻をしないように、待ち合わせ時間の30分前に到着して、近くにある喫茶店で抹茶オレを嗜んだ。京都だからね。
無事に取材を終えて帰るとき、いつものくせで何も考えずにバスに飛び乗ってしまったのが悲劇のはじまりだった。
これまで私が使ってきた北海道・東京のバスは、基本的に、1バス停につき1行き先だった。もちろん例外もあったけれど、とりあえずバスの時間前にバス停に行けば、ひどい渋滞でもない限り目的地に着いたも同然。黙って座るか立ってさえいればもう到着。
しかし。
京都のバス、1バス停につき4行き先くらい存在してた。
取材に行く前のバス停も1バス停につき4行き先あったんだけど、「ここはちょっと大きい駅なんだな~」と思っていた。
バスを待っているときに外国人の女性に英語の乗換案内を見せられて、おそらく「嵐山に行くバスは今来たこのバス?」ってことだったんだと思う。だけど、そのときに来たバスは私が乗らなきゃいけないバスで、嵐山行きではなくて。
「アニエヨ!バスNO!イレブンバス!!」と、片言の英語と、なぜか出てきてしまった韓国語を駆使して、シラフの私にしては大きい声で彼女が乗るべきバスを教えてあげたのだ。
そんな経験があったにも関わらず、いや、そのバス停が特殊だと思ってしまったんだな。駅を出たらバス乗り場の案内が数か所あったし。
だけど、乗って来たバスとは反対方向。来た道を戻るためにぴったりな場所にひとつだけあったバス停。取材が終わって、少しだけ待ったらちょうど来たバス。一緒に待っていた多くの人たちの流れに乗って乗車。
見知らぬ行き先。
私はスマートフォンを駆使できる女。今乗っているのが何のバスでどこに向かっているのかを調べ、(〇〇駅)と書かれたバス停があった。そこから自宅最寄りにたどり着けるのかを調べた結果、帰れそうだったのでそこで降りることにした。
降りて、駅の方向を見ようとマップを開いた。
駅まで約1.5km。
私が猫ミームだったら「はぁ?」と言っていただろう。ギリギリ人間なので「えっ」くらいで留めたが。それにしても駅が遠かった。(〇〇駅)と書いてあったのに。その駅まで何十分も歩く必要があるのなら、それは駅と表記するのはちょっと思いやりが足りないのでは???
北海道でも東京でも、私が経験した限り(〇〇駅)のようなバス停の場合、駅の目の前にバス乗り場があった。目の前に駅があると思うじゃん。
ないんよ。
京都のバス、怖すぎる。阪急も阪神もJRも地下鉄もなにもわからない私にはハードルが高すぎた。見知らぬ土地すぎる。るろうに剣心と科捜研の女でしか京都を知らない女をなめないでほしい。
もし京都に行く機会がある方がいたら、バスにだけは気を付けてね。マジで容赦ないあいつら。東京とか北海道の感覚で、何も調べず目の前に来たバスに乗ったら知らないところに連れていかれる。
見知らぬ土地で見知らぬ取材をして、変なバスに乗って焦って、30分近く歩いて。ちょっとだけ東京に帰りたくなった一日だった。東京メトロが恋しい。