家族は看護の対象である。
「皆さんがよってたかって、なんだか私のこと
心配してくれてるみたいで。大丈夫ですよ。元気ですから。
それに覚悟もできてます。」
患者さんだけでなく、
お母様の介護と子育てをひとりで担いながら
フルタイムで働くご家族の言葉。
私も患者の家族だった経験があります。
当時、私も思っていました。
「私は病気じゃない。痛くもないし、元気。
全然辛くない。
私ががんばらないと。
泣くなんてとんでもない。」
私も思ってました。
親切な看護師さんたちだなあ。
年が近いから親切に仲良くしてくれるのかな。
ある時、家族が入院していた病棟の師長さんから声をかけられました。
ナースステーションの片隅に入れてもらい椅子に座るよう促されて
「悩みはない?大丈夫?」と。
もちろん家族の病気の進行も心配だけど
私は仕事を休んだり早退していることを気に病んでいました。
新卒で入った会社で6年目になっていた私は
当時、総務&新卒採用担当の責任者になっていたのです。
「あなただけじゃないのよ。順番だから。
私はうちの看護師たちが休む時もそう言ってます。」
そんな風に声をかけていただいて、だいぶホッとしたのを覚えています。
当時20代後半の私は、誰にも相談できずに思い悩んでいました。
上司はいつでも休んでいい、いつ戻ってきてもいいと言ってくれていたのに
会社を辞めなきゃいけないかも、そうしたら再就職できるか、など
今考えなくてもいい、全然発生していないことも頭の中に浮かび
とにかくネガティブ。
家族の体調以外のことを考える自分にも嫌気がさし、
ちょっと病みかけていたと思います。
師長さんだけじゃなくて緩和ケアチームの看護師からも
「実はあなたのことが心配だった。
あなたの話が聞きたかった。」
と声をかけていただきました。
この時かけていただいた言葉は今でも私を支えてくれます。
そして看護学校1年生の4月の授業で
「患者の家族が看護の対象」
だと教わった時の衝撃。
私も看護の対象だったのです。
患者を取り巻く環境であること、
親しい方が病気であることや
パートナーが先に亡くなることは
人類最大のストレスであり
家族は第二の患者であると言われています。
だからもし皆さんのご家族が病気で
何か心配なことや困ったことがあったら
病院の看護師や訪問看護師に
何でも相談してください。
自分は患者じゃない。
何の症状もないと思うかもしれませんが
遠慮しないでください。
あなたも看護の対象なのです。