阪堺線グルメ旅
堺について
世界最大級の墳墓である仁徳天皇陵古墳をはじめとする百舌鳥古墳群は世界遺産登録されています。
茶道を大成した侘茶の祖千利休、女性の自由と自立を求めた与謝野晶子など多くの偉人ゆかりの地です。
包丁や自転車、鉄道、鉄砲鍛冶、線香、堺昆布など「事の始まりは堺」と言われて堺で生まれたものが全国へ広がっています。
中世には南蛮貿易、明貿易などで栄えた自由自治都市です。
13年と短命だったが、1868年(明治元年)堺県が誕生、その後1876年に奈良県が編入され大阪よりも広大な面積の県だった。
ご当地グルメ穴子寿司「深清鮓」
デパートでも買えますが、やはり本店に行って買わないとね。
「あべの」から阪堺沿線の風景を楽しみながらガッタンゴットンと懐かしい音を聞きながら大和川を超え「御陵前駅」で下車します。
堀沿いにぶらぶら歩いて5分程で昭和23年創業、創業60年を誇る老舗持ち帰り専門寿司店に着きます。
口に入れた瞬間とろけるタレもシャリもネタもうまいバランス最高穴子にぎり。
伝説の”飯炊き仙人”の定食屋「銀しゃり屋げこ亭」
「銀しゃり屋 げこ亭」は、ミシュランの星がいくつとか、そんなことを超越した伝説の”飯炊き仙人”の定食屋です。
炊きたての銀シャリと、開業以来まったく化学調味料を使わない手作りのお惣菜が美味しいと地元の方々だけでなく広く全国から「げこ亭」の美味しいご飯とお惣菜を味わいに来店しています。
飯炊き仙人
げこ亭の開業は1963年、実に60年もの歴史があるお店で伝説の飯炊き仙人として知られる村嶋孟さんご一家総出でお店を切り盛りされています。
残念なことに、創業50年を契機に飯炊き仙人は引退を表明し、2013年から (株)フジオフードに経営権譲渡されています。
飯炊き名人が引退しても銀シャリの質は保たれているのかが気になるところです。
食した感想は、水分が多めなのに全然ベチャっとせず、一粒一粒がキリッと立ってふっくら。噛むとご飯粒が弾けそうなくらいパンパンに膨れ上がっていて、ふっくら柔らかいご飯の食感に加えて、中から自然な甘みがほんのりと伝わってきます。
米仙人は、国内外から修行者を受け入れたり中国政府商務省から招聘され中国で米炊きの技術を伝授されたりもしています。そして美味しいご飯を炊くには何よりも「水」が大切だと炭入りの釜の中で一晩寝かせた水を使うと言う拘りの持ち主でした。
このような仙人の心技は間違いなく伝えられています。
いつも上半身裸で飯炊きをされていた現役時代の飯炊き仙人村嶋孟さん。
住所:大阪府堺市堺区新在家町西1丁1−30
アクセス:阪堺線 寺地町
古のせいろ蕎麦「生そばちく満」
独特な唯一無二の「ちく満」蕎麦
豊かな歴史と伝統文化の街のお膝元に「ちく満」そばは有り、なんと創業は1695年(元禄8年)、超老舗蕎麦の有名店です。
現在も堺市の中心地である大道筋は路面電車阪堺線が走り、老舗の和菓子店や超有名店揃いの地域です。このすっきりした街並みに工場のような不思議な建物、一見してお蕎麦屋さんには見えない佇まいが「ちく満」です。暖簾をくぐると直ぐに大広間がふすま越しに見え、左手に製粉している機械が並ぶまさに工場の雰囲気です。
メニューは、せいろそば1斤と1.5斤とおかわりのみです。
アルコールはビールと日本酒、突き出しに出汁取り後の醤油のかかった鰹節と山葵。
まず熱々の徳利(出汁)と濡らした白布巾がセットで到着し、その後、四角いせいろの上に薬味(青いネギの輪切り、ワサビ)、卵(うずら卵では無く普通の卵)、出汁を入れるお椀がセットで運ばれます。
さて、開始です。
お椀に卵を割り、よく溶いてから火傷しないよう熱々の徳利に濡れた布巾を巻いて慎重に出汁を注ぎます。
注意点は、出汁を全部入れると辛くなり、蕎麦の味が分かりにくくなります。卵より少なめに入れ味を確認しながら入れます。卵の溶き加減が最後の蕎麦湯を足したときの表情を変えます。例えば、よく溶くとかきたま汁のようなそば湯になり、余り溶かずにそば湯を混ぜると卵が大きな塊のような感じになります。
1組に1個の徳利で提供されるので行き渡るようにバランスよく入れてください。
独特な唯一無二の「ちく満」蕎麦をいただく心構え。
一度茹でてから蒸されているのでふにゃふにゃで、蕎麦はのど越しと香りだと言われるものとは程遠いものです。
更にこの”ふにゃふにゃ蕎麦”と全卵を溶いた出汁で食べるスタイル、一度で良さを理解する人は皆無でしょう。しかも見た目は安物くさく蕎麦の風味も強くありません。
「ちく満そば」は、蕎麦粉の風味、喉越しを楽しむという一般的な概念を捨て唯一無二の存在として認める。
その上で、全卵を溶いた濃く甘みも強めの出汁で”ふにゃふにゃ蕎麦”を食べ、そのふんわりした食感などから大袈裟に言えば『出会いを楽しむ』心を養う蕎麦です。
千利休の地であるだけにある種、茶道に通じる「ちく満」蕎麦道です。
そばが残り少なくなった頃合いの良い時間帯で特注の錫製打ち出しの湯桶に熱々の『かまくら(蕎麦湯)』が提供されます。徳利に残った出汁も全て飲み干せるよう調整し、卵がいい感じに加熱され、かきたま汁のように花が咲いた蕎麦湯を楽しみます。
食べ終わりは提供された時と同様にすべての器をせいろの上に乗せる、これも「ちく満」の蕎麦心の楽しみの一つです。
従業員さん同士の”聞きました、たまわりました”と言う意味合いの”聞承(ぶんしょ)”が行き交う店で、この店が持つ空気感、雰囲気、蕎麦の味わいから中世、南蛮貿易、明貿易で繁栄した自由自治都市の地で330年間愛され食べ続けられている珍しいお蕎麦、他では絶対味わえない珍しい不思議な「ちく満」蕎麦の魅力を感じてください。
【住 所】堺市堺区宿院町西1丁1-16
【アクセス】阪堺電車『宿院駅』徒歩1~2分(170m)