モバイル広告業界の問題
"こういうのがあっていいのか?"
アトリビューション側から広告トラフィック側に転じて、初めて見えた風景だが理解に苦しむ事が幾つかある。その一つが、View through(以下、View)をClick through(以下、Click)としてアトリビューション(トラッキングツール)に送信する事だ。
"そんな事ある??"と言うリアクションは非常に正しい。が、実際起きている。
まず、View through(Impression)コンバージョンというのは、ユーザーが広告を ”見た” けど、すぐその広告を ”Clickせずに” 後で、インストールを起こした事を言う。
AppsFlyerのHelp Centerで定義している内要も、
"Ad impression that result in app installs, without the users clicking on the ads"と記載されており、明確に”広告をクリックせずに”と記載されている。
Google側でも定義も同じ。"View-through conversions occur after an ad impression, if the user doesn't interact with the ad, then later converts"。こちらでも明確に"広告に触れ合わずに、後でコンバージョン"と記載されている。
なので、ViewはClickでは無いし、
ViewをClickとしてアトリビューションに送信する行為は、Clickもして無いのに、Clickしたと嘘の報告する事と同じ。
アトリビューション側の不正広告の判断は広告トラフィックから貰った情報とSDKから収集した情報に限り、この情報の元に偽インストールやアトリビューション操作の可否を判断する。
しかし残念ながら、広告がどの様に掲載されているかまでは把握できないし、実のユーザーが広告にどう言う反応を示したのか(広告の表示はあったけどスルーしたのか、ある程度見たのか、最後まで見たのか、クリックまでしたのか)は、広告トラフィック側が送信するモノをそのまま受け取るしか無い。
これが、どう言う悪影響を及ぼしているのか?
これを上げる前に、まずはアトリビューションのモデルと優先順位と言う概念を理解する必要がある。
< アトリビューションのモデル >
① ラストタッチ(Last Touch)- Install(Re-engagement)の直前にあった広告に貢献度を付与 => モバイルアプリ広告はこれがデフォルト
② マルチタッチ(Multi Touch)- Install(Re-engagement)までの全区間に存在するタッチポイント(複数の広告)に特定基準を定め貢献度をそれぞれ付与
< アトリビューションの優先度 >
A. 判断材料が決定的な要素か確率的な要素なのか?
- Deterministic (端末ID, Google Referrer) VS Probabilistic (Fingerprint)
B. ユーザーが広告に直接反応したのかどうか?
- Direct Engage (Click) VS Indirect Engage (View)
1) 本来は負けるはずの判定に勝つ!
例えば、下記の様なケースがあるとする。
"媒体AのView -> 媒体BのView -> Install"
この場合、上に記載した様にラストタッチモデルに基づいて、媒体Bが貢献した事になる。が、問題となるのは、媒体Aが自社のViewをClickとしてアトリビューション側に申告する事。上で記載した様に、Viewは間接的な反応なので、直接的な反応であるClickに優先順位判定で負け、
"媒体AのClick(実はView) -> 媒体BのView -> Install"の流れで、媒体Bがラストタッチでも、Clickが優先され媒体Aが貢献した事になる。
つまり、本来のView-through 対 View-throughの戦いだと、Last Touchモデルに基づき媒体Bが判定されるはずが、Clickと誤魔化し本来は負けるはずのアトリビューション判定を勝ち取る事になる。
2) 見栄えが良い!
もう一つのアトリビューションの概念で、アトリビューションウィンドウと言うのがある。これは、広告が成果に繋がったかを期間的な観点から定める概念で、その期間内だと広告の貢献を認め、期間外だと該当広告の貢献と認めない事。通常、モバイルアプリの広告業界でグローバル的に推薦されている日数は、Clickが7日、Viewは間接的な要素から1日(24時間)とされている。つまり、通常のViewだと24時間以内にInstall(Re-engagement)と繋がったViewのみがアトリビューションとしてカウントされるものの、これがClickと化だので7日間の有用期間を持つ事になるので、当然ながらコンバージョンの量も多く、同じくFair Playをした媒体より、CPIも安く見える。
更に、多く取れた分、全体的なユーザー数も、その中にいる課金ユーザーの数も多いのでROASも良く見える。
3) 結果的に継続される!
同じ土俵で戦ったら、他の媒体に負けた可能性だってあるのに、ViewをClickに誤魔化した事で数値が良く見え、継続して広告の予算を貰ってる。一方、Fair Playをした他の媒体は、誤魔化した媒体のFairでは無い数字に比較され、広告を止められるケースもある。
これが、今の日本のモバイルの広告業界で実際起きている。
実際これを知っだ上で、話した上で、何も変わらないと言う事は分かっている。実際に、俺以外にも多くの人が既に知っている事実でもあると思う。
ただ、これを知っていながらも、”これおかしくないですか??!”と言わざるをえなかったので、書き落とす事にした。
広告がどの様に掲載され、実際各社がどの様な基準で判定しているかなど、アトリビューション側では把握仕切れない部分まで把握しながら、Fair Playを元に、健全な広告業界を作る為に、広告が世の中に価値のあるものとして認識される為に取り組む、Avengers的な組織があってもいい気がする。ヴィランが多すぎ。