フィルムナンバー0183 露出不足への回帰
林邸ア~ト2024
このごろの適正露出の呪縛から自由に不足するため、コールタールくらいべっとり黒い写真を心掛けた38枚から選出。この一週間くらいに撮影したもの。
林邸ア~ト2024での作品はどれも印象深いものだった。上に掲載した中澤ふくみ作品はすでに大月町小才角はCOSAにて鑑賞したものではあったが、薄暗い近代建築のなかで特に狭いスペースを陣取るによってまったく新しい作品として生じてきた。空間を読むと、私には漫画のコマ割りが参照される。視線の誘導とそこへ入る鑑賞者の肉体が奇妙に接続する空間として設計されている。語るより写真で示すよりあの空間へ人々を投げこみたい。
弔いと棺があるようにも見えたが、アニメーションを構成する和紙が貼り合わせられ肉塊するそれを起立しているのは柔軟らかな曲線を描く治具であることによって作品をはみ出して再び生きる作品の姿もある。この閉所は胎内回帰としてもあり、そこへと繋がる遠い廊下からひとりの白髪ある来訪者が部屋へと吸い込まれたのを印象的な場面として記憶している。
拾ってきた流木にアクリル絵具にて描かれる岡田あかね作品は、その素材のもつ力とのあいだで描かれた——あるいは描かされたものとしての強さがあるものだった。