【写真】友部正人&矢野絢子のライブへそして高知県立美術館にて
4月16日、高知市は喫茶Spoonにて、友部正人×矢野絢子の2マンライブ「さみしがりの言葉たち」があった。
それは京都のライブハウス磔磔でのこと、友部正人手作りのポテトサラダ付きにまんまと釣られて高知から京都までわざわざ飛んだ日に「高知から来ました」とCDとサインを貰うときに伝えると、「こんど高知でもやるよ」と友部さんの言葉がきっかけだった。
後日、友部正人公式ページを見てみると、矢野絢子と共演するという。これは行かないわけにはいかない、そう思った。
このふたりのアーティストを私が知った時期は割合近く、どちらも大阪で専門学校に通っていた頃だ。当時はURC系、ベルウッド系フォークシンガーを中心に音楽を聴いていた時期で、そのなかに友部正人の一枚も入っていた。たぶん2004年だろう。私が現代詩手帖を購読しはじめたのも友部正人の連載が目当てだった。その詩誌をはじめて買ったのが2004年9月号(特集は「人生処方箋」)なので、その頃には友部正人を認知していたことになる。
矢野絢子については高知を中心に活動しているシンガーソングライターとしてテレビで紹介されていたのをきっかけに知る。メジャー1stアルバム『ナイルの一滴』を聴いて信じていい人だと感じた。
そんなふたりがセッションするこのライブは完全に「俺得」というやつだった。
やっぱり陸前高田のアヴェ・マリアは友部正人の名曲のひとつだろう。いずれアルバムになることを切に望む。
ライブを終えて喫茶店を出てから、あてのないまま、ただ翌日は美術館に行こうと決めていた。テオ・ヤンセン、彼を知ったのは現代のポップな美術紹介者である耳で聴く美術館さんによる。
この作品、生物=ストランドビーストが高知県立美術館に来る! ということで時期が丁度合っていたこともありきっと行こうと決めていた。
テオ・ヤンセンの作品、ストランドビーストは風力で動く機械、しかしこれは機械なのか、もう生物といってしまおうとするヤンセンの意気込みに強い説得力が伴う。
彼を媒介に構築されるストランドビーストの構造は主にオランダのホームセンターで安価に購入できる電気用配管でできている。それは地球生物が炭素化合物によって形成されていることを着想に、単一のパーツで構築された生物を作り出そうとする試みだった。彼の作品は自ら進化を望み、ヤンセンに要求していく。素材の限定によって彼は素材の進化を助けるパーツになっていく。
このことはレヴィ=ストロースが神話の構造分析をするとき、彼によってではなく彼を媒介に神話が考えるという事態に類似している。主体と客体の交換可能性。そのことはあるものにのめり込んだ経験のある者なら覚えのあることだろう。私たちはモノを動かす支配者であるより、モノの欲望を実現していく道具になっていく。
彼らは進化の段階を踏みながら感覚器官を新たに装備し、自律的になっていく。ストランドビーストは主に砂浜に生息する生物である。彼らは風を食べて動く。彼らにとっては砂と強風と水は生存の障害となるが、そのために彼らはこう要求する、よりよい足へ、風をいなす方向へ、水から遠ざかる意志を。
ストランドビーストはひとつの生物である。
余分
今回撮影に際して、露出を絞ることを心がけたところがある。それは2Bチャンネルというyoutubeチャンネルに触発されてのこと。もともと私は写真については明暗のぱっきりしているものが好きだったこともあり、今回そのチャンネルの動画を見てそういうことを思い出したりなぞしたのだった。
その他写真は下の記事に