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【アシストフック考察】ショアマグロ狙い、強靭な歯に耐えうるフックを作る。

今回は、ショアマグロ狙いで使用するフックに関する備忘録です。

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キハダマグロの釣果で賑わう神津島へ、私も先日行って参りました。この日以降の予報では、強烈な爆風と高波の状態が続くことになっている。陸地はすっかり冬めいてきましたが、いよいよ海も夏から秋・冬へ変化していきそうな状況。キハダを狙えるとしたら、この日が本当に今シーズンではラストチャンスになるかも知れない。そんな状況でした。前日まで、うねりが高い予報のまま推移し、当日になってみないとどこへ渡れるかもわからない状況。ただ、このチャンスを逃すと来年まで神津島のマグロはお預けになりそうなため、その時、乗れた磯で全力を尽くすしかないと思い、ベストコンディションではないものの、決行しました。

神津島到着時の状況としては、北東の風5m〜6mほど。東からのうねりが1.5m。乗れた磯は足場が5m〜6前後の高さ。天気は曇り。鳥山もなく、単発で鳥が刺している訳でもない。ベイトっ気もなく、もちろん魚のボイルも見当たらない。

こうなるとアンダーウォーターで戦うのが良いだろうと判断し、ジグを投入していく。これが正解だったようで、魚からの反応が顕著にあった。結果としてキハダ(加えてキメジ数本)と本ガツオ、沖サワラ、ツムブリと、同じ磯に上がった私たちは無事に釣果をあげることができた。

ここまでの過程で、多くの成功体験があったものの、その反面いくつかの課題が見えてきました。その中でも一番の課題となったのは『アシストフックの強度』でした。

何が問題だったかと言うと、歯が強い魚や、噛みつき系バイトのビッグフィッシュ相手に全く戦えなかったのです。バイトがあって、アワセを入れればアシストPEから噛みちぎられていく。フックとアシストPEの組み付け部分から、バシバシ噛みちぎられていく。(それでも、魚の口に針+ジグごとかかったままにはならなかったので良かった)

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フックの問題点

写真右側は、ダブルフックの片方に針掛かりし、<しっかりと魚の重みがロッドに伝わる → フッキングする → アワセを入れる> このアワセでフックをぶち切られる。

もう1つ(写真左側)は、フォール中に針にバイトし、そのままダブルフックの2本とも噛みちぎられ、ジグだけ無事に手元に帰ってくる。こんなことがありました。

リーダーの問題点

次に、これは完全に沖サワラによって、リーダー部分からスパっと噛み切られるパターン。沖サワラが混じるエリアでは割とよくあるが、フォール中に気付いたらスッパリ切られているケース。これに関してはワイヤーリーダーを20cmほど、ジグ ⇄ ショックリーダー の間に噛ませる他ないかと考えています。

早速、フックを改修する

フックの問題に関しては、明らかな強度不足が原因。強度不足というより、噛みつき系バイトの大型魚には不適合なフックだった。ブリ・ヒラマサ・カンパチであれば、何ら問題がないものの、噛みつきバイト系の魚で重量級を相手には為す術がなかった。さらに、普段作っているアシストフックは、あえて繊細なセッティングで組んでいます。仮に根がかったり、魚とのファイトでラインブレイクしてしまうことを想定すると、極力海中に残す物体を減らしたいため、アシストラインが最初に切れるようにセッティングしています。これであれば、仮に魚の口に針が残ったとしても、針だけであれば外れてくれますが、100gクラスのジグごと口元にかかった場合は?恐らく長くは生存することができないでしょう・・(環境にもお財布にも優しいメリット尽くし)ただ、今回はこれが痛手となり、かなりの苦戦を強いられました。しかし、幸いにもこの釣行で、友人が準備してきたフックで、無事にキハダ、カツオ、沖サワラをキャッチすることができた。それがこちらのフック。

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この釣行がきっかけとなり、これからはマグロ狙いでは専用のフックを作る必要があると思い、実際に現場で成功したフックをベースにしたり、オフショアのマグロ・カツオ狙いのフックセッティングを学び、対噛みつきバイト系のビッグフィッシュ向けのアシストフックをいくつか試作でパターンを作ってみました。もちろん、かなりの強度になるはずのため、根がかり・ラインブレイクには要注意。ただ、まさか今回がジグパターンになるなんて想像もしていませんでしたが(笑)ジグパターンだった件については、また別の記事にてまとめようと思います。

改良版フック プロトタイプA

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こちらは、強度もありながら、刺さりの良さ・アシストフック全体のしなやかさを重視したタイプ。とにかく掛けていくことにウエイトを置いたセッティングにしています。

フック:ステキ針 幻(2/0)
アシストライン:Yamai PE ASSIST LINE(100lb)
アシストラインの作り:丸四つ編み ※中芯(フロロ)有り
ソリッドリング:カルティバ  ソリッドリング(6.0mm)

これはちょうど余っていたステキ針を試しに使い、作ってみました。フックは2/0サイズでも他社メーカーのサイズより大きく、実際にマグロでの釣果実績も多いフック。強いて言えば、叩きよりも管付きの方が安心かと思ってます。なので、菅付きタイプを見つけたら、改めて管付きバージョンも作成してみます。

ポイントは、「アシストラインの作り」で、丸四つ編み構造になっている点です。今回、現場で実際に沖サワラに噛み切られることく、そしてマグロのバイトからランディングまで一切破損しなかったアシストラインが丸四つ編み構造のものでした。

また、これまでシャンクとアシストラインの結合は、<セキ糸で結ぶ+接着剤+エポキシで固定>でしたが、今回シャンクとアシストラインの結合方法は、<セキ糸で結ぶ+接着剤+熱収縮チューブ>の方法を採用しました。これはフックとアシストラインの結合部保護(噛みつきや歯による擦れ)の手段としてクッション性のあるチューブの方が良いのでは?と考えて変更しました。

強靭なフックにありがちなフックポイントの甘さは全くない。さらに、比較的細めの100lbのアシストラインで四つ編みを組むことで、強くてしなやかなフックに仕上げてみました。以下、制作意図のイメージです。

プロトタイプA

※青の線が比較用のブリ属用のフック。赤の線がプロトタイプAのイメージ


改良版フック プロトタイプB

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続いて、こちらはゴリゴリに強度を重視したタイプのフック。何より最強なフックを据えて、アシストラインも最強の強度を謳われるザイロンを採用。さらに中芯にはワイヤーを通し、噛みちぎるこを不可能にした(はず)フックです。きっとコイツを破壊することなんてできないはず(笑)

フック:オーナー カットゴリラ(5/0)
アシストライン:よつあみ ザイロンノット ※中芯(ワイヤー)有り
アシストラインの作り:編み込み無し(中通しの二重構造)
ソリッドリング:カルティバ  ソリッドリング(3.5mm)

大型魚用のフックを探して見つけた『カットゴリラ』これはかなりの太軸。そして、ブラッククロームの輝きが美しい。さらに管付きとなっているため、まず、すっぽ抜けることがないと思われる。ただし、フックポイントは甘めなので、フックアウトすることがないよう、しっかりアワセを決めていく必要がある点が注意。

このタイプBのポイントは、強靭なフックに見合うパワーを求め、アシストラインの素材はザイロン+中芯にワイヤーを採用。このセッティングがどれくらいの強度を誇るのか、楽しみで仕方ありません。ただし、このセッティングにすることで、アシストフック全体の動きはかなり固めとなってしまう。

シャンクとアシストラインの結合方法は、プロトタイプAと変わらず<セキ糸で結ぶ+接着剤+熱収縮チューブ>の構成。保護するためだけではなく、全体的にブラックで統一されることで醸し出される雰囲気が良い。いかにも強いフック。以下、制作意図のイメージです。

プロトタイプB

※青の線が比較用のブリ属用のフック。赤の線がプロトタイプBのイメージ


改良版フック プロトタイプC

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続いて、タイプC。こちらは「ゴリゴリに強度を重視した先程のタイプB」に、アシストラインのしなやかさをブレンドしたタイプ。フックは引き続き、カットゴリラを据えて、アシストラインを中芯無しの丸四つ編みで200lbのアシストラインを仕上げる。1サイズ、フックを大きくしたのは試してみたかったからというだけです(笑)

フック:オーナー カットゴリラ(6/0)
アシストライン:Yamai PE ASSIST LINE 200lb ※中芯無し
アシストラインの作り:丸四つ編み
ソリッドリング:カルティバ  ソリッドリング(3.5mm)

言ってしまえば、バランサータイプ。アシストフックとしての強さもありながら、ジグの動きにしっかり追従する柔軟性のある可動域を出してみたいと思い、作ってみました。「アシストラインが強いこと」を前提に、このアシストラインの「柔軟さ」によって、どれだけヒットする魚の数に違いが出るのか?そんな疑問を解決したいと思い、作ってみたものです。

タイプC

※青の線が比較用のブリ属用のフック。赤の線がプロトタイプCのイメージ


おまけ プロトタイプD

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最後は、遊び半分で作ってみたカツオ用のアシストフック。オフショアで使われているカツオ用アシストフックを、手元にある材料で作ってみました。

フック:オーナー パヤオ(18号)
アシストライン:よつあみ ザイロンノット
アシストラインの作り:編み込み無し / ティンセル付き
ソリッドリング:カルティバ  ソリッドリング(6.0mm)

カツオ用とは言え、かかる魚は選べないので、「アシストラインの強度」は担保できるよう、素材はザイロンを使って、中通しの2重構造となっています。

こちらに関しては、チューブを使わず、シルバーの針にティンセルを沿わせた透明感を活かし、セキ糸+接着剤で固定+エポキシで固めています。これはこれで試すのが非常に楽しみだったりする(笑)


今回は、前回の釣行をもとに、フックを制作するところまででしたが、実際に現場で試してみた結果を追々お伝えできればと思います。

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