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黒歴史とBUCK-TICK

#2回目に買ったCDのはなし

中学生になってすぐから尾崎豊の言葉に掻き立てられ、不良のお兄さん、お姉さんがかっこよく見えていた翌年だった。

(はじめて買ったCDのお話はこちら↓↓↓)




周りでは「ホットロード」や「ロンタイbaby」という不良漫画が回し読みされ、コソコソと友達と何かをすることにスリルを覚えて来た頃、

それでもまだ、私は深い喪失感に支配されていた。

衝撃的な出会い

いつものように気だるい気持ちでMステを見ていると

この世のものとは思えないほど妖しく美しい男の人が歌い始めた。

見た目とは裏腹に声はとても低く、ビブラートに特徴があった。
切なく静かな歌い出しから徐々に増える旋律。
ハスキーな唸り声でシャウトをするその人に瞬時に心を奪われた。

「齧り付くように」とはあの日の私の姿だろう。
至近距離のテレビの前で瞳孔を最大限に広げていた。

BUCK-TICK


そのバンドはBUCK-TICKといった。
その時聞いた曲は"ドレス”という曲だった。

翌日、昼に学校が終わると そのまま例の楽器店へいき、直ぐにそのシングルCDを買った。

本屋さんで「パチパチ」と言う音楽雑誌も買った。

ページを開く度、「あぁ…」胸が苦しい。
カラー写真をみれば、「はぁ…」何度もため息をついた。

もう、どの写真を見ても美しい。

櫻井敦司というその人の美しさは他のビジュアル系バンドと比べるに値しないとさえ思っていた。

どこか国の言い伝えの神様みたいに神々しく、神秘的で中性的で魅惑的な美しい異界のプリンスみたいな彼は (今では魔王と呼ばれているが)
絶賛、"革ジャン反抗期”の 思春期の私にとって
本物の神に等しかった。

もう、生き神だった。

それからしばらくはBUCK-TICK熱におかされた。

新しく上履きを買い直し、友達に※「おnew式」をしてもらい、左右にそれぞれBUCKと TICKと書いた。
絵が得意だったので側面には大きな羽が折れかかっている絵を書いた。

(…あぁ…赤面でしかない)

※おnew式……新しい上履きが恥ずかしいお年頃。友達にわざと踏みつけてもらってUsed加工を施す、内々のちょっと盛り上がる式典


Darker than darkness

というアルバムを買った時の事。

当時、ホイールがカラープラスチックになっているオシャレな自転車が流行っていた。
ハンドルは"カマキリ” タイプだ。

それが手に入るかの命運がかかっていたので珍しく徹夜で試験勉強をしていた。

その新しく買ったアルバムの歌詞を頭に入れつつ、櫻井さんの美しい髪を、顔を思い浮かべつつ、あぁ、やっぱり美しいと思いつつ、櫻井さんが目の前にいたらどうしようと妄想しつつ、なんとか数学の方程式を覚えようとしていた。

なんとも注意力散漫で頭が疲れて机に突っ伏して
眠っていた真夜中。

突然、CDラジカセからノイズ音が走った。
左右交互に鳴り出したそれは徐々に大きくなり、ハッキリ聞こえてきた。

超常現象!?!? え?怖いんですけど

10曲しか入っていないはずのCDは眠っている間も回り続けていて、カウンターには99と表示されていた。
なんとも不吉な数字だ。

恐ろしすぎて、慌ててCDを止めて、速攻布団に潜り込んだ。

翌朝、アルバムを見返してもやはり10曲しか書かれていない。
あれはやっぱり、幽霊の仕業だったのかと改めて恐怖におののく。

翌日。
休み時間にCDウォークマンで またそのCDを聞いていた。

試験が終わり、帰り支度を始めると小さくシャカシャカ音が鳴る。

音の出処は私のウォークマン。。。

ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ(゚Д゚ノ)ノ となり、友達に事の次第を告げるとそれは間違いなく呪われたCDだと言うことにまとまった。

"BUCK-TICKのライブに行く途中、不慮の事故にあったかもしれない霊の仕業” だと皆が信じ始めた時

勇気ある男子(尾崎のCDをくれたヤツ)が「貸してみろ」としばらくイヤホン を耳に両手で抑えて調べる。

私と友達はガクガクしながら抱き合ってそれを見守っているとふいに彼がニヤっと笑い、そのまま"ふふふっ……”と笑いだした。

…… 取り憑かれたか?



と思った矢先、
「これは、スペシャルなやつだ」←笑 という。

ノイズの後にきちんとした曲が収録されていた。
それこそがDarker than Darknessという曲だった。

なんと粋でオシャレなんだろう。
さすがBUCK-TICK。
さすが、私の櫻井敦司♡


ビビリな私はノイズが怖くて直ぐにStopしていたから分からなかった。

こんなサプライズがあったなんて。


その後

それから高校生になるまでずーっとBUCK-TICK熱に侵されていた。
私といえば尾崎豊とBUCK-TICKの、代名詞がついた。

しかし、高校1年の時。
安室奈美恵の時代が到来してしまった。

私は当たり前のようにアムラーとなり、ライブハウスよりもスケーターやダンサーの集まる場所に遊びに行くようになった。

もちろん、安室ちゃんのファッションや歌やダンスも完コピした。


そして現在

はじめて買ったCDを思い出すことで、うっかり
こんなにも たくさんの 黒歴史を掘り起こしてしまった。

今思えば いちいち つっこみたいし、赤面してしまいそうな出来事だらけでも、当時の私は それが かっこよくて、私らしさだったのだろう。

今日、Youtubeでいろんな尾崎豊やBUCK-TICKを見た。
懐かしい…………。その一言に尽きる。

今見ても。心が震える彼らの歌声。

でも、変わっていたことがひとつある。

"憧れ” の彼らではなく、"人として” のサイズ感で歌を聴いた。


Marrypossa少女は小さな世界しか知らなかった。
だから、理解できる範囲も浅く狭かったに違いない。

今、憧れていたアーティストを同じような目線で、サイズ感で解読できることが、不思議で嬉しい。

時には思い出迷子もいいものだ。

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