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メンヘラ婚活ナマ日記~西麻布隠れ既婚者男との恋#01

プロローグ



初デートの2軒目のバーからの帰り、六本木から西麻布の交差点に向かおうとするタクシーの中。
彼がそっと私の手を握って、自分の膝の上に置いた。
そして、

「また...会って欲しいな」

とささやいた。

うん、って言うのと同時に、彼の太ももの温かさが握られた手を伝って、一気に顔にまで到達した。

彼は交差点の手前で降りて、見えなくなるまで手を振って見送ってくれた。
何とも言えない幸せそうな顔をしていた。

嬉しさのあまり、降り際に渡されたタクシー代のお札と一緒にこぶしを握りしめた。車はそのまま渋谷の歩道橋を抜けた。

これが私の”最後の恋”のはじまり。  …のはずだった。

マッチングアプリでの出会い


私はmimi37歳。都内で一人暮らしをしている会社員。
周りからは理想が高くて高望みをしているから結婚できないと言われているけど、どうしても妥協ができない性格
年齢を重ねるにつれ選べる立場じゃないという現実をひしひしと感じ、焦っている。
マッチングアプリや友達からの紹介、ナンパ、コンパなど出会いの幅を広げて奮闘中だ。

そんな中、私は彼に出会った。
彼との出会いは、東〇レデートというアプリ

年齢:36歳
職業:会社経営者
身長:183cm 
収入:5000万-1億

写真を見る感じだと丸顔の市原隼人似。(もはや市原隼人じゃない…)

自己紹介欄には、赤字だった親の会社を継承し黒字転換したこと、有名大卒で大学のOB会や、なにやら特別な会に所属していることが記載されていた。

経歴自慢的なアピールをウザく感じたものの、そういう男性はかなり多く、何より私は彼の見た目と高年収に目が眩んだ。

ちなみにこのアプリは審査制で、最低年収750万からが利用基準。年収2億とかの人もちらほらいるような感じで、1000万以下の男性がしょぼく感じる程。

そんな独身の男と女の強欲が渦巻く中で、私と彼はお互いの「いいね♡」を交わし…

オンライン上で”出逢った”のだ。

婚活の掟破り


だがマッチング後、何回かメッセージのやり取りしたら、
「このアプリは更新せずにもう退会するので、よかったらLINEでやり取りしませんか」と言われた。

私の中で”婚活の掟”というものがあり、
「其の一、アプリ男性とのLINE交換は実際に数回会って、お付き合いしてもいいなと判断してから」
と決めていた。

だから今までも初回デート日程調整後に、「交換しよう!IDはxxxxです」と送られて来ても、頑なにLINEは交換せずに待ち合わせ場所に行っていた。

他にもMy婚活の掟には様々なことを記載していた。それくらい私は”真剣な婚活”をしていたのだ。
なんならLINEを交換するというのは、初キッスをするのと同じくらい大切な行為としていた。

それが、運命で引き寄せられるかのように、”出逢った”彼から、比較的初期の段階でLINE交換をお願いされた

退会するからという理由に疑問を感じたが、結局私は

【LINEを交換した】

いとも簡単に、”マイ婚活の掟”を破ってしまった。道場破りもびっくりしただろう。

なぜなら、
彼が年収5000万オーバーで市原隼人似だったからだ。

#02へ続く


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