【全社業務改善】社内の手動業務を20%ちょい削った話(まだ道半ば)
この記事は「【初心者優先枠】corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#2 Advent Calendar 2023」14日目の記事です。
2023年個人的目玉施策として、全社業務改善プロジェクトを主導しています。(これからが本番感もありますが)
プロジェクト開始から実際に20%ちょっと手動業務を削ったところまで何をやったのか書きます。
※この記事での「手動業務」は、手動で何かデータを入力する・出力する・加工するを指しています(CSVを手動で加工する・ブラウザに手動で入力するなど)
🏫自己紹介
EC系のスタートアップで一人情シスしています。
ヘルプデスク、PCキッティング、情報セキュリティ周り、業務改善、ECならではのクレカ不正の対応をおこなっています。広く浅くって感じですね。
🏢どんな会社?
従業員は70名くらい
情シス担当は私一人(1人目情シス)
toCのECが主要事業
🖊️まとめると
一人情シスが自分の手でゴリゴリ業務改善していくぜ!!なんて烏滸がましい….
業務フローを可視化することの価値はデカい
課題を見つけるのが一番難しい
🌱オペレーション改善プロジェクトのきっかけ
🌸きっかけは2023年春….Zendeskのプラン変更を検討した際に、そもそも社内の業務フロー把握しないと、部分改善にしかならないよね?と上長と議論したのがきっかけでした。
🎯プロジェクトの目的
コロナ禍でEC業界が伸び、会社としても事業が大きく伸びました。比例して、従業員数や事業規模も大きくなりました。
一方で、業務フローについては大きな変化がないままとなっており、今後の事業拡大にも対応できる業務フローへの改善や設計、業務効率化の意識醸成が必要でした。
📝📝ここからはこれまでに実際に行ったことをまとめます📝📝
業務フローヒアリング
全事業部、合計12名ほどに業務フローヒアリングを行いました。
社内全体に「今ある業務マニュアル全部ください」と依頼し、マニュアルにある業務フローをキャッチアップしました。
その後、MTGを設け、作業画面を見せてもらいながら、実態とマニュアルの差分を確認、マニュアルにない業務も多いので、その辺りも明らかにしていきました。
スイムレーンを書く(業務フローの可視化)
今回の目玉コンテンツです。上長からスイムレーンという手法を教えてもらいました。業務を可視化するのに非常に有効な手段なので、何かあれば都度書いています。
(miroが詳しく説明しています)
業務フローヒアリングの録画とメモをもとに、スイムレーンを書いていきました。
各事業部での業務フローをまとめた結果、20個前後キャプチャのようなスイムレーン(フロー図)ができました。
スイムレーンの副産物として、どの事業で誰がどの施策を担当しているのかが可視化できたのは、セキュリティ強化の観点でも生きました。
スイムレーンをもとに改善ポテンシャルを算出する
スイムレーンにより、業務フローの中での改善点も見えてきました。一気に改善はできないので、改善ポテンシャルが大きい部分から優先度を付けて着手していきました。算出基準は以下
①フローの長さ×手動割合×頻度でのスコアリング
こちらは業務フローが長く、手動割合が多く、頻度が多いオペレーションから優先順位をつけていきました。
月1の手動割合が50%の業務フローよりも、週1以上の手動割合が30%の業務フローを優先度高くしていくみたいなことですね。
※もちろん、スコアリングは判断の参考材料という位置付け。社内には定性的なセキュリティーリスク等もあるので、その辺りは情シスの見せ所。
②コストインパクトがある内容(改善により月XX万のコストカットになる)
月1の業務だとしても、その業務を改善するだけでキャッシュベースでのコストカットになるのであれば、優先度は上がります。
実際に、月に数万〜数十万円のコストカットを実現した改善もありました。
社内に告知する
社内にヒアリングしたり、スイムレーンを書いたりすると、社内の業務フローの癖が見えてきます。
情シス1名だと改善に限界なので、社内のエンジニアへの共有・各事業部での改善意識の醸成・改善要望が上がりやすい環境を作るために、全社に対して30分ほどプレゼンしました。
業務フローの癖として以下が見えてきました。
①スプレッドシートをデータベースとして情報管理
複雑なスプレッドシートが業務改善の大きめなの課題になったりしています。もちろん、SaaS等のコストをかけて管理するデータではない、検証施策としてデータを集めてみるなど、意図してスプシを使うケースはあります。
一方で、「とりあえずスプシにデータを貯める」が癖になってしまうと、管理しきれず管理コストが膨らみます。
ステータスや特定の日付ごとにアクション(営業アプローチ、社内通知、アラートなど)が決まっている場合、スプシだと自動化が進み辛く、手動業務が増えていきます。
スプシ上のデータ同士も紐付けが難しいため、手動業務と手動業務を繋ぐには、それなりに手動業務が発生します。
スプシ上の自動化もGASで頑張れますが、IT担当以外メンテできないなど弊害が出てきます
また、編集権限があれば容易にデータ変更であるため、ヒューマンエラーでデータが意図せず変わってしまうこともあります。あとは、関数壊しっちゃったとか…..
※スプレッドシートは悪ではありません
組織や事業フェーズによってはスプシが最適解になります。(業務フローやデータ構造が固まる前はスプシの柔軟性が生きます)
スプシ運用がキツくなるのは、組織・事業フェーズが上がったからなので、とってもポジティブです🌸
②エクセル・スプシを関数使って加工して、CSV化→システムにアップ
こちらは多いと思います。特にマーケティング系の部署だと多いかも知れません。(統合管理基盤がサービスとしてない….誰か作って欲しい….)
CSVのアップロードはAPI連携されていない限り難しいと思いますが、CSVを人間が手動で加工して、それを本番データとして反映させるのは、時間がかかるだけではなく、作業者の心理的な負担の増加、ヒューマンエラーでのインシデント発生率を引き上げます。
ヒアリングの中でも、「ミスがないのが当たり前とされている業務かも知れないけれど、ミスした時の事業への影響度が大きいため不安」といった声も聞きました。
改善していく(まだ道半ば)
業務フローの癖から、改善方針を以下に決めて、改善を進めていきました。
改善部分が見たら、あとはやるだけなので、オペレーション設計から入ったり、クエリ書いたりやGAS/Pythonで自動化したり、hubspotを導入したり…
スプシをデータベースとして使用するのを完全無くすことはできないため、「容易にタブ数を増やさない・シンプルな関数で作る・手動転記を減らすフローを組む」といった方針で改修を進めています。
また、当たり前ですが、自分の力だけでは改善スピードは絶対上がりません。
そのため、ブラックボックスになっていた業務フローをスイムレーンで可視化し、エンジニアチームに開発依頼を促すようなことも行なっています。
最近は、企画系の事業部のメンバーと一緒に改善進める体制もできています。
(具体的な改善については、いつか別記事に….)
📝学んだこと
一人情シスが自分の手でゴリゴリ改善していくぜ!!なんて烏滸がましい….
なので、一人情シスは以下に注力することが社内全体の業務改善に繋がると(今は、)思っています
50名ほどの規模でも、隣部署のメンバーがどんな業務をしているのかは把握できないものです。業務(オペレーション)レベルになると、もう不明です。
ドキュメントにすらなっていない業務も多いです。
そのため、
まずは社内オペレーションをブラックボックスから社内全員が知れる状況にする
エンジニア・情シスなどの改善が得意な職種のメンバーと、経営層含め部署を管掌しているメンバーに「どのくらい非効率でかつ、リスクの大きなことが業務フロー上で発生しているのか」を把握してもらう
が、抜本的な業務改善の第一歩かと思っています。
📨最後に
業務改善は会社にもあるテーマだと思います。業務改善を通じて、社内にある業務フローの癖や可視化から、事業に対して新たな価値を生み出せると思っています。
スプシに集計するオペレーションをなくすことで、クエリによって新しいデータが見れるようになったり、削減された時間で別のクリエティブな業務への時間が増えたりしています。
情シスが会社を大きく変える、利益構造や社員のモチベーションアップにも繋がると可能性があると思います。
そこまで検証できたら、凄くワクワクしますね!
(20%削ったが、どのくらい事業/組織にインパクトあったのか…..それは悩み部分だったりする…..それは社内アンケート取ろうかな。)
明日は、前日出張?されているTommyさんの記事になります〜!!
13日目のmkrtさんの競輪選手から情シスになった話も是非🚵♀️