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VRアイドル「えのぐ」に感じる魅力


ごめん、そんな機運なんてないと思ってた…

だけど、多くの人がしているように、「えのぐ」に関する自分の中のナラティブを文章として書き著す試みをしてみようと思う。ナラティブ、つまり「自分語り」は決して悪いことだけじゃない。いろいろな人が「えのぐ」について感じていることを語り合って記録に残す、これが連鎖していけば、多面的にそのグループの魅力を解き明かす契機になるんじゃないかって、自分はそう思います。もしもこの考えに賛同していただけるのなら、みんなも軽率に自分語りしていこうな!

いかにして「えのぐ」と出会ったのか

この話っていろいろな人の話を伺うと、3者3様どころか十人十色、いや、千姿万態ともいえるバリエーションがあって面白いんですよね。C92から、あるいは「会いに恋」からという古参の方から、配信からという方、周年ライブからという方、えるすりーからという方、VRideからという方、他のヴァーチャルアーティストさんとのコラボイベからという方・・・。
一つ一つの出会い方が奇跡のような偶然によって結びつけられていて、そこにそれぞれの想いが紐づいているんですよね。どの方のストーリーを聴いても、意外性と感動に溢れていて、自分は魅力的に思います。

自分の出会いは、このライブでした。


その時の詳細は、下記記事にまとめているので改めて書き記すことはしません。

自分の当初の目的としては「リアルアイドル」のライブを観に行ったのですが、なぜか「VRアイドル」に出くわしてそのままVRアイドル”えのぐ”のファンになってしまった、というのが自分のファン出自であります。

「バーチャル?なんすかそれ?」

今でこそ自分は少しずつ理解してきましたが、vtuber,vsinger,バーチャルアイドル、、、などなど、動画配信サイトやアプリバーチャル空間で活動される方々がおり、場合によってはライブハウスやコンサートホールなどリアルな会場でも活動されています。

当時の自分はほとんど「バーチャルな活動者の界隈」とはほぼ縁のない存在で、しばらく長い間リアルアイドルのファンとして活動しており、「えのぐ」と出会ったことを契機に新しい世界観が一気に拓けた体験をしました。そう、まったくの「誤配的な出会い」なのです。

契機をくれたのは「えのぐ」がリアルアイドルの対バンライブに参加していたからです。当時の自分の感じ方としては、見た目がバーチャルな映像の姿なので違和感はあるにせよ、振り付けに合わせて振りコピしたりクラップしたり、コールしたりMIXを打ったり、ステージングのフォーマットはリアルアイドルと変わらないなぁという印象を抱いていました。

であるにせよ、やっぱり「えのぐ」がリアルアイドルのイベントに参加するのは不利じゃないですか。リアルアイドル界隈とバーチャル界隈の間には文化的なバックグラウンドの隔たりが大きいように思えます。それに「バーチャルな身体であるということ」それ自体が表現における制約を生む弱みであるようにも思えます。(逆に新しい表現の可能性を生む強みでもあることも踏まえて)。ぜったいそれぞれの界隈で活動してファンを獲得していくほうが楽な選択なんですよね。

あとから知ったことなんですが、えのぐってTIFは2019年から参加していて、2024年までほぼ毎年出演(20年はオンライン開催、21年は天候による中止を挟む)、また主催対バンライブ「Beyond the Dimension」を開催してアフィリアさんやAppare!さんといった「おっ!すごいラインナップ!」と思わず声を上げるほど豪華な出演者のイベントを開催していたんですね。コロナ禍中はアイドルオタク休止してたので、全く知らず・・・。

ここまで「リアル」と「バーチャル」の世界の融合に拘っているグループって、無いんじゃないでしょうか。その情熱はどこから来たのでしょうか。

「熱量」ってなに?

語弊を恐れず言ってしまうと、自分の素直な考えとしては、こうです。
ほかの多くのアイドルグループたちも、どれだけ自らが抜きん出る存在であるか、日々の活動を通して、ステージ上で、あるいはステージ外で、全力を込めて証明し、結果を出していくことに苦闘しています。ファンを獲得していくうえで、どのグループも確かな「強み」は持っているわけです。


「熱量」それはアイドルとファンが作り出す「一体感」と言うことができるでしょうか。ライブという空間においては、定量的に捉えられる事項として「ファンの人数」や「声援の大きさや量」、「身体的な動作の連携量(振りコピ)」などが挙げられるでしょうか。これらが多いと「熱量が高いなぁ!」って感じるかと思います。(例外はあります)

演者側が「熱量高いパフォーマンス」をしても、観客側がその熱量を受け止めないライブを、自分は「熱量が高い」とは思いません。たとえば、演者がどんなに素晴らしいダンスや歌唱のパフォーマンスを披露しても、観客が手元のスマートフォンを操作していたり、雑談していたりして、意識がステージに向かっていないような状況は「熱量がある」とは言えませんよね。熱量はあくまで演者と観客の相互作用によってお互いを高めることで生まれるものだと考えます。

言い換えれば、ここでいう「熱量」とは「演者が観客の心を動かした量」と言えるでしょうか。心が動けば自然と身体が動きます。それは身振り手振りに現れたり、声援の大きさに現れたりします。ライブ会場に脚を運ぶ、それ自体も熱量のなせる技だと思います。また、言葉に表したり、文章に記したり、絵を書いたりすることで昇華するのも熱量だと思います。

えのぐの「熱量」とは

そのうえで、えのぐの「熱量」を語る時、ステージのパフォーマンスそれ自体は非常に素晴らしいものの、「ライブの熱量」はえのぐの魅力を100としたときに50くらいしか言い表していないなぁと思います。本当の「えのぐ」の強みが隠れてしまっていると。


https://enogu-official.com/profile/index.html



えのぐの強みはまさにこの「宣言」なんです!


あらゆる「えのぐ」のライブや配信の自己紹介で、この宣言がほぼ必ずといっていいほど述べられているので、長くからいるファンの方々は知らず知らずのうちに自然なものとして受け入れていることでしょう。これは企業でいえば「経営理念」そのものなんです。「経営理念」を毎度の自己紹介で唱えているのが、えのぐなのです。

経営理念を考える際のフレームワークとして世の中に受け入れられているもののうち、「MVV」と「パーパス」を使って改めて分析したいと思います。
この「MVV」フレームワークは、経営学の鉄人であるピーター・ドラッカーの概念を基にさまざまな解釈が加わり出来上がっているものです。


諸説あるのですが、おおむね下記の3つの概念から成立しています。

①「ミッション」(=パーパス)

これは組織体が「なぜ存在するのか」という問いに対する答えです。どんなに時代が変わっても、状況が変わってもブレない芯、それが「ミッション」です。翻って、社会の側から組織体を考えた時に、社会に対してどんな影響を与えられるのかということを表すのが、「パーパス」と言われています。
「ミッション」はすなわち、存在意義そのものであると言い換えられます。中には、ミッションを達成した際、会社を解散することを定款で定めている企業もあるほどです。

クックパッドの定款変更案が「かっこいい」と話題に 「世界中の家庭で毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」 | キャリコネニュース

②ビジョン

直訳すると「展望・未来像」と読むのが近いでしょうか。ミッションを通じて浮かび上がる「あるべき姿」であり、将来の目標を指します。

③バリュー

ある組織、集団が共有する「価値観」のことを指します。ミッションを通じてビジョンを目指す中で、組織や集団として何をアイデンティティに、他と差別化を図るものでもあります。組織や集団の中で、個人個人がバラバラにならないため「価値観」を共有する必要があります。

このミッション、ビジョン、バリューを図で表すと、ミッション(パーパス)はベクトルの線、ビジョンはベクトルの先にある的🎯、バリューは現在地点を囲む円と表せるでしょう。

これを用いてえのぐの宣言を分解すると次のような構成になるでしょうか。


①えのぐの「ミッション」

リアルとバーチャルの壁を越えて「アイドル」という素敵な文化を楽しむことができる未来を、私たちと一緒に創りましょう!

えのぐは、リアルとバーチャルの壁を越えて社会に対して新たな価値観を提起することがミッションとして掲げられています。

②えのぐの「ビジョン」

世界一のVRアイドルを目指しています!

「リアルとバーチャルの壁を越えて「アイドル」という素敵な文化を楽しむことができる未来」を創るというミッションの下、進みつづけたその先に、えのぐが「世界一のVRアイドル」になるという未来像があります。

さらに、「enogu Re:1st one-man Live -THE FIRST」の第三公演では、メンバーの鈴木あんずさんが次のように述べています。

私たちが目指す世界一のVRアイドルは、VRアイドルやバーチャルアイドルを名乗って活動するスターがたくさん生まれるための礎(いしずえ)を築く、最初のグループになることです!

【えのぐ】「enogu Re:1st one-man Live -THE FIRST」全公演MCまとめ|えのぐ

とても野心的な取り組みです。えのぐがなぜ、「リアルアイドル」との共演という茨の道を選んだのか、ここに答えがあります。すべてはえのぐが勇気ある先駆者として礎を築き、自身が世界一のVRアイドルとして君臨するための一つの通過点であるということなのです。

③えのぐの「バリュー」

「あなたと同じ場所で。一緒に青春しよう!」

「あなたと同じ場所で。」というワードには、バーチャルというテクノロジーによって多くの人に寄り添い、あらゆる場所にいる人にメッセージを届けるという意志を感じます。

また、「青春」、その言葉の響きは美しいです。楽しさを謳歌しようという前向きなメッセージを感じます。
余談ですが、「青春時代の真ん中は胸に棘さすことばかり」という歌もありますね。甘いことだらけじゃないのも青春です。


この「宣言(ステートメント)」がライブや配信を通して脊髄反射レベルでファンに刷り込まれていて、実際えのぐはその通り活動していること、まさにこれがえのぐの強みなのです。


絶対的なアウェイでも引かない姿は、理念に基づいている。そう感じます。これを「熱量」といわずしてなんというのでしょうか。


最後に


えのぐの理念は、えのぐが歩んできたヒストリーによって裏打ちされていることは、明白であります。どんな逆境でも曲げない信念を体現している存在、本当に貴重じゃないですか?

下記のえのぐが記した記事をご覧になると、わかると思います。

しかし──

私たちは、バーチャルアイドルとして活動している現在がとても楽しく、またこの仕事に誇りを持っています。そして何より"アイドルが大好き"です。

だからこそもっともっと腕を磨いて「無謀だ」「場違いだ」という評価を覆し、バーチャルというコンセプトのアイドルグループとしての存在価値を証明した上で"アイドルの祭典"で最も輝くアイドルになりたいと願っています。

バーチャルアイドルの私たちが「TOKYO IDOL FESTIVAL」出演を目指し続ける理由|えのぐ


私たちの歴史は、常に”失敗”からのスタートでした。

6年前、VTuberを選ばなかった私たちの現在|えのぐ


「えのぐ」が歩むその先、見てみたいと思っています。そう思いませんか?


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