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服と心〜その10〜
前回までの話
世の中には、
自分の心が服に表れている人と、
自分の心が服に表れていない人がいる。
自分の心が服に表れている人は、
その人がイメージするその人自身(自己イメージ)と、その人が着ている服がぴったりと一致している人であり、
それは服が似合っている人である。
逆に、自分の心が服に表れていない人は、
その人がイメージするその人自身(自己イメージ)と、その人が着ている服が一致していない人であり、
それは服が似合っていない人である。
「服の似合わなさ」は絶対的なものではなく、
『今現在「服が似合わない」状態にある』という状態像である。
「服が似合わない」状態は、自己イメージと服が不一致の状態である。
自己イメージと服の不一致は、すなわちロジャーズの言う自己と経験の不一致であり、それは不適応につながる。
他者との関係の中で生じる「服が似合わない」状態
前回は、個人内の不一致(自己イメージと服の不一致)が
「服が似合わない」状態を作り出すことと、
その状態を改善するアプローチについてまとめた。
今回は、他者との間に表す服というところに焦点を当てていきたい。
自分一人でいるときは別に違和感を感じないけれど、
誰かと会う
ということになると、
なかなか着る服が決められないことがある。
これは、自分の中では、自己イメージと服が一致しているけれど、
他者との間に表す服に迷いが生じている状態と言える。
その迷いによって自己イメージが揺らいで、
自己イメージと服の間の違和感を醸し出し、
「服が似合わない」状態に陥ることがある。
どんな人と会う時にも「服が似合わない」状態になる人もいれば、
ある特定の人と会う時に「服が似合わない」状態になる人もいる。
「服が似合わない」状態は、前回記したように不適応につながるので、
だんだんと、
「人と会うのが怖い」と思うようになったり、
「あの人と会うと調子を崩す」なんてことが起こってくる。
それは、他者との関係の中で、「服が似合わない」状態になった結果だと言える。
他者との間に自分を表す
他者との関係の中で「服が似合わない」状態になるとは、どういうことなのか。
それは、
他者との間に、
自分を思うように表現できていないということである。
一方、内的な不一致がなく、
他者との間に自分を表現できている時、
その人は「服が似合っている」状態にあるだろう。
ではどうすれば、
他者との間に表れる服が「似合っている状態」になるのか。
以下の3つのステップを踏むことで、
「似合っている状態」まで持っていける可能性は高まる。
①服を選ぶときに、これから会う人のことを考える。
②その人との間に表れる自分を想像する。
③その想像した自分にぴったり合う服を選ぶ。
要は、服選びの基準を自分の中だけに持つのではなく、
これから出会う他者も服選びの基準に含めながら、
着る服を決めていくということである。
自己イメージは、関わる他者によって少なからず変化する。
その変化する自己イメージをを捉えることで、
自己イメージと服の不一致を少なくしていこうということである。
次回予告
次回はこれまで書いてきたことをまとめて最終回にしたいと思う。
お時間のある人は是非、よろしくお願いします。