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#7 発達障がいグレーの息子が、大人になった話

LiD/APD(聞き取り困難症/聴覚情報処理障害)③

静かな環境でも100%はムリ

「オレ、今の職場でも聞こえてるの7割やからな。」
先日息子から言われて、「えー!そうなん??」と結構ショックを受けた私。
弱冠20代半ばで5回の転職を経て、息子は今IT関係の仕事に就いています。紆余曲折の末、多少の苦労はあるものの、ようやく「続けられる」と思える仕事に辿りつきました。オフィスでは同僚や先輩とのやりとりはそれなりにありますが、基本的にパソコン相手の仕事で、なにせ静かな環境です。私は、てっきり聞き取りに関しては、解消されたと思い込んでいたのです。

愛想笑いは必須

確かに仕事の指示は聞こえるので、そこは解消されています。ただ、当然ながら仕事以外にも日々色々な形で、人と会話をする機会はあるわけです。たとえ静かな環境であっても、会話の途中で急に想定外の単語や話題が出てくると、彼はすぐには聞き取れず、その場合、
「ねー(*^^*)」という愛想笑いで乗り切るしか無いのだそう。
そこまでは会話が続いてるのだから、なんとなく流れで分かりそうな気もするけれど、一旦違うように聞こえてしまうと、もうそこから抜け出すことはできないのだと息子は悲しげに言います。
例えば、よく洋楽の中の歌詞が、おかしな日本語に聞こえてしまう、みたいなことってありますよね?一旦そう聞こえたら、もうそれにしか聞こえない的な。
確かに英語はそうかもしれないけれど、日本語の場合、少し考えれば「あ、◯◯って言ったのかも」と普通は気付けるものだと思うのですが、彼にはそれが難しいようです。これも発達グレーの特性なのでしょうか。
フリートーク中の聞き取り困難は、なんとか愛想笑いで乗り切っているつもりですが、恐らく相手は
「あ、この人分かってないのに話合わせてるな」と気付いているはず。
息子曰く
「そこはもうええねん。聞き返して話の流れを止めてしまうよりは。」

全部を話せる人はいない

発達に凸凹のある人は、人との関係性の構築が難しいことも多いですが、こういったことも理由のひとつなのかなーと考えます。結局深く話をすることができないから、関係性を深めることも諦めてしまうんですよね。
学生時代に不登校を経験した彼は、通信制の高校に編入したのですが、当時は同じように生き辛い思いをしている子たちと分かり合えることも多かったようです。でも、社会に出ると新しい友人を作ることは難しく、かと言って悩む時期はとっくに過ぎ、今は「そんなものだ」と思っているのが正直なところ。

今日も息子は私が言ったことを
「んー、そやなー(*^^*)」
と愛想笑いで返し、
「今の絶対わかってないやろ?わからんかったら聞き返しなさいよ。」
「もう面倒くさいし、ええかなーって(笑)」
なんていう会話が繰り広げられています。




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