Nomadland:自由の中毒
人間が自然へと還ろうとする姿は美しかった。
映画館にて、通路挟んだ右隣のおじ様の鼻をすする音が聞こえる。この映画を観るには、私は喪失も孤独もまだ知らないに等しいのかもしれない。
ノマドの人々は、自由の中毒者であるのかもしれない。
独身貴族が、その自由の悦びと孤独を天秤にかけるのは、充分に自由の味をしめてしまったからだ。
許容範囲内のリスクと、偶然がもたらす瞬間の高揚と、味わってしまうほどの孤独は中毒とはいえないだろうか?
「生きる」と「暮らす」が違うように、ノマドを選ぶ人々は暮らしを選択しているようにみえた。
いつからでも、
どこまででも行けることを、
その自由を見せてくれた映画だった。
私たちは自らの意思で、満たされすぎた世界から自然へと還っていくのだろうか。
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