最終章.1.心の内の内
今年の梅雨は例年よりも遅れている。俗に言う異常気象だ。梅雨が遅れるのは気に食わない。早まる感じの、前倒しになる感じの異常気象だとありがたかったのだが。
高校最後の夏がやって来ようとしている。まだセミは鳴いていない。
そして、高校最後の夏の県大会。この夏の大会が終わると、ほとんどの3年生は引退するのが当たり前らしい。
やめるかどうかはまだなんとも言えない。とにかく、目の前の事、つまり夏の大会のレギュラーメンバーに選ばれたい。
もちろん、一緒にやってきたフミも完全に同じ気持ちだ。口には決して出さないのだが、フミは親友に分類される友達の一人だ。同じサッカー部に入っていてクラスでもここまで仲良くやってこれたことに、少しの嬉しさと不思議さを感じている。
親友と分類される友達はもう一人いて、それはバスケ部のタジマだ。フミとタジマとずっと一緒にいた。3人ともお互いの事なら、全てではないが、わりと知っている関係性。家族のことまで知っている。これが高校3年まで続いてるんだから、これはほぼ奇跡的である。おまけに、これといった喧嘩もない。
タジマのバスケ部の方も、最後の夏の大会に向けて、なかなかの気合いで臨んでいるみたいだ。
まぁ、タジマは僕やフミと違って、1年の頃からバスケ部のレギュラーなのだが。
まったく。できたやつだ。
勉強、進路のことでいうと特にまだやりたいこともなく、そのまま自分の偏差値でいける大学に進もうと考えている。勉強面では、よりうだつが上がらず楽観的だ。
フミとタジマといる時にもあまりそうゆう話にならない。ただ、高校を卒業した後に、この2人と疎遠になってしまわないかと不安がある。それは極力避けたいのが心の内。
2人にもそう思っていて欲しいなというのが心の内の内。
先の進路のことはまだ何も決めていないが、家族からはよく、「介護関係の仕事を目指したら?」と言われる。
おばあちゃんの世話が上手だかららしい。しかし、あまりピンとこない。だってそれは、うちのおばあちゃんだから。
スーパーのアルバイトも続いている。これもまた、珍しい。あまりストレスになることもなく、特に大きな事件に巻き込まれることもなく、3年まで続いている。
部活動をやっている生徒は、アルバイトをしてはいけないという、学校の規則を密かに破って3年目の夏を迎える。これに関しては、理由は分からないが、少し嬉しく感じた。
学校とは別に、ただのアルバイトだが仕事として3年続けられたことに対しての嬉しさかもしれない。大島店長や社員さんや同じアルバイトの人たちとも上手くやってこれている。
今ではレジ担当のおばちゃんとは、たまに世間話をする仲だ。変に心地良い。
高校に入るまでは人との繋がりみたいなものを、そんなに考えたことがなかった。高校に入ってから色んな環境に触れて、いろいろ考えた。
というよりかは、考えさせられたといった方が正しい。自分で考えれるほど、頭は良くない。
そして、色恋沙汰の話に入る。
以前、
大島由美が好き。
去年と違って、今は見た目も内面も好き。以上!
笑顔が好き。
つづく
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