太ってぇカルパス


悪夢を見た
道をまっすぐ歩いていた
太ってぇカルパスをかじりながら

すると前から、自転車に乗った女性
荷台にはチャイルドシート付きの電動式
そのシートにチャイルドは空

多分、そのチャイルドは保育園にいるのだろう

少し端により道をあけ渡す
いつものように歩みを進めようと


「ガチンッ」という音がした

嘘であってほしい
その自転車に乗った人妻が僕の持っている
太ってぇカルパスにかじりつこうとしてきた


させるかよ

かじらせるかよ

これは僕の太ってぇカルパスさ


僕はこんな時にこそゾーンに入る
あっちは必死でかじりつこうとしてくる
こっちはそれをするりするりとかわす

僕の重力がこの世界から消えた
それくらい体が軽い
こっちは空気を縫っているよう
あっちは僕とではなく重力と闘っている

ショートカットの人妻さ


力の差を見せつけ、その場を去ろうとした
ショートカットの人妻に背を向ける

「ガチンッ」

嘘であってほしい
人妻が僕の裏太ももにかじりついた

事後

かじりつかれている

裏太ももに

咄嗟に振り返り、人妻の左肩に向かって
僕の右膝をお見舞いした

反射的に膝を打ち込んだ



その大きな運動と共に目が覚める
0から130の運動をした反動で飛び起きた
心臓がズキズキと痛む
気持ちを落ち着かせ、毛布と掛け布団を直し

また瞼を閉じる


僕は優しい人間だ
思いやりがあり、人助けをする心も持っている


でもこれだけは言っておきたい


僕の?

太ってぇ?

カルパス?


かじらせるかよ?












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