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映画ドラえもん のび太と夢幻三剣士

おはこん世界の皆さん、まろんです。

映画ドラえもん備忘録シリーズ、今回は夢幻三剣士。知る人ぞ知る"迷作"です。子供の頃はただ面白い作品くらいにしか思っていませんでしたが、大人になって見返すとラストのシーンである種の不気味さを感じてしまう、そんな作品。いわゆる"リドルストーリー"だと思うのでそんなラストシーンの個人的な考察を混じえつつ備忘録書いていきます。

あらすじ(ざっくり)

ひみつ道具「気ままに夢見る機」。これは物語が入ったカセットテープとアンテナを使って、見たい夢に入り込みその物語の登場人物になれる機械。現実世界で上手くいかないのび太は、せめて夢の中でいい思いをしたいとドラえもんに頼み込みこのひみつ道具を使う。

さてこの道具を使ったあと営業メールが届く。とあるカセットテープの案内だ。

タイトルは「夢幻三剣士」

ドラえもんはそのメールを捨てるが、タイトルを聞いたのび太はぜひ買って欲しいと。実はのび太は学校が始まる前と放課後にとある奇妙な老人と会っており、「夢幻三剣士の世界なら英雄になれる」と言われていた。

夢の世界で英雄になりたい一心ののび太は、怪しさなど感じる余地もなくすぐに夢幻三剣士の世界へ足を踏み入れる。

夢幻三剣士のストーリーを簡単に書くと、舞台であるユミルメ王国は幼霊大帝オドローム率いる幼霊軍に侵略されていた。そこへ白銀の剣士がやってきて王国を救うというもの。オドロームの傍にはのび太が現実世界で出会った奇妙な老人と同じ声の奇妙な鳥も。のび太は白銀の剣士役で夢に入った。夢に入るためのアンテナはのび太はもちろん、ドラえもんもつけており、さらにはジャイアン、スネ夫、しずかちゃんにも、寝ている間につけた。

夢幻三剣士の世界ではそれぞれ、ノビタニアン、ドラモン、ジャイトス、スネミス、シズカール(シズカリア)を名乗っていた。最初ドラえもんは夢の中でとりよせバッグを使うなど、夢の中で現実の要素を入れていたが、これに対してのび太が怒り、反省して次の日からは四次元ポケットを置いていくことにした。

さらに本気になるため、「気ままに夢見る機」の隠しボタンである夢と現実を入れ替えるボタンを押す。そのため朝いつものようにママに起こされるあの光景が"夢の中"ということになる。

5人は竜の谷へ行き竜を討伐することに。なんでも竜の血を浴びると不死身になれるとか。ノビタニアンは竜の弱点である髭を切り倒した。しかし罪のない竜を殺すことは優しい性格の"のび太"には出来なかった。そのことに対して竜は、今までのやってきた輩どもとは違うと言い、竜の汗を染み込ませた温泉に入らせることで「一度死んでも生き返る」能力を得ることが出来た。

その後幼霊軍との戦いで、ノビタニアンは敵の親玉オドロームに殺されてしまう。一度は竜の汗で生き返るも、再び攻撃... される前に現実世界(設定上夢の中)のママが気ままに夢見る機の夢と現実を入れ替えるボタンを押すことで死ぬことを免れた。

この道具は危険だとドラえもんは返品を依頼する。3日程度で回収に来る、と。のび太はジャイアン、スネ夫のアンテナを回収し、しずかちゃんはお風呂に入っていたのでお母さん越しにアンテナを回収しておいてと頼んだ。もちろんしずかちゃんは自分にそんなアンテナが付いているとは思わず...

その夜、のび太を夢幻三剣士の世界に案内した妖精シルクが突如気ままに夢見る機から飛び出し、急に白銀の剣士たちが居なくなるからユミルメ王国は滅ぼされかけていると。役割を放棄したことに責任を感じたのび太とドラえもんは夢と現実を入れ替えるボタンを押し、再び夢幻三剣士の世界へ。
ついでに、しずかちゃんも夢幻三剣士の世界へ...

3人はなんとかオドロームを倒し、ユミルメ王国を救うことに成功した。

シズカールは本来ユミルメ王国の王女であったが、父が白銀の剣士と無理やり結婚させようとすることに嫌気がさして偽名を使ってノビタニアンらと共に冒険していた。しかしオドロームを倒した後、シズカリアとして王国に戻り、「あの方となら...」と結婚を受け入れる。

そしていよいよ結婚式、と言った良いシーンで、あの奇妙な老人と似ている業者が気ままに夢見る機を回収して行ってしまった。

のび太が夢の結末を惜しみながら学校へ向かうとしずかちゃんがやってきて、昨晩の夢について語る。「夢の中ののび太さん、かっこよかったわよ」
そうして2人は登校する、ユミルメ城と同じように山の上に聳え立つ学校へ。

問題のラストシーン

この作品の何が問題かと言うと、結末の回答が与えられていないということ。
まず、のび太たちは夢と現実を入れ替えるボタンを押して夢幻三剣士の世界に入り、オドロームを倒してのび太としずかちゃんは結婚する。その直前に気ままに夢見る機は回収された。その後登校シーンがあるが、学校が山の上に聳え立つ描写で、本来の学校の場所とは明らかに違う。
ここで考えられる仮説は2つ

①気ままに夢見る機の夢と現実を入れ替えるボタンはまだ作動していて、ラストシーン自体が夢であること。
②気ままに夢見る機の夢と現実を入れ替えるボタンはもう作動しておらず、ラストシーンはただの夢の中であること。

後者である方が無難な回答。しかし前者を考えると、まだ夢と現実が反転していてのび太(ノビタニアン)は結婚式直前に寝てしまった、となる。そもそも奇妙な老人、奇妙な鳥、回収業者の正体自体が謎に包まれているため、①の仮説と謎の人物という要素が合わさって"不気味なストーリー"とされているのだと感じた。

近頃老人に電話越しでよく分からない高額商品を買わせてる詐欺事件があるが、奇妙な老人は同じようにのび太の現実世界で上手くいかないということに付け込んで夢幻三剣士を買わせたのだろう。謎はあるがこれがリドルストーリーの醍醐味でもある。

今回の締め

カセットテープがVHSのような形で時代を感じたが、リメイクするとしたらBlu-Rayディスクになるのか。そもそもドラえもんは未来のお金をどのようにして稼いでいるのか。のび太の世話そのものが仕事で給与が入る仕組みでもあるのだろうか。公式設定に書いてあるのかもしれないが、夢幻三剣士の12回払いを提案される時点でお財布事情は察してしまう。そもそも夢幻三剣士いくらだったんだ?

夢幻三剣士の説明で現実世界にも影響が出る可能性を示唆されていたが、ラストシーンがそういったこととも関係しているのか、無理やり夢幻三剣士が回収されてしまったことで、ゲーム中にソフトを抜くとデータが破損してしまうバグのようなものが発生してしまったのか、考察は深まるばかりである。

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