大阪紀行② 東洋のゴージャスヘヴン サウナ&スパ大東洋
ご機嫌麗しゅう。火中の栗と申します。
前回に引き続き、7月に行った大阪旅行の模様をスポットごとにご紹介していきたいと思います。
第一回はこちら
前回のあらすじ
平日の昼間に大阪入りした休職者火中の栗（31）。
昭和の混沌を残す駅ビル、大阪駅前ビルで昼飲みやレトロゲーセン、大阪万博を楽しみにするおばちゃんによる占いを堪能したのち、友人に指定された待ち合わせスポット、サウナ&スパ大東洋に向かう。
GO TO サウナ&スパ大東洋
大東洋は友人イチオシのサウナ施設。
友人の仕事終わりが19時くらいとのことで、それまでのんびりサウナに入っていてくれとの粋な待ち合わせだ。
Google Mapで調べたところ、大阪駅前ビルから大東洋までは15分程度とのこと。時刻は16時30分程度。結果として道を間違えたり、道路工事で回り道をしたりしたのでちょうど17時頃の到着となった。
道中は阪神梅田本店や屋上に観覧車のあるHEP FIVEなど梅田らしいスポットを尻目に歩けたので観光気分も満たせたので良しとする。
SPOT② 梅田Lateral
途中、MAPに「梅田Lateral」の文字が。
ラテラルは梅田にあるトークライブを中心としたライブハウスで、自分はツイキャスで毎週怪談を垂れ流すチャンネル「禍話」の配信ライブを2回ほど見たことがある。こんなところにあったとは。
直近のライブスケジュールを見ると、当日の夜にミュージシャン七尾旅人と細井徳太郎のツーマンライブ、翌日の夜にはセクシー女優天使もえのオールナイトイベント、週明け月曜日には朝から推しの怪談師たちが集結するトークライブがあったりと、めちゃくちゃ興味がそそられるラインナップ。
結果としてラテラルに伺うことはできなかったし、もし月曜日までいたら新幹線の運休で帰ることができなくなっていたのだけど、それでもいまだに後ろ髪を引かれる思いだ。実際、東京に帰れなくなった怪談師が急遽ラテラルでライブをしたりしていたので、それを楽しむ世界線もあったかも知れない。
いつか是非行きたい場所の一つだ。
SPOT③ サウナ&スパ大東洋
気を取り直して大東洋。
猛暑の中歩き疲れてまともな写真がないが、入り口からしてラグジュアリーな感じが醸し出されている。
スパ施設の他に格式の高そうな中華料理屋があり、大阪らしい予約ラインナップに心が躍る。56年同期会って、昭和56年なのかな。
エントランスで各階の情報を見るに、９階まで全て大東洋。
レディス専用エリアも充実していて、東京にありがちな男性専用施設ではないこともポイントが高い。
４階の大浴場でさっぱりした後、５階のコミックラウンジでくつろごうと決意しながら入店。
１階エントランスでチェックインをしていると、「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格保有者向けの割引があるとの案内を発見。平日2500円を2400円に割引してもらえることに。100円の差ではあるのだけど嬉しい。
いざ入浴
公式HPに「手ぶらで楽しめるスパ&本格サウナ」とあるように、フェイスタオル、バスタオル、そして館内着を持って上がるスタイル。まずはロッカースペースで館内着にお着替え。ロッカースペースでは明らかに仕事の電話をしている関西弁のおじさんがいた。外回りから直帰のテイでサウナに来たのだろうか。自分も前職の営業職では同じことをしていたのでめちゃくちゃ共感した。
大浴場に入るとまず、その広さに驚いた。
サウナ３種類、温度差のある水風呂２種類、そして同じく温度差のある水風呂壺湯が２種類、そして室内のジェットバスや薬湯に加え、マイクロバブル湯の露天風呂まで完備。サウナ浴に重要な”ととのいチェア”も内湯、外湯ともに充実。
そして予想外に嬉しかったのが、気温を約0℃に設定した”ペンギンルーム”。浴室内は暑いし、露天すら気温が高い。そんな時にしっかりクールダウンできる場所があるのは夏場にとてもありがたい。
まずは汗だくの体をしっかりと清め、露天風呂に直行する。
露天は観葉植物で目隠しされているのだけど、梅田の街をやんわり眺めることができる。知らない街の景観に、旅をしてきたのだと思い起こされる。
サウナの１セット目は、70℃程度の中温に設定された”フィンランドサウナ”へ。ここではセルフロウリュも可能で、５分間の砂時計が落ち切ったらロウリュタイム。自分は新参者なので控えめにしていたが、すかさず誰かが「ロウリュしてもいいすか？」と一言断ってロウリュしてくれる。
温度は中温でも、湿度がしっかりと保たれるので温度以上に熱を感じる。9分ほどで水風呂にゆき、そしてペンギンルームに直行。めちゃくちゃ気持ちいい。
おっパプとアウフグース
そうこうするうちに時刻は17時30分になり、高温の”ロッキーサウナ”でアウフグースを行うとのアナウンスが。どうやら16時30分から1時間ごとにアウフグースのサービスが行われ、自由に参加できるようだった。
毎時間やるなんてすげー！と思いながらロッキーサウナへ。
若い熱波師がアロマ水を重たそうに持ち込み、照明を落とす。本来はテレビも切るようなのだが、阪神戦がやっていたので「音量だけ落としますね」と消音する。さすが大阪やで。
サウナ室内が満員になったところで、おもむろにアウフグースが始まる。
「それでは17時30分のアウフグースを担当させていただきます。本日のアロマはユーカリです。ミントの爽やかな香りをお楽しみください」
一同拍手。
「・・・実は自分、昨日生まれて初めておっパブに行ってきたんですよ」
一瞬の静寂の後、先ほどより大きな拍手と笑い声が上がる。
「めちゃくちゃ楽しくて、そのまま朝まで友達と飲み明かしたんですよ。だから全然寝てなくて。いつもなら歌ったり踊ったりするんですけど、今日は仰ぐのに専念させてください」
再度爆笑と、方々からいいよー！よかったなー！との声が上がる。
めちゃくちゃあったかい空間やないか。
おっパブ兄ちゃんのアウフグースは寝ていないながらも力強く、いつもの躍りの分までタオルに込めて仰いでいるようだった。とはいえ上げるロウリュのバランスがよく、肌が焼けるような熱さはない。つまりちょうどいい。
しっかりと汗をかかせてもらって、再度水風呂からのペンギンルームで優勝する。
まだ時間はたっぷりある。1時間後、18時30分のロウリュも受けるぞと心に決めた。
ピンクレディーとアウフグース
風呂に入ったり、サウナに入ったり、梅田の雲が流れるのを眺めたりしているとあっという間に18時30分になった。
次はまた違う熱波師のお兄ちゃんがアロマ水を運んでくる。テレビではまだ阪神戦をやっていて、音量だけ落とされる。
「それでは18時30分のアウフグースを担当させていただきます。18時半はパワフルロウリュと銘打ってますけど、普通にしっかりやらせていただきます。他の熱波師さんは歌ったり踊ったりするんですけど、自分は仰ぎメインでやらせていただきます」
踊ったりするのはさっきのお兄ちゃんだ！と思いつつ、熱すぎるロウリュにトラウマがあるのでむしろありがたい。
「実は僕、今日で熱波師辞めるんですよ。まだ夜の回が一つあるんですけど、それで正真正銘最後になります」
なんだって。自分は最前列に座っていて近かったこともあり、気づけば「なんで辞めちゃうんですか？」と口をついていた。
「自分、もともと九州で警察官やってたんですよ。警察を辞めて、自転車で日本一周の旅をしてて。1ヶ月くらいここで熱波師やってたんですけど、また旅に戻って東北を目指します」
「また旅先で仰ぐんですか？」
「いや、もうタオルを握ることはないですね。ここでタオルを置きます」
まるでピンクレディーがステージにマイクを置くような話じゃないか。
まさかサウナで熱い身の上話を聞くとは思わなかった。人情に熱い大阪の空気がそうさせるのだろうか。
旅人のロウリュはしっかりと熱く、仰ぐタオルも力強かった。
仕事が嫌になって休職し、大阪に遊びにきている自分には深く刺さるものがあった。顔から滴る汗は、本当に全てが汗だっただろうか。
ロウリュ、アウフグースのサイクルを３回も繰り返し、室内は相当熱くなっていたのだが、途中退出する者はいなかった。
「これで終了となります！ありがとうございました！」
終了後の拍手は、これまでどの施設で聞いたよりも大きな拍手だった。
「旅、頑張ってください」と声をかけて退出した。
ペンギンルームで全身を冷やしながら、やりたいことに向けて邁進するって美しいな、自分は何に向かって邁進しようかな、と身体と反比例して熱くなる胸を抱えていた。
次回予告
夜はこの旅のメインディッシュ、大阪のディープスポット「味園ユニバース」へ。
大阪に異動となりウハウハの友人が抱える悩みとは？
そして旅を羨んだ東京の友人が緊急参戦！？
次回、夜のユニバース編、デュエルスタンバイ！