ゆく風呂くる風呂 〜タイムズスパ・レスタ・オブ・ザ・デッド〜
ご機嫌麗しゅう。火中の栗と申します。
昨日に引き続き、以前書いたお風呂の記事が掘り起こされたので加筆・修正して再放送します。
書いたのは2021年。
前職の超過剰労働の中でよく書いたなと思うけど、似たような状況にあってサウナに目覚めた2016年のことを思い出しながら、サウナに救いを求めてたんだな…。
ゆく風呂くる風呂 〜タイムズスパ・レスタ・オブ・ザ・デッド〜
今や空前のサウナブーム。
サウナ界のバイブル、漫画サ道のドラマ化を皮切りに、あらゆるメディアでサウナを目にするようになった。
ブームに乗りに乗って、元来風呂好きであちこちの温泉やスパ銭に行っていた僕も、今ではくたびれリーマンサウナーとして日夜サウナを求めてさまよい歩いている。
今回のテーマはくたびれリーマンサウナーとしての原点、またはグラウンド・ゼロである東池袋 タイムズスパ・レスタである。
ここに通い始めたのは今のようなブームが巻き起こる少し前、2016年頃。
新入社員として会社勤めを始めた頃である。
正直人生で一番つらかったと言っていい時期だ。胸を張って言ってもいいかも知れない。
自分の至らなさを棚に上げて、深夜残業、過労死ライン、恫喝パワハラなんでもありの環境のせいにしてくさりきっていた時期である。
そんな頃に深夜残業を終え、帰るに帰れなくてたまたま行き着いたのが東池袋のタイムズスパ・レスタだった。
ここはその名の通り駐車場のタイムズが運営するスパ施設で、ラグジュアリーな内装とツボを抑えたサウナスペックで大人気の施設である。
漫画サ道一巻の巻末特集「トッププロサウナー濡れ頭巾ちゃんが選ぶ、ととのいすぎちゃう全国のサウナ厳選50選」にもしっかり載っている。
その頃は別にサウナの良さを知らなくて、もっぱら露天風呂メインで浸かっていた。
そう、大都会池袋のくせに露天風呂があって、しっかりインフィニティチェア(寝転がれるタイプの椅子)がある。
過酷を極め始めた冬空の下で、風呂で温まっては外気で涼む温冷交代浴を楽しんでいた。
そんな僕も風呂好きとして、サウナの後に水風呂に入ると良いらしいという漠然とした知識は持っていた。
ここの水風呂は青い光でライティングされていて、なんとも清涼感たっぷりで美しい。
なんとなく興味をひかれてサウナに入ったのが、今思えばサウナーとしての始まりだった。
木製のドアを開けると、確かな熱気に一瞬たじろぐ。
しかし湿度管理が抜群に良いので不思議と息苦しさは感じない。
深夜とも早朝ともつかない時間は貸切状態で、ひとまずテレビの前に陣取って大麦若葉のPR番組を眺める。
重病からの生還。将来に対する不安。そんな時に出会った救い、大麦若葉の青汁。
「これだけはもう手放せませんな」
しわくちゃの笑顔を見せるおじいさんの顔がアップで映る。
僕も切実に救いを求めていた。
あつい。あつすぎる。疲労困憊の身体に熱気がこたえてすぐに限界が来た。
サウナ室を飛び出し、近場の浴槽の湯で掛け湯をしてからおそるおそる水風呂に浸かる。
冷たい。冷たすぎる。サウナー仕様の15℃の水風呂は驚くほど冷たかった。
身体が冷える前に手足の末端が痛くなり、水風呂も元気に飛び出して浴室内のととのいベッドに倒れ込んだ。
心臓が早鐘を打ち、目を瞑ると光の残像が鼓動にあわせて脈動する。
あーなんか”来た”なー。
そう思っているうちに意識が遠のき、気づくと1時間タイムスリップしていた。
目覚めると不思議とスッキリしていた。
慢性的な寝不足のせいで寝落ちしただけではあるけど、サウナ→水風呂のリラックス効果の原体験であったのだと思う。
それからときどき、半ばわざと終電を逃してレスタに駆け込むようになった。
今では当時の仕事を離れ、住む場所も変わったせいでレスタが第一候補に上がることは減ったのだけど、最悪サウナ行けるな、という気持ちだけがモチベーションとなって仕事と格闘できる日も少なくない。
「これだけはもう手放せませんね」
サウナという名の大麦若葉を見つけたくたびれリーマンは、サウナーとしての一歩を歩み始めるのであった。
編集後記的なもの
2016年をB.C.にすると、もうサウナ歴8年になる。
社会人になった年月とそっくりそのまま重なるので、僕の半生はサウナと共にあったと言ってもいい(大袈裟)。
色んなサウナに行ってきたけど、あの頃レスタに感じた救いとか、サウナに対する初期衝動は今も自分の深い部分に根っこを伸ばしてるように思う。
レスタにはしばらく行けていないのだけど、昨年館内をリニューアルしたそう。
男性サウナには大きな変更がなさそうだけど、何と女性浴室にオートロウリュ付きのフィンランドサウナができたとのこと!
以前はミストサウナのみで女性サウナーにはおすすめしづらかったのだけど、晴れて男女に向けた最高ラグジュアリーサウナになったのだ!
レスタはラグジュアリー極まる内装とホスピタリティで、なんかどこを歩いてもいい香りがする。
ぜひサウナに馴染みのない女性に行ってみてほしい。
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