偏愛を語る vol.7 〜森田まさのり〜
一番好きな漫画「べしゃり暮らし」。
自称"学園の爆笑王"の高校生:上妻圭右がお笑い芸人を目指す物語。
作者は「ろくでなしBLUES」「ROOKIES」の森田まさのり。
森田作品を初めて読んだのは、中学校の時。
野球部の同期の家に遊びに行った時に「ROOKIES」を読んで釘付けになった。
当時、まだ確か「ROOKIES」は週刊少年ジャンプに掲載されていた。
「ROOKIES」のことは知っていたが、読んだことはなかった。
なぜなら、読み飛ばしていたから。
当時のジャンプに掲載されていた作品は、ワンピース、NARUTO、HUNTER×HUNTER、シャーマンキング、世紀末リーダー伝たけし!、テニスの王子様、ヒカルの碁、ピューと吹くジャガーなどなど。
今思い出しても、青春がぎゅうぎゅうに詰まっているラインナップ。
その中で「ROOKIES」は絵のタッチが濃ゆく、読みづらさを感じていた。
でも、読んでみるとどうだろう。
とにかく深く、物語の中に引き込まれる。
キャラクターの表情から、感情がリアルに伝わる。
嬉しい。悲しい。ムカつく。高揚する。
展開の面白さ以上に、生きているキャラクターが物語を繰り広げる面白さがある。
そして、気付いたら自分が物語の一当事者になっているような感覚に陥る。
あれだけキャラクターに命を吹き込める漫画家さんは、他に居ないと思う。
「べしゃり暮らし」は、お笑いを題材にしたヒューマンドラマ。
笑いあり、涙あり。圭右とその周りの人々が、もがきながらも成長していく物語。
さまざまな感情が渦巻く、まさに森田作品の真骨頂。
あの時、野球部の同期から勧められなかったら、人生の中で森田作品と出会う事はなかったかも。
もしあの時、森田作品と出会っていなかったら。
それは、まさに人生の大損と言っても過言ではないと思う。