誰か私に気づいて欲しい
歯が痛むのか、
歯茎にできた口内炎が痛むのか、
とにかく口の中が今朝は不機嫌で居心地が悪かった。
わたしのラッキーカラーのイエローのタイルを使った、
三軒茶屋駅に着くと、通り抜ける風に前髪が乱された。
この駅がわたしは好きだ。
18歳からの一年間、たった一年間住んだだけの三軒茶屋の街は、
わたしのキラキラした思い出がたくさん詰まっていた。
二十年経た今でも、
この駅に降りると
嫌な朝も疲れた夜もすべて詩的に無駄にならない時間に思えた。
演劇やミュージカルのポスターが並ぶ地下通路を抜けて、
小さな世田谷線に乗り換えて職場へ向かう。
一つ前の駅で降りて、
お気に入りの神社にお参りしながら、
一駅分散歩しながら通勤するのが日課になった。
こんなにも今日空が澄んでいるのに、
夜は大好きな人にも会えるというのに、
なんだか憂鬱だった。