思ってたんと、ちがう。
彼は慣れた様にホテルのフロントにはいり、
「どこにしますか?」
と部屋の写真がずらりと芸術的に並んだパネルの前で、
そのパネルに顔を向けたまま尋ねてきた。
こういう時、
金額を気にするべきなのか、
雰囲気を気にするべきなのか、
あえて1番お高いところとか選ぶべきなのか、
わたしの頭の中は、
意外と冷静に稼働していた。
なんとなく2番目くらいに手頃な部屋が空いていたので、
そこを指さした。
フロントで彼が事前精算を済まし、
鍵を貰ってエレベーターに乗り込んだ。
なんだかワクワクするような、
気まずいような、帰りたいような、、
あっという間にその部屋の前につき、
彼は先に入っていった。
わたしは、
まるで旅館にでも来たように、
「わぁーー意外といい部屋ですね☆ベッド大きいーー♪」
などとはしゃいでみたりしてる間に、
彼はお風呂にお湯を貯めにいった。
上着をぬいで、
なんとなくソファにふたりで腰かけて、
タバコに火をつけた。
(正確にはアイコスの電源をいれた)
軽く酔っ払っていたわたしも
気持ちは冷静、からだはフワフワ
なまま、
何となく、照れくさく下を向いたまま煙をはきつづけた。
彼がテレビのリモコンを見つけ、
なんとなく彼の好きそうな洋画を選んで、
よくわからない岩盤浴のようなホテルのBGMから、
低い英語の音声が流れる“2人の部屋”に、なった。
なんとなくお風呂が準備できたようだった。
「一緒にはいりますか?」
と、彼に言われ、
「あ、でも恥ずかしいです。人前でハダカになるの、ほんとに久々だし、、」
などもごもごしてたら、
「今更なに言ってるんですか笑」
と、笑いながら彼が先にお風呂へ向かった。
わたしも、
たしかに。せっかくだから思い切り楽しもう
と覚悟のようなやけくそみたいな気持ちで、
服を脱ぎ捨て、
彼のいる浴槽に、
飛び込んで行った。