ネジ が外れた日。
結婚7年が過ぎ、
念願のマイホームも決まり、
パートタイムの仕事も、
楽しく充実していた。
家庭の外での生活が楽しく、
自由でいられる、
わたしが、母でもなく、
主婦でもなく、
わたしでいられる時間だった。
職場は、
わたしにとってオアシスのように、
新鮮な空気を思い切り吸い込むような、
身体中に、
綺麗な水が満たされるような、
とにかく
仕事が楽しくて仕方がなかった。
同じ職場の違う部署にいた彼は、
わたしの1つ年下で、
あまり話さない人だった。
わたしも何一つ、意識すらしなかった。
むしろ、結婚してから旦那以外の男性に、
興味を持ったことがなかった。
だけど、
ある日、パート仲間に家庭内の愚痴を聞いてもらっているうちに、
感極まって、わたしの涙がこぼれた。
たまたま通りがかった彼が見ていた。
その日の退勤時間、
帰りがけに彼が声をかけてくれた。
「大丈夫ですか?僕でよかったら、聞きますよ。」
たしか、そんな風に。
旦那さんと子育ての仕方が合わない事、
でも旦那さんにはとても感謝している事、
そして、
旦那さんと、
もう5年近く、セックスレスな事。
彼が、
「今度、飲みにでも行きますか。」
わたしの頭のネジが、
少しづつ、
緩んできた気がした。