ファンタジー地図描き方講座~シティマップ編~
前書き
ごきげんよう。
皆さん、ファンタジー地図はお好きですか?
ファンタジー小説の表紙裏なんかに描いてあるその世界の地図。
指輪物語やゲド戦記、エルマーとりゅう……
例をあげればいくらでもありますけれども
あれ、いいですよね。
私も昔からあの手の地図が大好きでして、どれくらい好きかと言うと自分でも描いてみるくらいなのですが
先日Twitterに自己流の地図の描き方を投稿したところ、予想外に反響をいただきました。
折角なので、その内容をまとめてこちらにも残しておこうと思います。
内容に関しては、字数制限により削ったぶんの補足などはしますが、基本的にTwitterでの解説と同じなので悪しからず。
皆さんも地図を描いたら、是非私にも見せてくださいね。
それでは本編を始めていきましょう。
今回の解説は
「TRPG用のマップとして使用する都市の地図」
という前提で話を進めます。
あくまでも素人である私の自己流ですのでお手柔らかに。
準備編 都市の設定を練る
都市の核を決める
地図を描くにあたり、その対象である都市についての設定はあればあるだけ困りません。
設定が詳細につまっているほど後の作業が楽になります。
では、そのアイディアはどのように出していけば良いのでしょうか。
私のオススメは大枠から、都市の核となる設定から決めていくというやり方です。
都市の核となる設定とはなにか。
それは言い換えるならば
「その都市の最も特徴的なポイント」
「他の都市と差別化できる特色」
などとすることができます。
都市のコンセプトとも言えます。
具体例を出しましょう。
○都市機能から考える
国境近くにある軍事都市
巨大な港を有する商業都市
研究機関を中心とした学術都市
○名所やランドマークから考える
海を照らす白亜の灯台
あらゆる本を集めた大図書館
女神像を祀る聖堂
○立地から考える
湖の上の水上都市
切り立った山の山腹
天空
このように都市に個性を与えてやることで、後々その個性を軸にその都市全体を設計することが出来ます。
参考までに、図1でご紹介した「エインベール」という都市は、
湖の畔にある
エルフが建設した古めかしい都市
かつては繫栄していたが現在は不毛の地と化しており、犯罪も多く猥雑な雰囲気
などの核から制作しました。
コンセプトを考えるにあたって参考となる書籍をご紹介します。
「シティーメイキングガイド1 レイアウト編」
都市を、その役割ごとに区別したうえで網羅的に解説しており、具体的にイメージを固めるうえで大変役立ちました。良書です。
また、Wikipediaの「都市」のページも参考になるので目を通すことをおすすめします。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%BD%E5%B8%82
コンセプトからイメージを膨らませる
都市のコンセプトが決まったら、そこを軸にしてさらに都市のイメージを膨らませていきます。
例えばコンセプトを「大きな灯台を有する都市」に決めたとしましょう。
そこからイメージを膨らませると以下のようになります。
灯台がある
→海沿いに建設された都市だ。
→船が多く出入りする都市だ。商船の出入りする商業都市か、軍艦が発着する軍事都市か。
→大きな灯台があるという事はそれなりの人数の出入りがあるだろう。都市の規模は中~大規模だ。
このように、どんどんイメージを広げていきましょう。徐々にあなたの都市の全貌が見えてくるはずです。
また、都市のイメージを膨らませるもう一つの手っ取り早い方法として
「その都市を舞台にしたセッションをはじめてしまう」という手段があります。
見切り発車的で少々乱暴にも見えますが、キャンペーンシナリオなら序盤はちょっとしたメモ書きでも十分に事足ります。
まずはその都市で遊んでみましょう。遊んでいると、その都市に必要な施設や場所が勝手に見えてくるはずです。忘れないようにそれを毎回メモに書き足し、都市を充実させていきましょう。
パーツをリストアップする
さて、ここまでくれば都市の大まかな形は既に見えてきていると思います。
実際に下書きに取り掛かる前に、最後の準備を済ませましょう。
まず、都市を構成する要素を一度リストアップすることをおすすめします。
構成要素とはその都市にある建築物、商店、ランドマークなどのパーツのことです。この作業をしておくことで、実際の地図製作に取り掛かった際に入れ忘れを防ぐことが出来ます。
宿屋
酒場
港
広場
など、思いつくままに箇条書きでリストアップします。
参考になる書籍をご紹介します。
「シティーメイキングガイド2 パーツ編」
この本は先に紹介した「シティーメイキングガイド1 レイアウト編」の続編です。都市全体の解説がされていたレイアウト編とは異なり、こちらでは都市のパーツ単位での解説がされています。こちらも大変おすすめです。
資料を集める
地図を描くにあたり、参考にする資料の存在は重要です。
と言っても、それほど大袈裟な話ではありません。
例えばTRPGのルールブックやシナリオに添付されている地図はよい参考になりますし、お気に入りのファンタジー小説の地図などもよいです。Googleで「Fantasy map」などと検索しても良い資料が見つかることでしょう。
設計編 都市の骨組みを形どる
都市の大まかな形を決定する
ある程度設定が練れたならば、いよいよ紙の上での設計に着手します。
まずは都市の大まかな形を決めましょう。
世界には様々な都市が存在しますが、オーソドックスな形としては二種類あります。「放射状都市」と「格子状都市」です(図3)。
現実にある都市ですと、放射状都市はパリ、格子状都市は京都などに見られます。その都市の目的や文化背景などを考慮しつつ、迷ったらこの二つを参考にするとよいでしょう。
また、このタイミングで外壁の有無や、川・海岸線などの自然物との関係なども固めるのが良いかと思われます。
ある程度形が決定したならば、紙の上に都市を書き始めます。
まずは一本線で道から書き始めるのが私のおすすめです。
大きな本道と、それらを繋ぐ脇道を書くことで、先程決めた都市の形になるように全体を形どります。
細かい小道を書く必要はまだありません。主要な道だけで結構です。
外壁や橋など都市の形にかかわる建築物や、川や海岸線などの自然物もざっくりと配置します(図4)。
全体の構成を計画する
全体図が完成したら、準備編でリストアップした各要素を都市に配置していきます。
配置のコツは、都市の中心部を意識することです。
都市の中心部には
放射線都市ならば中央の広場
格子状都市ならば縦横の大通りが交わる交差点
宮殿などの重要施設近辺
港や街道など交通の要所
などのポイントが該当します。
なぜ都市の中心部を把握することが大切かと申しますと、都市を構成するそれぞれのパーツをいかにももっともらしく配置する際に役立つためです。
例えば町の中心部である要所にだだっ広い農地や墓地が広がっていたら少々違和感がありますよね。
こういった要素は郊外に配置されていた方が自然ですし、逆に中心地には行政施設などの重要施設を置いた方が説得力が出ます(図5)。
再びエインベール(図1)を例に出せば、行政の中心である議事堂は中央広場に面した大通り沿いに、娼館や阿片窟などのアウトローな施設は町の辺境に配置されています。
ここで注意したい点として、中心部は必ずしも物理的な都市の中央にあるとは限らないという事に気を付けてください。
(確かに同心円状に広がっていった都市は往々にして都市の中央が中心部を兼ねますが)
重要なのはあくまでも町の要所であるかどうかであり、それを決定するのは道の流れや施設の位置取りです。
パーツを全て配置し終えれば地図の骨組みは完成です。
さて、骨組みと申しましたが、実はここまで仕上げれば地図としては既に十分に完成していると言えます。
TRPGの道具としては問題なく役割を全うすることでしょう。
ここから先は地図をより魅力的に仕上げる作業になります。
下書編 都市を描き出す
下書きをはじめる前に
まず、新しい白紙を用意します。サイズはA4程度が手ごろで良いかと思われます。
どのような紙を使っていただいても構いませんが、もしも清書の段階で万年筆やガラスペンなどを使いたいのであれば、必ず紙はインキに対応したものを選びましょう。
地図作りは後半になるほどミスの取り返しが面倒です。せっかく下書きしたのに清書でインキが滲んだりすると全てやり直しとなってしまい泣きたくなります。
私のおすすめの紙がこちらです。
滲みも少なく、重宝しています。
下書きに使用するのはシャープペンシルや鉛筆です。
清書をしたあとに下書きを消すので、書く際は跡がつかぬよう筆圧を弱め、出来る限り薄く書くことをおすすめします。
また、あまり濃い芯を使用すると消しゴムで消した際に黒い汚れが残る可能性があるので、こちらも注意してください。
下書きを書き始める順としては設計編の作業を踏襲すると良いでしょう。
すなわち、
はじめに大通りや自然物、外壁で全体の形をとり
配置した町の施設類を並べ
家などの細部を描き込み完成へと近づける
という手順です。
極論を言えばどんな順番でもいいのですが、この手順なら破綻が少なくなるのではないでしょうか。
また、もう一つのポイントとして、「一つの場所にこだわり過ぎない」というのも重要です。
まずはここを完成させて、次はここ…というように書いていくと、少しづつ蓄積したズレに気が付かず、完成間際に取り返しのつかないことになる恐れがあります。
全体を同時に仕上げる感覚を意識しましょう。
以上を踏まえ、紙に下書きを描いていきましょう。
都市に道を敷く
はじめに大通りや外壁を書いていきます。
ここについて解説することはそれほどありません。設計編の作業でほとんど完成しているためです。
準備編で集めた資料などを参考に形を整えてあげましょう。
書き方は二本の線を並べれば現時点では十分です(図6)。
道の輪郭はこの後の建物を並べる作業で仕上げるので現時点では拘らなくて構いません。また、裏路地などの小道も後ほど作るため描く必要はありません。
道を書く際のポイントとして、幅で表情の差別化すると良いでしょう。
当然の事ながら、太ければ重要な道、細ければ脇道を表現できます。
この段階で道幅を決めれば後々のズレが小さくなります。
また、
道が直線的なら近代都市、曲がりくねれば寒村
整備されていれば主要部、入り組んでいれば郊外
などの表現も可能です。
(※注意※私は別段、都市計画の専門家ではない素人なので、↑の例が現実的に正しいかは正直わかりません。 東京とか、かなり入り組んでますもんね。 この辺はフィーリング、お好みでどうぞ)
パーツを配置する
次に町の構成要素である施設類を書き込んでいきます。敷いた道の周りに建物を配置しましょう。この段階では単なる四角を描き込んでおけば問題ありません。
この作業も設計編でほとんど終わっているようなものですが、道を書いているうちに自分の町に違和感を覚えてくる事があります。
この施設はここよりもこちらにある方が自然なのでは?
などといった具合に。
そのような場合は、いっそ思い切って場所を変えてしまったほうが上手く行くことの方が多いでしょう。
これより後の作業での施設の場所変更は、不可能ではありませんが少々手間を要します。
このタイミングでしっかりと悩み、決定することをおすすめいたします。
施設をすべて配置することで、地図に文字を入れる作業が可能になります。
先程書いた四角の上から文字を書いてください(図7)。
この際、道や門、広場などにも名前をつけてあげる事を強くおすすめいたします。 この一手間で、あなたの地図を使ったセッションが、必ずやより豊かなものになることでしょう(図8)。
文字入れのタイミングで、地図の名前を入れる欄や方位記号(図9,10)のためのスペースも確保してしまいましょう。
細かい家々などの下書き作業に入る前に場所を取っておいたほうがスムーズだからです。
飾り枠の書き方などはネットの方が分かりやすいでしょう。お好みのものをどうぞ。
細部を書き込む その1
下書編の最後に、町の詳細を書き込んでいきます。
この工程が地図作りの一つの山場であり、骨の折れる部分です。 これが済んでしまえば、全体の八割方が完了したと申しても過言ではないでしょう。
おそらく町の大部分を構成するのが民家などの名も無き建物群ですので、これらを書いていきます。
方法は主に2つです。
①色分け
該当する地区ごとに色を塗り、欄外に凡例を用意する方法です(図11)。
色を使わないのであれば、網掛け等の模様で区別する方法もあります。
簡単なのがメリットです。
②一軒一軒の書き込み
名称のある施設同様、単純に建物を一軒一軒書き込んでいく方法です(図12)。
デメリットは2つあり、一つは圧倒的に手間であること、そしてもう一つは地図としての視認性が悪くなることです。
メリットは地図にさらなる表情が生まれることでしょう。 また、入り組んだ小道なども表現しやすいです。
私は後者を好みますが、これは一長一短です。
書きたい都市の規模などによっても適切な手段は変わりましょう。お好きな方をお選びください。
今回の解説では後者の書き方を説明していきたいと思います。
お手元の地図をご確認ください。
ここまでの作業を終えていれば、街全体に主要な道路が張り巡らされ、それによって複数の区画が成立しているかと思われます(図13)。
これを1ブロック。一つのまとまった単位として書いていくのが私のおすすめの書き方です。
手始めに、これまで散々後回しにしてきた作業、すなわち小道や路地の設計を行います。
ブロックの中に線を引いて道を作ってください。
この時のポイントとして、路地のあたりをとる際は「一本の線で」行う事をおすすめします(図14)。
主だった理由は2つです。
①二本線で書いてしまうと道と建物の区別が付きにくくなり混乱する
この後、路地の周りに建物を敷き詰めていく作業が待っているのですが、もしも路地が二本線で書かれていると、どれが道でどれが建物かわからなくなり、道が途切れても気付かないなどのミスを誘発します(図15)。
②路地の表情が乏しくなる
せっかく一軒一軒建物を書くという過酷な道を選んだのだから、表情豊かな道を書きたいというのが人情というもの。
はじめに二本の線で肉付けしてしまうと、建物もズレなくぴっちりと整列することになり、いささか無機質です。路地は多少ガタついたほうが表情が生まれます(図16)。
細部を書き込む その2
具体的な路地の引き方を説明します。
路地の基本は「ブロックを分割する十字」です。
道の成立する要因は「別の場所へ行きたい」という欲求です。 であるならば路地の形はブロックを囲む4つの大通りを最短で結ぶ形、すなわち十字が基本となるはずです。
あとはこれにバリエーションを用意してやります(図17)。
“基本の十字”にお好みの枝道を生やしてやれば路地の完成です。
袋小路などをたくさん用意し、迷路のように入り組んだ路地にすればするほど、そのブロックは猥雑な印象をまとうことでしょう(図18)。
細部を書き込む その3
路地が書けたならば、ようやくその周囲に建物を敷き詰める作業です。
この作業を進める上でのコツを3つご紹介します。
①どの道にも面していない建物を作らない
単純な話ですが、道に面していない建物は出入りが不可能になるため、存在すると強く違和感が生まれます。
(このような土地のことを”袋地”と言うそうです)
面する道は路地でも大通りでも構いませんが、とにかく建物のどこか最低でも一辺は道と触れさせるようにしましょう。
路地の形を少し手直ししてみる
中庭などの、建物がない空間にしてしまう
隣の建物と合体させ、一つの大きな建物にする
などの対応で袋地を回避することが出来ます(図19)。
②建物を四角以外にすることを恐れない
地図を埋めていく際、四角を敷き詰めるのは最も手軽な方法ではありますが、路地との兼ね合いでどうしてもそれが難しい場合があります。
そういった場合は三角形や台形の建物にすることも検討しましょう(図20)。
また、建物が四角ばかりというのは単純に面白みにもかけます。 三角形や台形を混ぜ込むとブロックにメリハリが生まれるという効果も期待できます。
書いている最中は、思い切った建物の形に違和感を覚えるかもしれませんが、周りが埋まるにつれ不思議と馴染んでくるものです。
③建物を綺麗に並べすぎない
これは路地を書く段で既に説明しましたので詳しい解説は割愛いたします。
建物のサイズを変えたり、縦長にしたりして程よくガタガタに並べましょう。
当然、ガタガタ過ぎるのは考えものです。
やりすぎると作為的に見えてしまったり、路地が道として不自然な形になったりしてしまいます。
建物を並べる作業は、同時に路地の肉付け作業であるということを常に意識して書き込んでいきましょう。
以上3点に気を配りつつ、街全体に建物を敷き詰めることができたのならば、晴れて下書き作業は完了です。お疲れさまでした。
清書編 都市を完成させる
清書をはじめる前に
下書きが終わったら、ペンで清書をしていきます。
清書に使用するインキは大別して2種類です。
つまり「油性」か「水性」かなのですが、結論から申せばどちらを使用してもよろしいでしょう。
ただし、水性インキは水に濡れると滲むため取り扱いには注意が必要です。
私は以下の筆記具を使用しています。インキは水性です。
①カリグラフィー用羽ペン
大きな文字を書く際に使用しています。
②簿記用ガラスペン
細かい字を書く際に重宝です。
③万年筆
文字以外の全てをこれで書きます。
どのような筆記具を使うかに関しては完全に好みですが、凝った道具を使うと単純に楽しいです。単調な作業の多い地図作成において、作業意欲の向上効果は案外馬鹿にできません。
さて、清書をするにあたりおすすめの順番は
文字入れ
建物などの枠取り
装飾
です。
これまでと大きく違うのは文字入れを最初に行う点と、道を書く作業がなくなっている点でしょう。
無論、これらにも理由があります。
まず文字入れを最初に行う理由ですが、決められた枠の中に文字を収めるのは案外に難しいからです。
特に後述のようなカリグラフィーを使用となるとますます難しく感じることでしょう。
枠からはみ出す場合も、下書きと違い重ねるわけには行きませんので、やはり先に文字を書いてから枠の方で避けます(図22)。
次に道を書かない理由ですが、これは単純に最早必要のない作業だからです。 皆さんの地図には既に建物が敷き詰められているので、わざわざ別途に道を描かずとも路地と同様に大通りも形成されているはずです。
これがスカスカの寒村などになると事情が変わってきまして、こちらは道を書く必要もあるかもしれません。
文字入れと枠取り
さて、文字入れの仕方については大して説明をする余地がございません。
字体を拘るなり、色を拘るなり、お好きなようになさればよろしいかと思います。
私はなんちゃってカリグラフィーを採用しています。平たいペンを用いて書く飾り文字ですが、この解説はより詳しく正確な書籍などに譲りましょう。
建物の枠取り作業も、下書きがしっかりと書かれていれば、まず困る点はないかと存じます。
下書きで生じた細かなズレなどを修正しつつ、線をなぞっていきましょう。 慣れてくれば下書きを簡単に済ませて、この清書の段階で即興的に町を書いていくという芸当も可能です。作業時間が大幅に縮みます。
地図の装飾
清書の作業で一番骨が折れるのが最後の装飾作業です。 とはいえ、この装飾は実際のところしなくてもよい作業なので、必要性を感じなければこの過程ごと丸々無視してしまっても一向に構いません。
ここでいう「装飾」とは
「そのものをよりそれらしく見せるための書き込み」 です。建物はより建物らしく、海や川はより海や川らしく見せるための描き込みを加えていきます。
図24をご覧ください。 これは家を上から見た図ですが、右にいくほど家らしく見せるための書き込みが増えています。
このような描き込みのことをここでは(そのような用語がありませんので)便宜上“装飾”と呼ぶこととします。
この“装飾”をどのように処理するかで地図全体の雰囲気が決まると言っても良いでしょう。
基本的に装飾は少ないほどシンプルで視認性が高い地図になり、多いほど豪華で重厚な地図になります。
また、同じような程度の装飾であっても、その書き方によって地図のテイストに強い影響を及ぼします(図25)。
具体的な装飾方法に関しましては、とにかく調べて気に入ったものの真似をするのが一番です。
まずはネットの海や書籍の山から好きな地図を見つけ出し、その地図の建物の書き方や海の処理の仕方を学びましょう。
こうして納得のいくまで装飾を施せば……
地図の完成です!
おめでとうございます!
番外編 紅茶染めをする
装飾が終わった時点で地図は完成しているのですが、ここからさらにひと手間加えるだけでさらに地図のクオリティをあげることが出来ます。
その方法が紅茶染めです。
紅茶染めの詳しいやり方に関しましてはこちらのサイトで丁寧に解説されています。
https://www.wikihow.jp/%E7%B4%85%E8%8C%B6%E3%81%A7%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%AF%E9%A2%A8%E3%81%AB%E7%B4%99%E3%82%92%E6%9F%93%E3%82%81%E3%82%8B
紅茶染めに関しては一点だけ。
極めて重要なポイントなのですが、
紅茶染めには地図をコピーしたものを使用し、原本はそのままの状態で大切に保管することを絶対におすすめするということです。
紅茶染めでは紙を濡らす工程があるため、水性インキではせっかく書いた地図が尽く滲んでしまうことでしょう。
また、油性を使用した場合でも、この作業は繊細な工程なので穴を開けたり破けてしまう可能性があります。
ここまで苦労して作った地図が一瞬でパーになってしまっては泣くに泣けません。
原本が手元にあれば、失敗した際のリカバリーもプリントし直すだけで済みますし、たくさん刷れば地図を量産することすら可能です。
くれぐれもコピーしたものを使うようにお願いいたします。
以上で解説を終わります。
この記事が皆さんの地図作りの一助となりますことを。
それでは左様なら。
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