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日々の鬱憤から悪目立ちしたい気持ちはわかるけど、、、総じてキャストのファン向け映画だと思った『真夜中乙女戦争』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:13/14
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆
【ジャンル】
サスペンス
テロ
【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
F『真夜中乙女戦争』(2018)
【あらすじ】
上京し、東京で一人暮らしを始めた大学生の“私(永瀬廉)”。友達も恋人もいない。大学の講義は恐ろしく退屈で、やりたいこともなりたいものもなく、鬱屈とした日々の中、深夜のバイトの帰り道にいつも東京タワーを眺めていた。
そんなある日、「かくれんぼ同好会」で出会った不思議な魅力を放つ凛々しく聡明な“先輩(池田エライザ)”と、突如として現れた謎の男“黒服(柄本佑)”の存在によって、“私”の日常は一変。人の心を一瞬にして掌握し、カリスマ的魅力を持つ“黒服”に導かれ、ささやかな悪戯を仕掛ける“私”。さらに“先輩”とも距離が近づき、思いがけず静かに煌めきだす“私”の日常。
しかし、次第に“黒服”と孤独な同志たちの言動は激しさを増していき、“私”と“先輩”を巻き込んだ壮大な“東京破壊計画=真夜中乙女戦争”が秘密裏に始動する。
一方、一連の事件の首謀者を追う“先輩”は、“私”にも疑いの目を向けていた。“私”と“先輩”、“私”と“黒服”、分かり合えたはずだった2人の道は少しずつ乖離していき、3人の運命は思いもよらぬ方向へと走り出す…。
【感想】
原作小説は未読です。サスペンス調の映画ではありますが、「わかるんだけど、わからない」、個人的にはそんな感じでした(笑)
<多くの人が共感できそうな"私"の置かれた状況>
主人公の"私"、無気力感がすごいです。学校と深夜バイトの繰り返しなんですが、基本すべてにやる気がありません。そんな退屈な日々を過ごしているから、心の中では何か刺激が欲しかったんでしょうね。日常からの脱却を考えているときって、「なんかもう全部ぶっ壊したい!」っていう破壊衝動に駆られることもありますよね。破壊することで、そこから逃げられると思うから。
"黒服"といると、それが叶うかもしれない。そんな期待が、"私"を"黒服"といっしょにいさせる要因なんでしょう。「なーんかおもしれーことないかなー」って、自分も若いときは思うことがあったから、ここらへんの"私"の気持ちは何となくわかりました。特に若い子にはより共感されやすそうです。
その退屈な毎日からの脱却っていうのが、かわいいいたずらだったんですよ、最初のうちは。キャンパス内の自転車のサドルをすべてブロッコリーに変えたり、大学のサイトをハッキングしたり。誰かを傷つけるわけでもなく、ちょっと話題になって注目されるっていう。何か刺激が欲しいって思ってる身からしたら、この上ない中毒性あるシチュエーションだと思いますよ。こういう非日常ってやっぱり楽しいから。
ただ、後半から雲行きが怪しくなっていきます。。。
<なんでそこまでするのかわからない"黒服">
"黒服"を筆頭としたいたずら集団。だんだんやることが過激になってきて、最終的には東京を破壊する計画を立てちゃいます。ここがねー、ちょっとよくわからなかったんですよ。なんでそこまでするの?って。"黒服"の心の内がまったく読めなくて。何か恨みがあったわけでもないし、変わり映えのない日々を壊したかったような感じでもないんです。彼の動機がわからなくて、少しモヤモヤしますね。まあ、世の中すべての行動に理由があるわけじゃないので、彼も何か深い考えがあったわけではないのかもしれませんが、、、フィクションに登場する人物には、なぜかいつも理由を求めてしまいます(笑)
で、違和感あったのがラストの大爆発。素人集団の集まりで、あんな東京が壊滅しそうなほどの大爆発が起きるわけがないだろって思っちゃって(笑)そんな火薬どうやって調達するんだよって。
<キャストの演技に注目>
お話やキャラクター自体には、そういうちょっと気になる部分はあるんですけど、キャストはけっこうハマり役だと思ったんですよ。無気力な"私"を演じた永瀬廉、ナチュラルな感じがしました。まあ、あんなイケメンなら、夢のようなキャンパスライフしか待っていないと思うので、つまらない日常しかないっていうのは、無理がありそうな気もしますけどね(笑)
"黒服"を演じた柄本佑の演技もさすがでしたね。あの影のある表情やカリスマ性のある雰囲気。とても味のある存在感で、すごく役に合ってたと思いましたよ。
"先輩"を演じた池田エライザは相変わらずかわいい。絶妙なエロさというか、「こういう先輩がいたら、間違いなく好きになる!」って思っちゃう魅力がいいんですよ。ただ、キャラクターとしてはあまり目立ってなかったというか、ちょっと印象に残りづらい役どころではありましたが。。。
<そんなわけで>
"私"というキャラクターに共感しつつ、"黒服"にはついて行けず。そして、"先輩"はもうちょっと見せ場が欲しかった。そんな映画でした。「わかる~」ってのと、「わからないな」ってのが混在してて、キャストのファンなら楽しめそうですが、そうじゃなかったらそこまでハマれないかもしれません。。。