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【ネタバレあり】復讐劇に絞ったがゆえに演技を通じた成長譚の要素は減ったけど、有馬かなを演じた原菜乃華の原作とのシンクロ率の高さが一番推せる『【推しの子】-The Final Act-』
【個人的な満足度】
2024年日本公開映画で面白かった順位:78/142
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★☆
【作品情報】
原題:-
製作年:2024年
製作国:日本
配給:東映
上映時間:129分
ジャンル:サスペンス
元ネタなど:漫画『【推しの子】』(2020-2024)
公式サイト:https://oshinoko-lapj.com/
【あらすじ】
※映画.comより引用。
産婦人科医のゴロー(成田凌)は、かつて担当していた患者の影響で、アイドルグループ「B小町」のアイを“推し”としてオタ活をエンジョイしていた。
そんなある日、突然、妊娠したアイ(齋藤飛鳥)が患者として彼の目の前に現れる。その後ゴローはある事件に巻き込まれ、理由も原理もわからないまま、アイの子どもに転生することに。アクアという名で“推しの子“として幸せな日々を過ごしていたが、ある日、アイが何者かに殺されてしまう。
アクア(櫻井海音)は、アイを殺した犯人への復讐に身を捧げるが……。
【感想】
※以下、敬称略かつネタバレあり。
漫画『【推しの子】』の実写映画。アマプラでドラマ版も配信されているので、そちらを観てからの鑑賞をオススメしますし、以下はドラマ版踏まえた感想となります。
<表舞台に立つことの酸いも甘いも描いた原作漫画>
僕はもともとアイドル自体にそこまで興味がないので、漫画が話題になっていたのは知っていたけど特に読みもしなかったんですよね。でも、今回の映画化を受けて急遽漫画とドラマを観たんですけど、、、漫画メッチャ面白いじゃないですか!!表舞台、特に演じることの光と闇を描きながら、その裏では母親を殺した犯人への復讐劇が進んでいくという青春サスペンス的な形が素晴らしかったです。映画やドラマ、舞台が好きな人はハマりますよ。制作の裏話や大人の事情なんかも垣間見えていろいろ勉強になります。
<キャスティングがピッタリだった実写版>
実写版に関しては、どうしてもキャスティングに目がいってしまいますが、これがけっこう原作漫画に近くてびっくりしました。アイ役の齋藤飛鳥、ルビー役の齊藤なぎさ、有馬かな役の原菜乃華、MEMちょ役のあのはヴィジュアルもそうですが、本人の出自も近くてピッタリでしたね。その中でも原菜乃華は、女優とアイドルの狭間にいる葛藤やあのツンケンした言動などが有馬かなとのシンクロ率を上げていて、彼女が実写版全体の底上げをしていたようにも感じます。
また、アクア役の人に関しては、最初にキーヴィジュアルを見たときに赤楚衛二かなって思ったんですが、実際はあのMr. Childrenの桜井和寿の息子の櫻井海音。見る角度によっては要潤の顔立ちにも似ていましたけど、常に影のある雰囲気が似合っていたと思います。
<復讐劇に絞ったストーリー>
一方、ストーリーはというと、、、ここは好みが分かれるかもしれませんね。僕は原作漫画に、復讐劇を主軸としながらも演技を通じた成長譚という青春要素に面白みを感じていたので、今回の実写版のように復讐劇に振り切ってしまったのは若干の寂しさを感じたのは事実です。鳴嶋メルトにまつわる話とか好きだったんですけどね。まあ、尺の関係上仕方のないことではありますが。エピソードも原作漫画に忠実ながらも再構成されていて、1話の宮崎県の病院にアイが訪れるくだりは、今回の実写映画版でほぼ初めて描かれています。ドラマ版ではフラッシュバックで挟まれる程度で、アクアとルビーの前世に関しての描写は第7話でようやく出てきたぐらいで。だから、アクアの復讐劇に対する感情移入は原作漫画を読んでいないと難しかったかもしれません。
<もうちょっと見せ場がほしかったカミキヒカル>
さらに、ラスボスであるカミキヒカルがかなり駆け足な扱いだったのがもったいなかったです。演じたのは二宮和也で演技はよかったんですが、年齢がやや上すぎた印象でしたし、彼は結局アイの“15年越しのラブレター”を知らないまま亡くなってしまいました。だから、原作漫画と違って彼は一切救われなかったんですよ。それはちょっとかわいそうだったかも。
<そんなわけで>
まずは原作漫画を読むことオススメしたいですね。実写版自体もこれはこれで面白いですし、キャストもよかったですし、漫画では表現できない歌と踊りが生み出す煌びやかな光景は実写ならではなんですが、演技を通じた対立と葛藤を踏まえての成長譚要素がなく、そこがこの作品における僕の推しどころでもあったので、やっぱりこれは漫画がいいですね~。