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【ネタバレあり】衝撃のトラウマ体験再び。自分がミルズだったらまったく同じことをしていたと思った『セブン 4K版』
【個人的な満足度】
2025年日本公開映画で面白かった順位:8/14
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:Se7en
製作年:2025年(オリジナル版は1995年)
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:126分
ジャンル:サスペンス
元ネタなど:なし
公式サイト:https://warnerbros.co.jp/c/news/2024/12/4014.html
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
舞台は雨が降りしきる大都会。刑事を続けることに疲れ果てた退職間際のベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)は、赴任したての血気盛んな新人刑事ミルズ(ブラッド・ピット)と共に、犯罪史上類を見ない"連続猟奇殺人事件"を担当することになった。
はじまりは月曜日。極度の肥満の男が、絶命するまで無理矢理食べさせられ続け殺されたという事件現場には、「GLUTTONY=大食」と書かれたメモが残されていた。翌火曜日には、大物弁護士の死体が血で書かれた「GREED=強欲」という文字と一緒に発見される。正体不明の犯人は、キリスト教の「七つの大罪=憤怒・嫉妬・高慢・肉欲・怠惰・強欲・大食」のいずれかに該当する者に狙いを定めて刑を執行していることをサマセットは確信。ミルズにあと五人殺される事を告げる。
次の犯行を阻むため捜査を続ける二人だったが、次第に絶望へと追い詰められていく...。犯人は一体誰なのか?その真の目的とは?
【感想】
※以下、ネタバレあり。
1995年に公開された『セブン』が公開30周年を記念して4Kにて期間限定上映。名作と言われているものの、実は僕が観るのは今回が初めて。IMAXで鑑賞したこともあってか、ものすごく濃い2時間を過ごすことができました。
<秀逸な色使い>
本作は「七つの大罪」になぞらえて起こる連続殺人事件を追う2人の刑事に焦点を当てています。ベテランで冷静なサマセット(モーガン・フリーマン)と若く自信過剰なミルズ(ブラッド・ピット)です。舞台は大都会なのに、全編を通じて暗くどんよりした雰囲気がこの映画の物々しさを表しており、観るだけで気持ちが沈む演出が神がかっていると感じましたね。「あるのはただ絶望のみ」と言わんばかりの色使いは印象的です。
<サマセットの教養が物語を進める>
共通点のない被害者たち。目を覆いたくなるような残忍な殺され方。死体のそばに置かれた「七つの大罪」の罪名。捜査は困難を極めますが、頭のキレるサマセットのおかげで徐々に犯人に近づいていく2人。「七つの大罪」や現場に残されたメッセージから古典文学にヒントがあるとすぐにわかるサマセットの博識さには驚きますね。そのメッセージがどの本の一説かなんて、けっこう読み込んでないとパッと出てきませんよね。こういうときに教養のあるなしって出るよなと思いました。
<トラウマ級の衝撃のラスト>
正直に言うとですね、今回の映画のオチは途中から何となく読めてはいたんです。観るのは初めてですが、さすがに公開されて30年も経てばね、「トラウマ級の衝撃」というワードがあれば、犯人が身近な人か、最も死んではいけない人が死ぬかのどちらかかなって思うわけですよ。まあ、その予想は当たることになるんですが、いやいや、それでもさすがに辛すぎですよ。。。画で見せないのがまた想像力を掻き立ててより一層の恐怖を味わわせるんですが、自分も夫となり父となった身として、こんなにもはらわたが煮えくり返るような気持ちになる映画ってなかなかないですよ。多分、これを公開当時に観てもあまりピンとこなかったかもしれません。自分、小学生でしたし。今だからこそ、トラウマ級の衝撃というのが共感できますね。ミルズだけ幸せそうな描写があったのもすべて伏線だったわけですが、お腹の子に直接手を下されていなかったのは個人的に唯一の救いと言うべきでしょうか。サマセットはミルズがそうするであろうことを予想して、銃を自分に渡すよう命じますけど、、、無理だよ、うん。怒りに任せて犯人を射殺することで犯人の勝ちになってしまうとしても、僕もミルズと同じことをしていたと思います。だってもう、、、怒りってレベルじゃないですから、これ。そして、そんなことがあったらもう立ち直れません。
<無関心こそ最大の脅威?>
そういえば、この映画の殺人事件って、舞台が大都会でこれだけ多くの人が行き交っているのに、「LUST(肉欲)」以外は目撃者がひとりもいないという信じがたい事実があるんですよね。でも、サマセットが「都会では他人に無関心」と言っていた通り、それこそがこの映画のメッセージだったのかもしれません。「無関心こそが最大の脅威」っていう。確かに、東京でもこれだけ多くの人がいて、日々何かしらの事件が起きてはいますが、意外とまわりの人って助けたりしないって言いますよね。まあそれは無関心であるだけでなく、巻き込まれたら嫌だという防衛本能が働いているからかもしれませんが。とはいえ、もう少しまわりの人に気を配っていれば、この映画の犯人の目撃情報も多く、もっと手間で捕まえられていたかもわかりません。この映画が公開された1995年のアメリカってそういう社会だったんでしょうか。
<そんなわけで>
作品全体の雰囲気と衝撃のラストがものすごいインパクトの映画でした。これだけの情報量を2時間ちょいの中に収められてしまうデヴィッド・フィンチャーの手腕足るや。これは本当に映画館で観たい作品ですね。