尋常ならざる努力を見せつけられた『5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~』
人生初かもわからないけれど、めずらしくドイツ映画でした。
いやー、とんでもない実話で面白かった。
先天性の目の疾患で、視力の95%を失った主人公が、
目が見えないことを隠して五ツ星ホテルで働く話。
5%だけしか見えない世界っていうのがどんなものなのか、
自分には経験がないのでわからないのだけれど、
映画の中での再現を見る限り、本当に何も見えない。
完全な失明ではないから、もちろん真っ暗ではないのだけど、
ぼやけすぎていて、人の判別はおろか、何がどこにあるのかも不明な状態。
そんな圧倒的ハンデを背負った主人公の努力に脱帽である。
目が見えない分、いろいろ工夫してホテル業務をこなすのだけど、
ホテルの歴史やワインの知識など理論的なところは当然丸暗記で、
室内における距離感やレイアウトは歩数で感知し、
お酒の種類は瓶の形を手で触って触感で判別。
もちろん、心優しい同僚たちの助けもあるのだけど、
これを観ると目以外の感覚だけでもやれることは多いんだなと感じた。
すべてはホテルで働きたい情熱と、
障害を理由に夢を諦めることは絶対にしたくないという強い意志ゆえ。
自分だったら、「まわりに迷惑をかけるんじゃないか」
と考えてしまい、挑戦することすらしない気もするけど、
劇中ではそんな迷いは皆無だった。
そうして彼は夢を実現させたのだから、時には他人のことを考えないことも、
豊かな人生を送る上では重要なのかもしれないなと感じた。
多少の脚色はあるにせよ、実話を元にしているということだから、
本当に上記のことを実行したサリヤ・カハヴァッテという人物の
勇気と行動力は凄まじいと思う。
人を騙してまでやりたいことがあるっていうことだからね。