エル・ファニングが菅田将暉に見える『アバウト・レイ 16歳の決断』

トランスジェンダーの娘に、ビッチの母親、
そしてレズビアンの祖母。
これだけ聞くと、ちょっと重く感じるけれど、
実際に観るとなんかほっとする映画。

主人公はトランスジェンダーのエル・ファニングで、
彼女(彼)が手術を受けるために、
両親の同意書へのサインを得るまでを描いた話。

僕は男性で、かつ女性が好きな、ごく一般的な性の持ち主なので、
こういう真面目な意味でいろんな「性」を扱う映画は、
頭ではわかっても共感できないことが多い。

過去も『キャロル』、『リリーのすべて』、『ムーンライト』において、
そのどれもが、自分の共感の範囲を超えてしまったし、
映画としても個人的にはアート寄りの印象を受けて、
正直、面白い・面白くないの二択での判断ができなかった。

だから、この映画もそういう感じになるのかなと思ったのだけれど、
今回はアート臭はせず、ホームドラマ寄りの作りで、
トランスジェンダーの気持ちはわからないまでも、
あくまでもひとりの人間としてのエル・ファニングに対して、
彼女(彼)の置かれた家庭環境にもどかしさみたいなのを感じられた分、
「性」の部分は抜きにして、充分に楽しむことができた。

おそらく、そこが上記にあげた3つの作品との違いで、
その3つも、それぞれ同性愛やトランスジェンダーを扱っているけれど、
そこをなくしてしまったら、話の面白さが成立しなくなるものの、
今回は、「性」を別の何かに置き換えても、
いびつな家庭環境やそこに対するそれぞれの想いなどで、
充分に感情移入できる内容だったと個人的には思う。

祖母役のスーザン・サランドンは陽気かつ楽観的な性格で、
そのパートナー役のリンダ・エモンドとの掛け合いが面白かったし、
母親役のナオミ・ワッツは、、、自分だったら一生恨むかな(笑)
あとはエル・ファニングの演技がよくて、
見た目も男の子っぽくなってたから、よりリアルに感じられた。
しかも髪短くしたら、どことなく菅田将暉に見えてきて、
逆に言えば、菅田将暉もこんな役できそうだなと感じた(笑)

実はこの映画、作られたのは2015年だそうで、
日本公開がこの年になったのは、
日本におけるトランスジェンダーの認知が高まってきたからだろうか。

ちなみに、この映画とはまったく関係ないけれど、
個人的には姉のダコタ・ファニングの方が好み。
最近はエル・ファニングの方が出まくってるけど(笑)

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