瑛太が怪演すぎる『友罪』
自分の友達がかつて世を震撼させた少年Aだったら、
ということを考えさせる内容ではあるのだけれど、
ちょっと微妙な映画かな、と。
いや、身近な人が犯罪者だったらっていう問いかけというか、
そういうことを考えてしまうこと自体が微妙ってことじゃなくて、
うーん、ネタバレをはらんでしまうので、
嫌な人はここでブラウザをそっと閉じていただけるとありがたいのだけど、
これ、少年Aに関わっている人が誰もいなんだよね。。。
生田斗真や佐藤浩市など、
心に傷を負った人たちが出てきて、
俺はてっきりみんな少年Aに関わるものかと思ったんだけど、
2人とも悩みの種は全然違うんだよ。
少年Aは関係ナッシン。
生田斗真は自殺してしまった同級生を救えなかったこと、
佐藤浩市は自分の息子が過去に人を殺してしまったこと、
それぞれ別の事件で心を痛めていた。
人命が奪われると、被害者遺族だけでなく、
加害者側にも心に大きな傷を負わせるということはよくわかったし、
佐藤浩市の犯罪者は幸せになる権利がないという前提に立った上での
息子に対する
「おまえのために家族を解散したのに、
そのおまえが家族を作ってどうするんだ」
というセリフはすごく心に刺さった。
だから、どの事件だからどうということではないのかもしれないけれど、
瑛太が少年Aだったという印象が強かったので、
他はそのこととリンクしていないっていうことで、
ちょっとまとまりがないかなって感じてしまった。
ただ、その瑛太の演技がすごくて。
頭イッちゃってるあの感じの不気味さが印象的。
そして、彼の持ち物に、
少年Aの人となりを思わせる設定が表れているのが凝ってるなって思った。
彼の描いたカウンセラーを務めた富田靖子の絵があるんだけど、
服を着ていない裸の絵なんだ。
もちろん裸なんて見ていないんだろうけど、
少年Aは幼い頃に母親がいなかったということから、
きっと母性を求めていたんだろうなっていうのと、
少し歪んだ愛情があったから、裸の絵になったのかなって思った。
話云々よりは、登場人物のキャラクター性が見ごたえある映画でした。