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【ネタバレあり】シリーズ完結編!ついに明かされる大門先生の意外な過去に驚くものの、結局イチから観てないと感慨深さはあまりないかもと思った『劇場版ドクターX』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:111/136
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2024年
  製作国:日本
   配給:東宝
 上映時間:128分
 ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:テレビドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(2012-2021)
公式サイト:https://doctor-x-movie.jp/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
フリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉涼子)は某国の大統領の命を救うため日本を離れていた。

その頃、東帝大学病院では、若き新病院長・神津比呂人(染谷将太)が現れる。比呂人は凄腕の外科医で政財界にも顔が利き、双子の弟・多可人(染谷将太)は医療開発会社で資金のバックアップもある。徹底的な合理化の大号令がかかり、次々とクビを切られる医師や看護師たち。

かつての同僚・森本(田中圭)に東帝大学病院に呼び戻された未知子は、比呂人と意気投合するが、未知子の師匠・晶(岸部一徳)と出会った比呂人は顔色を変える。比呂人が東帝大にやってきた本当の狙いとは!?

一方、森本は未知子の過去を探りに単身、広島・呉に飛ぶ。そこで森本は、大門未知子の誕生の秘密を知ることに。美知子、晶、比呂人の過去が絡み合う中、美知子は史上最大の危機に直面!

医師免許の剝奪も覚悟し、"悪魔のオペ"に挑む――。「どんなに厳しいオペでも患者を見捨てない」。かつて晶が話していた言葉を胸に――。

【感想】

※以下、敬称略かつネタバレあり。
2012年からテレビ朝日で始まった医療ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』初の劇場版にしてシリーズ完結編。僕はテレビドラマ版の第6期と7期しか観ていないのですが、今回の劇場版では過去作への言及は多くなく、初見でも楽しめる内容だと思いました。

<初めて明かされる大門未知子の過去>

この映画の見どころは2つあります。まずひとつめは、12年シリーズが続いた中で初めて大門未知子(米倉涼子)の過去に触れられたことです。「私、失敗しないので」と言い切る自信の表れは、専門医のライセンスと叩き上げのスキルあってこそ。そんな彼女の幼少期はどうだったのか。それを大門先生の出身地である広島にて森本(田中圭)が地元の人に聞いてまわるんです。ただ、「聞いてどうすんだ?」とは思いましたけどね(笑)森本は「大門先生に憧れてちょっとでも近づきたくて」みたいなことを言っていましたが、犯人を追うサスペンス映画でもあるまいし、イマイチその動機にピンとこずで。もし第1期から観ていたら、「森本の性格ならやるだろう」みたいな納得感があったかもしれませんね。

<誰を救うべきか、救わざるべきか>

もうひとつは、終盤のオペシーンです。ここはちょっと事情があるので経緯を簡単に書いておきます(ネタバレですがw)。

30年前、晶さん(岸部一徳)は神津比呂人と多可人(染谷将太の1人2役)が生まれてくる際に2人を取り上げるオペを担当していました。が、当時はまだ確立されていない術式で行ったため、多可人にだけ疾患が残ってしまい、下半身不随に。そのことで比呂人は晶さんを恨んでいたんです。多可人は手術を繰り返すも心臓が弱っていき、物語の後半でついに脳死状態になってしまいます。そんなこともあって、比呂人は晶さんと再会したときに彼を責めるのですが、そのときに晶さんが脳梗塞で倒れてしまうんです。ちょっと不運が重なりすぎやしないかって感じなくもなかったですが。で、比呂人は晶さんを恨んでいたため、その場に放置し、結果、晶さんは意識不明に陥ることになります。その上、比呂人は比呂人で乗っていた車を爆破され、彼もまた瀕死の状態に陥ります。なんで爆破されたのかというと、医療機器メーカーのCEOである多可人が取引先を切ったため、その逆恨みですね(実は多可人はすでに日常生活を送ることもままならなかったので、多可人に扮した比呂人なんですけど)。

さて、どうする大門先生ってのが終盤のポイントです。結論から言うと、まず、比呂人に多可人の肝臓と右腕を移植しました。うまくいったと思ったのも束の間、比呂人は心停止になってしまいます。そこで、今度は晶さんの心臓を比呂人に移植したんです。大門先生からしたら、比呂人は晶さんを意識不明にした張本人で憎むべき相手のはず。でも、大門先生はかつて晶さんが自分の身を捧げてでもテロリストを治す姿を見ていたことから、「晶さんならこうする」とまわりの反対を押し切って敢行しました。まだ生きている人から心臓を抜き取ることは殺人行為に当たるんですが、大門先生は救える命は救うという根っからの医者だったってわけです。正直、じいさんの心臓を移植したところであまり長持ちしないのでは、、、と思ったんですが実際どうなんでしょうね。

なお、晶さんは晶さんで死んだかと思いきや、多可人が開発していた人工心臓を埋め込むことで、何とか生き永らえることができています。本来は多可人がその人工心臓を使う予定だったのですが、そうなる前に脳死状態になってしまったので使えず。それなら最初から比呂人にその人工心臓を使えばよかったのではと思うんですけど、もともと多可人は遺伝的に感染症とかの関係で人工心臓は本物の心臓移植までの時間稼ぎぐらいにしか使えなかったようで、一卵性双生児の比呂人にも同様に使えないと判断したのかもしれません。

最終的に比呂人は多可人の肝臓と右腕、晶さんの心臓をもらって生きることができるようになります。多可人の肝臓を移植するときに、晶さんの手術の跡を見て、双子を両方救うつもりだったということを見抜いた大門先生は、そのことを比呂人に伝え、彼は晶さんを恨んでいたことを反省しました。

いやー、3人の人間を使ってオペしちゃうのはさすが大門先生って感じですが、彼女はあの名ゼリフ通り失敗しないから、正直、オペシーンは予定調和というか、うまくいくことがわかりきっているがゆえに、オペ自体の迫力はあれど、うまくいくかどうかっていうスリルはあまり感じないんですけどね、個人的には(笑)

<そんなわけで>

シリーズ完結編にふさわしい内容だったと思います。結局、大門先生って性格はドライだし言い方もキツいところあるんですけど、その根底は困っている人を助けたいという優しい心の持ち主なんですよね。何をやるにしても「最後は熱意」って言いますけど、医者にとって大事なことは「人を助けたい」という熱意なんだなと大門先生を見て思います。それを12年かけて伝えたかったのかもしれません。

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