オトナのおとぎ話『シェイプ・オブ・ウォーター』
『愛してると言ってくれ』×『美女と野獣』のような設定の映画。
野獣つっても魚人だけどね、こっちは。
話せないヒロインと魚人の恋愛物語なのだけれど、
なんかね、リアルなんだよね。
『美女と野獣』に出てくる野獣はライオンの延長のようなもので、
哺乳類な分、まだかわいさがあるというか、
別にその姿のままでも愛してくれる人はいそうかなという気はするんだ。
でも、今作の魚人は、ガチでクリーチャーって感じで、ゲテモノ感が強い。
だから、「本当にそんなやつ愛せるのか?!」って思っちゃう分、
異類婚姻譚としてのリアルさが強い。
普通だったら、絶対に惹かれないよね。。。
百歩譲って、ペット的な愛はあっても性の対象にはならない。。。
(まあ世の中いろんな性の形はあるとは思うが。。。)
その中で、ヒロインを演じたサリー・ホーキンスの体当たりな演技がすごい。
すっぽんぽん。
入浴シーンや魚人とのチョメチョメシーンなど、平気で全部脱いでました。
しかもマスターベーションを行うシーンまであって、
日常的に欲求不満であることを表現しているところが、
ちょっとびっくりしつつも、
そのキャラクターのありのままを映していていいなと思った。
ヒロインは、年齢も年齢だし、言葉も話せないし、
その状態で、人間の相手を見つけるのは、
なかなかハードルが高いという事情はちょっと考えればわかるけれど、
だからといって魚人を性の対象として見るか?っていうのが正直な感想(笑)
まだ同居している絵描きの男性の方がよいのでは。。。
人間ですしおすし。
まあでも、彼女が言葉を話せないからこそ、
言葉の通じない魚人との触れ合いを通じて、
そこに自分との共通性を見出し、愛に発展したのかなとも思う。
こういう話だと、姿形は人とかけ離れていても愛を分かち合えたり、
人間の形をしてるのに人でなしだったりと、その対比が必ず出てくる。
今回もマイケル・シャノン演じる研究室のお偉いさんは、
人としてだいぶ冷酷な部分があったから、
そういう存在と比べると、ひどい扱いを受けている魚人の方に、
哀れみからの同情からの愛情みたいな発展をしていったのかもしれない。
とはいえ、それでも性の対象としては絶対に見れないけどな、俺。
なので、感情移入自体はそこまでできなかった。
不思議な性癖をお持ちなんですね、っていう感じで(笑)
ただ、異形の姿をした生物との恋愛で、
さらにヒロインが言葉を話せないという設定は、
あまり見なかった組み合わせなので、
そういう意味では斬新だったかな。
オトナのおとぎ話って感じで。