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自分のルーツ

私には歳の離れた兄が二人いる。
長兄は14歳離れており、次兄は12歳離れている。物心着いたころには兄たちは基本的に家にはいなかった。土日の休みの日、兄が家に居るとすぐわかる。兄がいる2階から爆音のヒップホップが聞こえてきていたからだ。
私にとって音楽の原体験(ルーツ)はこの2階から聞こえてきていたヒップホップなのである。

2024年12月27日(金)豊洲PIT
クリスマスも終わり世間が新年へと進む中、アメリカから彼らがやってきた。
The Roots。
90~00年代のアメリカヒップホップ/R&Bシーンを語るうえで絶対に外せない名プロデューサー クエストラブ。
2000年にリリースされたコモンの「Like Water for Chocolate」、ディアンジェロの「Voodoo」は歴史に名を刻む名盤だが、これらを手掛けたのはクエストラブである。
そのクエストラブとラッパーのブラック・ソートが中心となって結成されたのがThe Rootsである。
エリカ・バドゥとの共作のYou Got Meは2000年にグラミー賞も獲得した。
まさに、まごうことなきレジェンドヒップホップバンドである。

私もThe Rootsの作品。そして"ソウルクエリアンズ"と呼ばれる、クエストラブ、Jディラ、ディアンジェロたちのプロデュースユニット。そしてそのソウルクエリアンズの近くにいた、A Tribe Called Quest、De La Soul、Jungle Brothersを中心とした"ネイティヴ・タン"。彼らの音楽が大好きで大きな影響を受けている。

そんな彼らが日本に来る。

今年、Nasが日本に来て話題になった。
カニエ・ウエストが日本でプロレス観戦をして話題になった。
The Rootsが日本に来る。そこまで話題になっていない。

それがどうした。話題になろうがなってなかろうが俺には関係ない。

分かる奴だけ分かりゃあいい。The Rootsが来日公演をするという意味と凄さを。

19時。ほぼ定刻通りの時間に夢の時間は始まった。
ライブが始まってからはあっという間だった。なによりノンストップ。MCなし。ブラック・ソートは2時間以上もラップをし続け、クエストラブは2時間以上もドラムを叩き続けた。
ブラック・ソート、メッチャ滑舌イイ…
全部のラップがちゃんと聞こえた…
クエストラブはプロデューサーの印象が強かったけれど、ドラマーとしても超一流だった。

正直、この世代のラッパーやヒップホップグループは"今"を逃すと二度と観られない可能性がある。
昨年、De La Soulのラッパー トゥルーゴイ・ザ・ダヴが亡くなった。
いつか観たいと思っていたDe La Soulはもうフルメンバーでは観られなくなってしまった。
だから、今回The Rootsを逃したくなかったし、全体に観たかった。
結果的に観られてよかった。

最近思うことがある。
ヒップホップとは何なのか。
個人的な意見ではあるが、今日本ではヒップホップ=悪くあること。フリースタイルラップの上手い下手。
この2つがパブリックイメージになっているような気がしている。
ではそれはヒップホップなのか。
それ"も"ヒップホップなのかもしれない。

でも私が好きな音楽としてのヒップホップは、この日浴びたヒップホップだ。
ロックでも、ソウルでも、ファンクでも、ジャズでも、ブルースでも、レゲエでもあり、そしてそのどれでもない。という不思議な音楽。
おしゃれで緩くて、気取らない、近所の面白い兄ちゃんたちみたいな存在。
それがヒップホップだと思った。

Thankyou!!! The Roots!!!

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