僕の妻が優先座席に座る理由
僕の妻は、すすんで優先座席に座る。
もちろん、おかしな話ではない。
もう60歳を超えている。
だいたいどこの鉄道会社も優先座席の対象者としては、「お年寄り」としか書いていない。
特に何歳からとは明記していないが、映画もシニア料金の対象は60歳からなので、だいたいそのあたりからと考えていいだろう。
まあ、国は高齢者を70歳からにするとかなんだとか言ってるが。
さて、僕の妻は優先座席に座るが、特に足腰が悪いわけではない。
歩く速度なんかは、むしろ僕よりも速いくらいだ。
特にスーパーなんかでは、すごい。
振り向くと、もう、あっちの端っこにいる。
ワープの能力でもあるんじゃないかと思うほどだ。
そんな僕の妻が、何故優先座席にあえて座るのか。
答えは、「譲るため」だ。
普段、電車で通勤している妻はたびたび目にするらしい。
優先座席に座って、目の前にお年寄りや妊婦さんが立っても、顔を上げようともしない人を。
中には、顔を上げても、またうつむいてしまう人もいるらしい。
そこで、妻は考えたわけだ。
それなら、自分が座っておいて、必要な人に代わってあげればええやん。
そのために、僕の妻はあえて優先座席に座る。
そして、目の前にお年寄りや妊婦さん、小さな子供を抱いた人が来ると、率先して席を譲ってあげる。
どうですか。
自慢の我が妻です。
ちなみに、僕の場合、優先座席に座っている若い人と目が合うと、ほぼ100%に近い確率で席を譲ってもらえる。
譲ってもらえると言うよりも、みんな逃げるように席を立っていく。
妻は言う。
「あんたの顔は、かなりの部分を反社が占めてるからな」
そんなことはない。
僕の顔は、アイコンにある通りで、優しくて可愛いはずなのだ。
ところで、優先座席の数って、もう何十年も変わっていないような気がするが、これでいいのだろうか。
電車でいうと、一車両に5席か6席ほど。
しかし、いまや65歳以上が人口の約3割を占める時代。
バランスからすると、もっと優先座席を増やしてもいいのではないか。
だからと言って、高齢者専用車両なんてのはやめて欲しい。
そのまま切り離されて、知らない所に連れていかれそうだ。