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東証の「対処すべき課題」

 東証のえらい人からお声がかかり、「東証の『対処すべき課題』や期待のメッセージを書いてくれませんか?」とご依頼がありました。
 来春に予定している市場区分変更でもよいし、テーマは何でも良いとのことでした。プライム市場とスタンダード市場については、他に書く人は大勢いると思ったので、グロース市場にターゲットを絞り、こんなメッセージを寄せてみました。よろしければご覧ください!

 日本取引所グループの統合報告書によると、重点戦略のひとつめに『次世代に向けた「市場のカタチ」の追求』を掲げています。私にメッセージを依頼した東証の方も、「個人的にはグロース市場を一番いい市場にしたい」とおっしゃっていたこともありました。しがらみが色々とありそうなプライム市場ではなく、伸びしろがいっぱいのグロース市場でチャレンジしてくれないかなぁ?と思っての期待を寄せてみました。

内容は、グロース企業のIPOについて、上場審査や公募の資金使途などを挙げました。投資家から見えづらくかつ投資家と利害が対立しないものです。グロース企業には、あるステージに達するまで徹底的にグロースを追求してほしい、というのはグローバルな投資家も同じ思いかと思います。上場前後の企業が小さくまとまらせてしまうようなルールだったり、流動性などの市場環境については是非とも改善してほしいと考えています。

また、字数の問題で割愛しましたが、コーポレートガバナンス・コードにもないような謎の上場審査ルール(例:社長や管理担当役員が事業部門を兼務してはならない)も見直してほしいものです。社員数十人のグロース企業にそれ要る?と思います。

グロース企業をたくさん、大きく、育てることが国を豊かにすることだとやっぱり思うんですよね。日本取引所グループの理念は「市場の持続的な発展を図り、 豊かな社会の実現に貢献」だそうです。成長する企業にどんどん投資し、ダメな場合は退出させ、また再挑戦させ、新しい産業をどんどん作ることが渋沢栄一のやりたかったことではないかと思います。

なお、プライム市場の基準が低すぎる問題や、スタンダード市場で何が問題なのか、という点については、一橋財務リーダシップ・プログラム(HFLP)のワークショップでご一緒している鈴木行生さん(日本ベル投資研究所)のメッセージがポイントを突いているので、こちらもご参照ください!

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市川 祐子『2030年会社員の未来』『楽天IR戦記』著者
IR(インベスター・リレーションズ)の経験などに基づいたテーマで記事を書いています。幅広い層のビジネスパーソンにも読んでもらえたら嬉しく思います!