UbieでMarketing Ops(MOps)を立ち上げて組織が変わり始めたこと
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに、医療プラットフォームを提供しているUbie株式会社の渡邊(マーケターもも)です。
23年8月からUbie株式会社の製薬事業部(Ubie Pharma Innovation)に入社し、Marketing Ops(MOps)を立ち上げました。
入社してすぐマーケティングチームで見えてきたAsIs(課題)があり、立ち上げるに至ったのですが、結果見えてきたToBe(理想像)と、行動することで変わってきたと感じる「今」を伝えられたらいいなと思います。
海外ではマーケOps人材の採用が増加傾向にあり注目されている職種ですが、日本ではあまり浸透していません。未だ聞きなれない役割だと思いますが、この機に「そんな役割があってもいいのかもしれない」と興味を持っていただけたら嬉しいです。
Marketing Ops(MOps)とは?
Marketing Ops(マーケティング オペレーションズ)は、マーケティング視点でのKGIへのビジネスプロセスを最適化し、利益を最大化する職種です。マーケOpsやMOpsと呼ばれたりします。正直この職種の役割を一言でまとめる方法に未だ迷いがありますが、今後のマーケティングキャリア市場において必要性が高く求められる重要な役割・職種となり得ると感じています。
マーケティングプロセスを最適化するには「3つの要素」を理解する
マーケティングプロセスには欠かせない要素が3つあります。
1つは戦略を構成する要素となる市場や施策情報の「マーケティング戦略プロセス」、様々な粒度で戦略策定・実施を行う「マーケティング人材」、戦略を実現させるために欠かせない「テクノロジー」です。
マーケティングを実現させるためには、目的に応じた適切な人材によって調査・分析・戦略が導き出され、戦略を実現する手段としてテクノロジーを活用します。大小関係なくマーケティングには3要素が欠かせないのです。
Marketing Ops(MOps)には、この要素含む全体のマーケティングプロセスを俯瞰して捉え、深い知識を持って向き合う必要があると考えています。
全ての要素を1つの線に紐づけ、組織KGIに紐づいたフィードバックで支援する
Marketing Opsは、戦略・人材・テクノロジーを可能な限り細かい粒度で理解し、各要素をKGIまでのプロセスに整合性をもって紐付けます。そうすることで粒度の粗い・細かい視点でもKGIへの影響度や費用対効果などを算出し、組織共通の目標に紐づいて柔軟なフィードバックを行うことができます。
マーケティングの多くはKGIから離れたフェーズ(認知・リード獲得等)で顧客と接触しているケースが存在し、KGIまでの変数が多いことから定量的に正しい成果を確認できない課題を抱えています。各専門人材の視点では全体を俯瞰して情報設計や集計を行うことは困難になることも多く、全体を俯瞰して見ることができて且つマーケティングの詳細な視点をもっておける役割はマーケティング組織に柔軟性をもたらす可能性があると感じています。こうした課題にも対応できるほか、テクノロジーへの理解も深めておくことでテクノロジー活用に対するROI評価や活用幅を広げることによるマーケット機会最大化にも繋がったり、セキュリティ面においてもインシデントリスク回避等に繋げることができます。
なぜ、UbieにMOpsが必要だったのか
ようやく本題です。なぜ私はUbieでMOpsを立ち上げたかというと、入社直後に感じた組織課題とマーケメンバーの特徴からMOpsの存在は有効かもしれないと感じたからです。
感じたAsIs(課題)
Ubie入社時、製薬事業部のマーケティング組織では「KGIに紐づいた施策のROI判断が難しい課題」を抱えていました。定量面でのROI精度が低いからといって施策効果が悪かったわけではありませんが、各マーケティング担当者はハイスピードに有効な施策実施を行うために、市場解像度が高い人材との施策有効性の協議、施策回数の最大化を行い、定量的に振り返る時間を確保できずにいました。
入社直後、課題に感じる点をマーケティング担当者やマーケティングプロセスに関わるステークホルダーへヒアリングする中で、下記のような課題を感じたのです。
施策実施によるKPI獲得データは各担当者の手元で揃っており、足元の数値管理はできているもののKGIに紐づいた振り返りができていない
KGIへのデータリレーションを全体目線で握る専任者がいないためデータの正確性を図れず活用が進みにくくなっている
社員のROI意識が高く蓋然性の高いデータにニーズが強まっているが、迅速な意思決定が必要となるケースが多く、結果的にデータ環境整備にリソースを投じられていない。
描き始めたToBe(理想像)
全体的に社員一人一人のROI意識が非常に高く、データの記録は各社員で可能な限り行われている印象を受けました。しかし、その各社員でストックされ続けたデータに紐付きが確約されておらず他者が生成したデータとの結合情報にあまり信頼がありませんでした。そこで、最粒度の情報をもつマーケティング視点からKGIまでのビジネスプロセスを最適化し、正規化された各データに関係性を持たせれば定量的なROI判断を安心して行えるのではないか?と思ったのです。
また、Ubie製薬事業部のマーケターは個々の専門スキルが高く、振り返りの時間と施策有効性を示す参考数値は短縮して、可能な限り意思決定と行動スピードを上げてもらうのが良いのではないかと思いました。
ここで「Marketing Ops(MOps)が必要だ!!!」と私は立ち上がったのです。
MOpsとして行ったことと、変わり始めた「今」
入社して1ヶ月が過ぎたころ、マーケティング責任者の 林 にこんな話を相談しました。
渡邊「Ubieの製薬マーケ全体の課題も解消したいのと、マーケの皆それぞれが専門スキル高すぎるから振り返りは私に任せてもらって、どんどん自身のアクションに時間を割いてもらうと良さそう!Marketing Opsを立ち上げて定量面は私が握っておきつつ、施策ROIも都度必要に応じて合う合わないをアドバイスしたり、時に私からデータインサイトを添えて改善提案できると良さそう!!🍑」
林「良さそう!👓」
とこんな流れで理解をいただき、Marketing Opsという役割を設けてもらいました。
その後、Marketing Opsとしてマーケティングが創出するデータからKGIデータが生成されるまでのデータを整理し、可能な限り起こり得るアクションに応じた集計フローを構築しました。
主に行ったこと
最粒度の顧客アクティビティ情報(例:マーケティング施策の詳細情報×CVしたYYYYMMDD×Userなど)にKGIとKPIを可能な限り突合し、アクション最粒度基点での集計が可能な状態を構築。
各KPI基点での集計パターンをマーケのみならず数値に関わるステークホルダーへヒアリングし、集計パターンに応じた計算ルールを制定
都度組織のアドホックな分析ニーズへ積極的に対応し、詳細なコミュニケーションを重ねながら可視化を進める
これらのアクションによって得られた変化はいくつかありました。
今、変わり始めたこと
KPI情報の正規化が進んだ
マーケティングやセールス担当者の入力情報の必要性や可視化実現の可能性が意識的に高まった
定量的なデータ算出の依頼や相談・実現回数が増えた
少しずつではありますが、私自身の目線では一部「ちゃんと情報入力しなきゃと思った」といった声が上がったり「この施策のROIを出したいんだけどできる?」といったリクエストが増えてきたりと課題改善に向けていい傾向が見え始めているなと実感しています。
Marketing Ops(MOps)という役割を明確に設けることで、相談先としても明確になり一社員からボトムアップにデータリクエストが増えるほか、マーケティング組織に関わらずKGIプロセスに関わるKPIポイントから課題を発見し、要素をドリルダウンして細かな点にフィードバックを行える柔軟性を持つことができると感じています。また、マーケティングという立場から設計することで顧客との初回接触起点からKGIを見つめることができ、最粒度の情報からリレーションを構築しやすくなる点も、組織上メリットがある役割であると考えます。
Ubie社員の高いROI意識と、ハイスピード且つエネルギッシュな行動力を支えたい
MOpsの重要性はUbieに入社する前から感じていましたが、Ubieに入社してより一層その必要性が高まりました。Ubie社員は本当に何事も納得感を持って行動する人が多く、よく「こっちの方がROI高くない?」といった議論もよく耳にします。そしてそういった議論にはしっかり向き合い、ハイスピードに意見を着地させ行動に移す素晴らしい活力を持った方達ばかりです。私は入社して4ヶ月が経ちましたが、それ以上に時が経ったのではと思うくらいにハイスピードに多数のアクションが進んでいます。そんなハイスピード且つエネルギッシュな要素をMOpsの力で支え、よりパワーアップしていけるよう尽力していきます!
さらにMOpsとしてマーケティング業界へ拡張性あるベストプラクティスを発信できるようにもなりたいので、こうした発信を続けていけたらと思います。
最後に
Ubieでは一緒に働いてくれるマーケターを切に募集しています!
各者専門知識が深く議論が楽しいメンバーだらけなので、ぜひ興味を持っていただけたら嬉しいです✨
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