不動産証券化マスター 過去問で重複出題のテキスト箇所⑫
テキスト105
金商法上には、金融商品取引業などに課される3つの重要な義務がある。第一は誠実公正義務であり、第二は善管注意義務、第三に忠実義務がある。
善管注意義務は民法に定められている。「受任者は、委託の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委託事務を処理する義務を負う」。専門家の善管注意義務の程度は、当該専門職の種類、その業務に対する一般的な期待水準、当該依頼契約の内容とその締結に至る経緯、依頼者の社会的な地位や知識の程度などを総合的に勘案して決定すべきことになる。
不法行為は、個人が第三者に対して不法行為責任を負うことになる。会社は被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する。使用者責任を負うことになる。
金融庁の「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」(監督指針)
監督指針には、顧客本位の業務運営に関する原則がある。この原則は、ベストプラクティスを目指す上で有用と考えられる原則を示したものであり法的義務を課すものではない。
J-REITは外部運用型で、資産を保有する主体「投資法人」と資産を運用する主体「資産運用会社」が別法人となっているため、直接的(投資法人と資産運用会社自身)又は間接的(投資法人と資産運用会社の関係者)に利益相反取引が生じやすい構造になっている。
利益相反取引を行う際の投資法人の事前同意
資産運用会社の利害関係人等と投資法人の間で不動産等の取得・譲渡・貸借の取引が行われる場合には、原則として予め当該投資法人の同意を得なければならない。
資産運用会社は、資産の運用を行う投資法人と以下の者との間で資産の売買等の取引が行われたときは、当該取引に係る事項を記載した書面(取引報告書面)を当該投資法人等に遅滞なく交付しなければならない。
資産運用会社、その取締役や執行役、運用するその他の投資法人、運用指図を行う投資信託財産、利害関係人、資産運用会社が不動産仲介を行う場合の取引の相手方、助言に基づき行われる取引の相手方
資産運用会社は、投資法人にて不動産の取引が行われたときは、資産運用会社の利害関係人等や役職員等の一定の者を除く外部の不動産鑑定士に、対象資産の不動産鑑定評価を行わせなければならない。
2014年の金商法の改正により「上場会社など」に「上場投資法人など」も含めることとされ、J-REITにもインサイダー取引規制が導入された。