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2月17日~2月21日 マーケット見通し
◆先週のマーケット振り返り
◆先週のドル円とゴールド
◆先週の経済指標の詳細
◆来週のマーケット見通し
◆先週のマーケット振り返り
関税政策で不透明感が高まっていたが、中国に対しては、薬物問題に絡んで10%と軽く課税した。中国も報復として、ほとんど意味のない形のみの報復関税で応じるなど、いわゆる「プロレス」的な外交が行われている。相互関税も警戒されていたが、り本格的な関税措置については、4月1日までの調査期間を設けることになり、性急に関税を無差別に発動するようなことはしなかったため、今週の市場は、関税ニュースに大きく反応することがなくなった。現在は、関税から少し距離を置き、米国のインフレや経済状況、更にはウクライナ戦争の終結に向けた動きにシフトしたと考えられる。
◆先週のドル円とゴールド
10日(月)
外国為替市場ではドル指数が続伸。トランプ大統領が、米国に輸入する全ての鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を賦課する計画を発表すると前日に表明。リスク回避でドルを買う動きが優勢となったが、市場は「過度なリスク回避」にはならず、ドル買いと円買いが交錯。
中国の中央銀行は1月に金を購入。これで3カ月連続での準備拡大となった。
11日(火)
パウエルFRB議長の議会証言があり、「金利調整を急ぐ必要なし」と発言 → 予想通りでサプライズなし。
市場はCPI待ちの相場。
市場は同じニュースには慣れていくもの。トランプ関税報道への市場の反応が鈍くなり、ボラティリティが落ち着いてきた。
しかし、ゴールドは世界貿易戦争への不安が買いを誘い、1オンス当たり2942ドルを上回り過去最高値を更新していた。
12日(水)
1月のコアCPIは前月比0.4%上昇、前年同月比3.3%上昇。総合CPIは前月比0.5%上昇した。
パウエル議長の発言では、「ディスインフレが進んでいない」ことが明確となり、FRBの追加利下げ観測が後退 → ドル買い優勢。
しかし、トランプ米大統領が、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争を終結させるための協議を開始することで合意したと述べたことが材料となり、ドルが売られユーロが買われた。
ゴールドは鉄鋼・アルミニウムへの関税賦課をはじめ、トランプ大統領が繰り出す攻撃的な通商政策が逃避需要を高めている。
13日(木)
トランプ米大統領は相互関税に関する措置に署名したが、手続きは広範囲にわたるため、全ての調査が4月1日までに完了するそうで、発動はその後になると考えられる。
米PPI発表後、一時ドル買い → しかし、PCE価格指数に反映される項目はより好ましい内容だったため、金利は下落しドル売り。
逃避需要が金価格を押し上げており、米金利低下も相まって金価格は上昇。
14日(金)
米小売売上高は前月比0.9%減と、約2年ぶりの大きさで減少した。市場予想は0.2%減だった。
金スポット相場は反落。
◆先週の経済指標の詳細
先週発表されたインフレ統計では、大きく上昇した数値は持続性のあるものか、一過性のものかがテーマとなっているが、内訳をみてみると、FRBの重要視しているPCEに充てられる数値の内容は鈍化しており、インフレは鈍化傾向にあると分析されている。
CPI
総合で前月比+0.5%と市場予想の+0.3%を上回った。食料品価格が+0.4%と大きく上昇したが、その上昇分の大半は鳥インフルエンザによる卵の価格の高騰(+15.2%)によるものだ。また、宿泊価格+1.4%、自動車保険+2.0%、中古車+2.2%と幅広いカテゴリーが上昇したが、これらはLAの大規模な山火事による一時的な影響の可能性もある。また年次の基準改定もあり、1月のデータは判断が非常に難しい。
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引用 https://jp.investing.com/economic-calendar/cpi-733
強いCPI統計を受けて、米国の2年金利は下のチャートのように大きく上昇した。市場の利下げ期待も9月利下げから12月利下げまで後退した。
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強いCPI統計を受け、短期金利が上昇して、長期金利も上昇したが、これは典型的なマーケットの反応だ。しかし、その後に米2年金利は再び低下している。これはどうしてだろうか?卵価格の高騰や、山火事の影響から一過性のものだと考えられたのだろうか?
若しくは、10年債の入札が好調に終わり、国債が買われたことに対する金利低下だろうか?
エコノミストの見解としては、「1月効果”とも呼ばれる残存季節性の影響が強いと、われわれは考える。従って強い数字が発するシグナルは限定的だ。企業は年初に価格を見直す。季節調整がこの典型的な現象を適切に処理できないと、季節調整済みの数値は通常より強いものになる」とあるが、原因はわからず。
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PPI
発表時に確認できた数字は、前回12月分の数字が軒並み上方修正されていたほか、今回1月分の結果も予想を上回る上昇で、一見すると生産者間でのインフレの再燃が懸念される内容となった。しかし、FRBが政策を変更する際に最も重視するインフレ指標であるPCEにかかってくる項目が弱かったため、PCEはあまり強く出ないだろうことが推測できるため、インフレは低下傾向との思惑が金利を下げたと考えらえる。
今回のCPI,PPIと共に、大きく上振れする内容となったが、トランプ大統領の関税政策が開始される前の駆け込み需要や、LAの山火事や南部の大寒波の影響もあるため、一過性のものかを確認する必要がある。
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引用 https://jp.investing.com/economic-calendar/ppi-238
小売売上高
1月の小売売上高は前月比0.9%減-市場予想0.2%減に対して弱い統計を受けて、米国の金利は小幅に低下した。強いCPIやPPIの統計後には12月利下げの年内1回まで低下したが、その後のPPIや小売統計を受けて、先週のレベルまで戻ってきた。
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引用 https://jp.investing.com/economic-calendar/retail-sales-256
◆来週のマーケット見通し
ドル円相場は、日銀の金融政策動向と欧米関連、ロシアウクライナ、関税政策が主な焦点となると考えられる。
日本のGDP
10-12月期はプラス成長が見込まれているものの、内需の弱さから日銀の利上げ期待を高めるには不十分となる可能性が高い。
市場の反応は限定的と考えられるが、GDPが予想を大きく上回れば円買い要因となる可能性があり、続く日銀・高田委員の講演で日銀利上げ観測が進む確率が高くなる。
高田委員は、過去の発言からタカ派的な内容が予想されており、円買いのきっかけになる可能性に注意。日銀の追加利上げ観測が強まると、円高圧力が高まる展開となるため、ドル売り圧力と重なるのであれば、ドル円は下落方面に進むと考えられる。
FOMC議事要旨
FRBの利下げに慎重な姿勢を示す可能性が高いため、ドル買い材料になりやすいが、前回のパウエル議長の講演で十分に市場は織り込んでおり、市場の関心は週末の米PMIやミシガン大指数へとシフトする見込み。
2/23 米PMI・ミシガン大指数
直近は米金利の下落が目立つ展開となっており、景気後退の兆候が見られると、米利下げ期待が再燃し、ドル売りが強まる可能性。
トランプ関税の影響
最近の市場は落ち着いた反応を見せているが、トランプ氏が「関税発動」をちらつかせることで、短期的なドル買い・円売りが入りやすい展開も想定。
ロシア・ウクライナ情勢
ロシア・ウクライナ情勢が良くなり、戦争が終結に向かうとすると、ユーロ買いドル売りで反応。地政学リスクの後退からリスクオンとなり、株価は上昇、ゴールドは一時的には下落すると考えられる。
※本記事は投資助言に関するものではございません。投資判断は自己責任の上お願いいたします。