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8月12日~8月16日 ドル円見通し
◆先週のドル円振り返り
◆値動きから市場の方向性を予測する
◆今週のドル円見通し
◆先週のドル円振り返り
先週は米経済指標の好結果を受け、景気後退の後退を確認した市場がリスクオンへと戻った相場展開となった。
ドル円やゴールド、株価の下落の要因となったキャリートレードの巻き戻しの終了から、ファンダメンタルがわかりやすく市場へと影響した一週間だった。
9月FOMCの利下げ折込は50bpから25bpへ、しかし、利下げはCPIの減速を確認してより決定的となった。
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小売売上高はかなり強く出たことにより、市場では米経済はいまだに堅調だという意思がみられドル円は上昇、しかし、その他住宅関連指標の悪化や米利下げが継続してくる可能性から上昇は続かず、ドル円は小売売上高発表時の水準まで下落。市場は来週のジャクソンホール会合での日米中央銀行トップの発言待ちとなった。
米利下げの確実視からゴールドは上昇し、史上最高値を更新した。何度もお伝えしているが、米利下げ時のゴールド上昇は過去のデータから必須。今回は違うという考えではなく、基本的には今回もそうなるだろうというつもりで、先週お同様にゴールドは上目線を継続したい。
12日 月曜日
東京市場
元日銀委員の「年内の追加利上げは無理」との発言から円売りが進んだ。
ロンドン市場
円安が進行し、ドル円は146円台半ばから147円台半ばをうかがう動きが見られた。
NY市場
ドル円が一時148円台に上昇したが、その後147円台前半まで急降下した。
13日 火曜日
東京市場
円売りが優勢で、ドル円は146.92近辺から147.82近辺まで上昇した。
ロンドン市場
147円台後半で上昇が一服した。
NY市場
米生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったことにより景気後退懸念は拭えずドル売りが進み、ドル円は146円台に下落した。
14日 水曜日
東京市場
岸田首相が次期自民党総裁選に出馬しない意向との報道での不確実性からドル円が147.20付近から146.08近辺まで下落、下落は一時的となり147円台を回復した。
ロンドン市場
円売りが再び強まり、ドル円は147.50付近まで上昇した。
NY市場
米消費者物価指数(CPI)の発表を受けて予想通りの結果により、景気後退懸念が少し後退したことからドル円が一時147円台半ばまで上昇したものの、方向感は出ずに再び146円台に戻った。
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15日 木曜日
東京市場
ドル円は147.61近辺まで上昇し、その後147.06近辺まで反落した。
日本GDPは予想以上の好結果であったが、総合的な成長は0%であり、円買いにはつながらなかった。
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ロンドン市場
ドル円は147円台での売買が続いた。
NY市場
米小売売上高と新規失業保険申請件数の好調な結果を受けて景気後退<景気減速の見方が強まり、ドル円が149円台に上昇した。
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16日 金曜日
東京市場
ドル円は一時149.35近辺まで上昇したが、その後148.74近辺まで下落、その後再び149円台に戻。り高値付近で留まった。
ロンドン市場
米長期金利の下落からドル円が148.10台まで下落した。これは、米経済は上ではなく下へ向かっていると市場が判断している値動きの可能性が大きくなってきた。
NY市場
ドルが再び売られ、ドル円は147円台に下落した。
◆値動きから市場の方向性を予測する
今週は米景気後退懸念が広がる中、実際はどうなのかを見極める1週間となった。結果的に米景気は減速しているが、景気後退時ほどの悪化を見せてはいない結果となった。つまり、米国の景気後退への過度な疑念が、とりあえず払拭された週となったわけだ。
しかし、米注目経済指標が予想以上の結果を見せた後のドル買いも継続せず、住宅関連指標の予想以上の悪化も続き米景気後退懸念はまだ市場に残る形となった。
ドル円
今週の値動きと経済データを見比べてみると、これまでのドル円上昇相場のような大きなトレンドは発生しておらず、それぞれの材料に反応して動いている相場が続いている。こういった相場では、市場は方向感に迷いが出ている状態であるため、デイ~スキャルが適した環境となっている。
市場の迷うポイント
米利下げ時のドル円は下落傾向にありやすいが、日銀のハト派的な発表があるたび円売りの反応を見せてドル買いは起きている。
為替取引の市場参加者的には、米景気後退懸念を後退させる強い米経済指標を見せるのは良いが、今後は利下げが確実視されており、長期的なトレンドとしてはドル売りをメインで行いたい環境ではある。
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7月の介入により、日米金利差とドル円の相関性は戻ってきた。つまり、ドル円の動向は日米金利差も再度影響してくるというわけだ。
結論
現在の市場はまだ方向感がつかめない状態であり、1つ1つの材料に敏感に反応しやすい相場環境にある。
日米金利差も再度意識し始められており、今後の日米中央銀行の動向から長期的な方向を見出す必要がある。
◆今週のドル円見通し
来週は注目される経済指標は木曜日に発表される新規失業保険申請件数とPMIのみとなっている。
それよりも、ジャクソンホール会合が非常に注目となる1っ週間となりそうだ。パウエルFRB議長は、このジャクソンホール会合で2018年には漸進的な利上げを継続することを確認し、2020年には金融政策のフレームワークとして、「平均インフレ目標」の考え方を導入することを発表している。
このことから市場では、9月の利下げに向けた地ならしが行われるとの期待が強く、更に踏み込んで25bpの利下げになるのか、50bpの利下げになるのかのヒントを求めている。現在の結果から見るとパウエルFRB議長が50bpの利下げを行うハードルは高い可能性がある。このままサプライズなく次回FOMCまで進んだ場合は、9月に25bpの利下げとなるであろう。現在の市場の年内利下げ回数の織り込みと、FRBの乖離は下のチャートだ。
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FRBは年内は1回の利下げを示しているのに対して、市場は一時は大幅な利下げを見込んだものの、直近では3回から4回に下方修正されている。市場では、ざっくり年内に3回~4回、来年に5回程度の利下げを見込んでいる。すなわち来年末までに9回程度の利下げが行われる織り込みだ。まずは直近の動向がどうなるか、パウエル議長の発言に注目したい。
日銀については利上げ時期についてどう考えているのか、現在の日本の経済データや金融市場を日銀はどう分析しているのかというポイントからヒントを得られる可能性もあるので、植田総裁の発言注目したい。
現在のドル円は方向感に欠けており、1つ1つの情報に敏感に反応する相場になっている。ドル円の主体はドル相場であり、米利下げが決定していることから大きな流れは下向きにできやすい環境であろう。
しかし、円の弱さが再確認できる場合には円売りも発生する可能性が高く、どれ運ではなくほかのクロス円やドルストレートなどでの取引も考えたい。
※本記事は投資助言に関するものではございません。投資判断は自己責任の上お願いいたします。