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鳥居とは何か?④ 〜鳥居の分類と構造〜 【神明系鳥居・前編】
2020年5月20日公開記事を再掲
鳥居の分類(神明系鳥居・前編)
「鳥居」にフォーカスして、お伝えしている短期連載企画『鳥居とは何か?』。
第二回より、鳥居の様々な種類をご紹介しています。
鳥居に、そんなに豊富なバリエーションがあったのかと新鮮な驚きを感じられた方も多いのではないでしょうか。
今回の企画を機に、神社参拝の折には鳥居を眺める時間を少しでも持っていただけたら嬉しく思います。
さて、今回より「神明系鳥居」のご紹介です。
「神明鳥居」の大きな特徴は、「笠木」、「貫」、「柱」から構成され、柱には基本的に「転び(傾斜)」がないことです。
「明神鳥居」は、細部に様々な装飾がなされていて、曲線的なイメージであるのに対して、「神明鳥居」は非常に原始的な建て方であり、直線的なイメージを持っています。
伊勢鳥居
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「伊勢鳥居」は「笠木」が五角形であり(貫は四角形)、「貫」と「柱」の間には「楔(くさび)」が入っています。
また、「笠木」の鼻(先端)が先端が斜めに切り落とされる、「襷墨(たすきずみ)」と呼ばれる形状となっています。
伊勢鳥居のある、その他の神社
熱田神宮(名古屋市熱田区)など
黒木鳥居
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「神明鳥居」の「笠木」、「貫」、「柱」といった各部材は、丸太の樹皮がむかれていますが、「黒木鳥居」は樹皮がついたまま組み合わされています。一般的に櫟(くぬぎ)や、檜(ひのき)の丸太が使われます。
京都・嵐山にある野宮神社の「黒木鳥居」が有名です。これまで櫟を使用して3年毎に建て替えられてきましたが、現在は防腐加工をした櫟が用いられています。
現存する全ての鳥居の、原型であり、日本最古の様式である「黒木鳥居」は、天皇即位に際して執り行われる「大嘗祭」において、その祭祀の場となる「大嘗宮」の南北の柴垣の門に使われています。
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白木(白丸太)鳥居
![](https://assets.st-note.com/img/1688107310453-kZCF4f63yx.jpg?width=1200)
「黒木鳥居」は樹皮をつけたまま建てられますが、「白木(白丸太)鳥居」は、樹皮をはいで建てられています。
笠木は、自然木の樹皮をはいだだけですので、木の先端と根元で太さに違いが出ます。この場合、根元の方を本殿に向かって右側に配置することになっています。
表面に染みや苔が生じたり、風雨によって亀裂が入りやすいため、建て替えを余儀なくされることが多く、近年ではその数は減少傾向にあります。
陵墓鳥居
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鳥居に使用されている木材の表面を、鉋(かんな)などで削って平滑にすることを「化粧」といいます。
「陵墓鳥居」は「白木(白丸太)鳥居」を化粧仕立てにした鳥居です。写真からも表面の滑らかな光沢が伝わってくるのではないでしょうか。
天皇陵に多いため「陵墓鳥居」と呼ばれています。陵墓以外の神社に「陵墓鳥居」が設置され始めたのは、明治末期から大正期以降とされます。
その他の陵墓鳥居
昭和天皇・武蔵野陵(東京都武蔵野市)など
靖国鳥居
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「白木(白丸太)鳥居」を化粧仕立てにした点においては「陵墓鳥居」と同じですが、「貫」が丸太(丸貫)ではなく、長方形(平貫)となっているのが「靖国鳥居」の特徴です。
鹿島鳥居
![](https://assets.st-note.com/img/1688107462902-N8BjE44pgm.jpg?width=1200)
「白木(白丸太)鳥居」と同じく、自然木の丸太が使われています。ただし、「貫」には角材が使われ、柱の外側に突き出ています。
また、「白木(白丸太鳥居)」とは逆に、丸太の根元は本殿に対して左に配置され、笠木の鼻(先端)は、「襷墨(たすきずみ)」となっています。
鹿島鳥居のある、その他の神社
香取神宮(千葉県香取市)
次回も、引き続き「変わりダネ鳥居」と「神明鳥居」の後編をお届けします。
参考文献
『鳥居 百説百話』川口謙二、池田孝、池田政弘著 東京美術
『鳥居』谷田博幸著 河出書房新社