見出し画像

福利厚生費とは?

今回は、福利厚生費について書いていこうと思います。
福利厚生費は、社員のやる気アップや定着に役立つだけじゃなく、採用の際にも「働きやすい会社」としてアピールできます。
しかも、うまく使えば会社にとって節税効果もあるので、ただの経費ではなく、会社の成長に繋がる投資とも言えます。

この記事についてやその他の質問等、当税理士事務所のLINE公式アカウントにて受け付けています。お気軽にご質問ください。
福利厚生費について質問する


福利厚生とは

福利厚生とは、辞書では次のように定義されています。

ふくり‐こうせい【福利厚生】
企業が、労働力の確保定着、勤労意欲・能率向上などの効果期待して、従業員とその家族に対して提供する各種施策制度。主として従業員の生活の向上支援する目的実施されるもので、法律義務づけられた法定福利社会保険料の事業主負担など)と、企業任意実施する法定外福利(交通費・社宅・健康診断・育児支援・保養施設など)がある。

goo辞書/デジタル大辞典(小学館)
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%A6%8F%E5%88%A9%E5%8E%9A%E7%94%9F/

つまり福利厚生とは、従業員やその家族に対して健康や生活の向上を支援するために提供される制度のことをいいます。
福利厚生は、法定福利と法定外福利に分けられます。

福利厚生を充実させるメリット

  • 従業員満足度の向上

  • 節税効果

  • 人材が集まる   など

福利厚生を充実させることで、従業員の定着や、採用する際のアピールにもつながります。

福利厚生費にできるもの

企業の行う福利厚生には、法定福利と法定外福利(福利厚生費)の2つに分けられます。
会計規則や税法上で、福利厚生を経費とする場合以下の二つの科目に分かれます。

法定福利費

法定福利費とは、会社が従業員などに行う福利厚生のうち法律で定められている費用のことを指します。
例)健康保険、厚生年金保険料、介護保険、労災保険、雇用保険

福利厚生費(法定外福利など)

法定福利費に含まれない福利厚生で以下ようなものが経費として認められてています。

例)創立記念日や祝日などの社内行事、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞い、社員旅行、懇親会、健康診断費、住宅手当、食事補助

交際費等との違い

福利厚生費と交際費等は、税法上で明確に区別されています。

接待交際費等の定義

措置法第61条の4第6項に規定する「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうのであるが、主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。(昭57年直法2-11「十一」、平6年課法2-5「三十一」、平26年課法2-6「三十二」、令4年課法2-14「四十三」により改正)
(1) 寄附金
(2) 値引き及び割戻し
(3) 広告宣伝費
(4) 福利厚生費
(5) 給与等

国税庁HP 第1款 交際費等の範囲 抜粋
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm

交際費とは、取引先や事業に関係する者に対する接待や飲食、贈り物などにかかる費用のことをいいます。
ただし、寄付金や従業員の福利厚生、広告宣伝費、給与などの費用は交際費には含まれないため注意が必要です。

交際費と福利厚生費の違い

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。
交際費等の範囲から除かれるもの

次に掲げる費用は交際費等から除かれます。

1 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

以下略・・・・

国税庁HPNo.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算(法人税)抜粋https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm

上記1について
要点は以下の2点です。

1.専ら従業員の慰安のために…
2.通常要する費用.…


1.専ら従業員の慰安のために
1の専ら従業員の慰安のために…とは、従業員に向けたものでなければいけないということです。

2.通常要する費用であることの要件
(1) 機会の平等性
すべての従業員が平等に利用できなければなりません。特定または一部の従業員を対象にしたものは、福利厚生費とは認められません。
当然、従業員のいない企業などでの計上は認められません。

(2) 金額の妥当性
支出する金額が、社会通念上妥当な金額でなければなりません。
あまりにも高額な場合は、認められない可能性があります。

(3) 金銭での支払ではないこと
サービスそのものの提供でなければなりません。
現金をそのまま従業員に渡した場合は、給与とみなされ、源泉所得税の課税対象になります。

給与、給与になるもの
給与、賞与、現金、金券、商品券など換金性の高いもの

給与として判断され、源泉所得税の課税対象になるかの判断の例として国税庁のHP「従業員レクリエーション旅行や研修旅行」の一部を引用します。

従業員レクリエーション旅行の場合は、その旅行の内容(旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合など)を総合的に勘案して、社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行と認められるもので、その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額が少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追求の趣旨を逸脱しないものであると認められるものについては、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいことになっています。

なお、その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額が少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追求の趣旨を逸脱しないものであると認められ、かつ、その旅行が次のいずれも満たすものであるときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいことになっています。

(1) 旅行の期間が4泊5日以内であること。

海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。

(2) 旅行に参加した人数が全体の人数の50パーセント以上であること。

工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50パーセント以上が参加することが必要です。

国税庁HP No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行 抜粋      
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm

福利厚生費にならないもの

例)上記の給与、給与になるもの、業務に直接必要のない研修旅行、特定部署での忘年会、高額な人間ドックなど

これらは福利厚生費としては認められず、従業員の給与と判断され源泉所得税の課税対象となります。

ここで消費税の話を考えると、福利厚生費だった場合は課税仕入れ、給与だった場合は非課税仕入れとなります。
そのため、給与だった場合は、従業員は源泉所得税が高くなり、会社は消費税の納税額が上がります。福利厚生費になるものはなるべく福利厚生費にしたほうが、負担が少ないということになります。

まとめ

適切に福利厚生費を運用することで、企業は従業員の満足度を向上させ、働きやすい環境を作り出すことができます。

福利厚生費の扱いについては、税務処理の際に法令に従って適切に処理することが重要です。国税庁のガイドラインや根拠法令を理解し、企業の運営に役立てていきましょう。

当税理士事務所では、FaceBookやLINE公式アカウントでのお問い合わせを受け付けていますのでぜひご相談ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?