📗【文書版】礼拝メッセージ『教会の土台、教会の力』新約聖書　マタイの福音書第16章13～20節　2023年8月27日

一昨日の礼拝メッセージのテキスト版をここに掲載いたします⬇️
✴️礼拝メッセージ『教会の土台、教会の力』
新約聖書　マタイの福音書第16章13～20節　2023年8月27日

13　さて、ピリポ・カイサリアの地方に行かれたとき、イエスは弟子たちに「人々は人の子をだれだと言っていますか」とお尋ねになった。
14彼らは言った。「バプテスマのヨハネだと言う人たちも、エリヤだと言う人たちもいます。またほかの人たちはエレミヤだとか、預言者の一人だとか言っています。」
15イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」
16シモン・ペテロが答えた。「あなたは生ける神の子キリストです。」
17すると、イエスは彼に答えられた。「バルヨナ・シモン、あなたは幸いです。このことをあなたに明らかにしたのは血肉ではなく、天におられるわたしの父です。
18そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上に、わたしの教会を建てます。よみの門もそれに打ち勝つことはできません。
19わたしはあなたに天の御国の鍵を与えます。あなたが地上でつなぐことは天においてもつながれ、あなたが地上で解くことは天においても解かれます。」
20そのときイエスは弟子たちに、ご自分がキリストであることをだれにも言ってはならない、と命じられた。

　主の恵みと平安が皆さんの上に豊かにありますように。この日も皆さんとご一緒に主の日の礼拝にあずかれますことを心から感謝いたします。

　一昨日の金曜日に、大阪の羽曳野市にある「めぐみなチャペル」の午後2時ごろからの平日の集会に出席してまいりました。
　ここは西本誠作さんという、中古車販売店を経営なさりながら、伝道牧会されている方が、開拓伝道をしていらっしゃいます教会です。
　どういうつながりかと言いますと、私が、5、6年前から継続して訪問させていただいていますKさんという方がいらっしゃいまして、―この方の妹さんの洗礼は6年前に入所している施設内で私が授けさせていただきましたけれども―そのご兄弟が、囲碁と将棋盤のめぐみ堂の元社長・クリスチャン経営者でいらっしゃいました西本誠一郎さんでして、その息子さんの誠作さんが神学校を出て大阪羽曳野で開拓伝道していらっしゃるわけですね。
　そのめぐみなチャペルは、車屋さんの裏手に入口がありまして、そこに入って、階段を上がって扉を開けてみれば、本当に祈りの積まれた空気の礼拝室があるんですね。まぁ話を聞いてみればですね、本当に壮絶なところを、もう死ぬような思いのするところを何度も通られて、命がけで伝道していらっしゃる、そこに確かに神はおられて働いておられる、というのをビンビン感じました。
　まぁ平日のその金曜の集会に集っておられる信徒の方々も、皆さん笑顔で明るい雰囲気なんですけれども、ちょっと話をうかがっただけでも、本当にそれぞれが壮絶なところを通りながら明確に信仰を告白しておられる方々だな、ということがよく伝わってきました。もちろん皆さんもですよ。
　集会の中で、和気あいあいとした雰囲気の中進められましたが、途中で、私に「証しをしてくれませんか？」って言われたんですね。それは高知で開拓伝道をしています、ということを最初の自己紹介で言ったからかもしれません。
　私は、「証しならいつでもできますよ」とお答えしましたので、証しをすることになりました。イエス様によって救われた証しと、―もちろん救われる前のことから話してですね、つまり浄土真宗の家に生まれて、から、高校中退をして、など、イエス様に出会う前の私から、高知クリスチャンセンターに導かれて数か月した頃、高知ペンテコステ教会の特別伝道集会に出かけて、そこで長血の女の説教を聞いて涙がボロボロ流れて止まらなくなって洗礼を受けることを決心したこと、それとほぼ同時に献身の思いが与えられたこと、そして高知クリスチャンセンターで受洗して、高知クリスチャンセンター内の神学校ニューホープバイブルセミナリを3年で卒業して、牧師按手を受けたこと、そして、さらに神戸ルーテル神学校に進み、伝道者としてなお訓練を受け卒業したことから、その後、約8年間、高知クリスチャンセンターで仕えて、そして、2021年3月末に高知クリスチャンセンター閉所、という苦難のできごとを通ったので、まるで荒野に放り出されたような中でも、しかし、主は確かに生きておられて、この高知市潮新町のカフェ倍音共鳴さんの1階で礼拝ができるように導いてくださり、たくさんの主の恵みと祝福の中で、昼は雲の柱、夜は火の柱をもって導いてくださり、礼拝の火が絶やされることなく、今年4月に2周年を迎えて、開拓3年目、ということになっています、といういきさつを、もう少し詳しい形で、お話させていただきました。
　そうしたら皆さん大変喜んでくださいまして、信徒の方の1人が、「みんなで、高知での開拓伝道のためにお祈りしましょうよ」と言ってくださいまして、皆で私を囲んでですね、手を置いて祈ってくださいました。
　嬉しかったですね。そして、大変励まされる思いがいたしました。大阪からも、ここでの伝道が祝福されるように祈られているんです。
そのめぐみなチャペルには、霊的な雰囲気の豊かな教会でして、牧会しておられる西本誠作さんは、この大阪羽曳野の地の、殉教者スピリットを掘り起こすと言っていらっしゃいましたけれども、まさに、「主イエスこそ生ける神の子キリストである」と、はっきり告白する信仰告白、あるいは、その信仰告白をする人々を土台に主が建て上げてくださった教会だな、ということをはっきり思わされたわけです。もちろん、ここもそうです。

さて、今日のみことばは、そのような大事な信仰告白が語られている箇所で、新約聖書の中で、一番大事な箇所、と言う人もあります。それほど重要なところですね。教会とは何か。教会の大憲章、教会のマグナ・カルタだ、なんて言う人もいます。それほど大事な、ペテロがした信仰告白、が記されているわけですね。

ピリポ・カイサリアの地方で、―まぁこの地方の地名に関する背景情報はいっぱいあるんですけれどももう今日は省略します―イエス様は弟子たちにお尋ねになりました。「人々は人の子をだれだと言っていますか」人の子、というのは、イエス様がご自身を指して言うことばですね。イエス様を、世間の人々は誰だと言っているのか、という質問ですね。
これはもちろんイエス様が、世間の評判を気にされたわけではないです。一種の弟子たちへのテストとでも言えるでしょうか？
みんなは口々に言います。「バプテスマのヨハネの再来だ、という人もいます。」「あの偉大な預言者エリヤの再来だ、と言う人もいます」「いやエレミヤだ、という人もいます。」「他の預言者の誰々だ誰々だと言う人がいます。」
　みんな答えやすかったと思いますね。世間の人々の言っているほめ言葉を言えばいいわけですから、あまりプレッシャーはなかったと思いますね。
　そこでイエス様の質問第一弾は終わり、それではということで、本題が入るわけですね。「それでは、あなたがたはわたしを誰だと言いますか？」
　場の空気がピターッと止まってですね、緊張が走ったと思います。弟子たちはうつむいてですね、横目でちらちらと、他のたちの弟子の顔を見ながら、「どうしようかな、変な答えしたら恥かくぞ」ってそれぞれが思ってたかもしれませんね。
　ここで、その場の空気を変える人が弟子たちの中にいますね。そう、いつものペテロさんです。どうも言いだしっぺになりたい、なんか言わなくちゃならない。先に沈黙を破ってくれるのはたいていペテロさんです。ペテロは言いました。「あなたこそが、生ける神の御子、キリストです。」新共同訳ではキリストではなくてメシアで訳されていますね。同じ意味です。
　こういうふうに言いますと、イエス様は、大変喜ばれました。「バルヨナ・シモン、あなたは幸いです。このことをあなたに明らかにしたのは血肉ではなく、天におられるわたしの父です。」父なる神です、ということですね。こういうふうにイエス様おっしゃいました。
　バルヨナ、というのは、ヨナの息子、という意味です。当時苗字なんてありませんから、誰々の子、というのをつけて、シモン、っていうのはペテロの本名ですね。ペテロっていうのはイエス様がおつけになったあだ名です。ここで本名をこうして言って、ある種、重みをもって祝福を宣言なさるわけですね。幸いです、っていうのは、あの山上の説教でイエス様が「幸いなるかな、心の貧しい人・霊の貧しい人」と言われたあの祝福の宣言と同じことばですね。そして、そのことを明らかにしたのは血や肉、つまり人間ではない。天におられるわたしの父なる神が、あなたにそのことを知らせたのだ、つまり、ペテロよ、あなたが、特別洞察力があったからでもない、カンが鋭かったからでもない。賢かったからでもない。天の父があなたに知らせて言わせたのだ。
　つまり、この告白自体は、素晴らしいもので、2000年間よよのキリスト者たちの信仰の告白となりました。けれど、来週の今日の続きの21節以下の箇所が朗読されますけれども、この素晴らしい信仰告白をしたペテロは、ことばとしては100点満点で答えられていますけれども、残念ながら、そのことばの本当の意味を、理解できていたかと言うと、できていなかったですね。当時メシアといえば、ダビデ王の再来、ローマ帝国を追っ払って、かつてのダビデ王国のようなユダヤ独立王国・神の国を地上に建て上げてくださる政治的なメシアだと思っていたわけですね。だからペテロがこの告白をした直後、イエス様が、ご自身の死と復活についてお語りになると、ペテロが、「ちょっとちょっとイエス様！」ってわきへお連れして、「イエス様だめですよ。死ぬなんてそんなこと言っちゃ！あなたには天下を取ってもらわなくちゃいけないんですからね。今からそんな弱気なこと皆の前で言わないでくださいよ」と、いさめ始めた、ということで、要するにいさめたって、イエス様を叱ったわけですよね。そこで、あの素晴らしい信仰告白をした直後なのに、「下がれサタン」とまでイエス様に言われてしまう。まぁこれは、ペテロ本人に、というよりは、ペテロの背後でそれを言わせた悪魔サタンに向かって、イエス様はそれをおっしゃったんだと取ることができますけれども、とにかく、ペテロの理解力自体はその時はその程度だったので、ますますその信仰告白をさせたのは、ペテロ本人の知恵でも洞察力でもなくて、天の父なる神なのだ、というイエス様のおっしゃったことは、その通りだということがよく分かるわけですね。
　
　とにかく、その信仰告白をしたペテロに対して、イエス様はおっしゃいます。

18そこで、わたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上に、わたしの教会を建てます。よみの門もそれに打ち勝つことはできません。

　物凄く力強い宣言ですね。これはマタイの書いたギリシャ語では、かけことばになっています。ペテロは、もっと正確に発音すればペトゥルス、です。これは小さい岩という意味ですね。日本語風に言えば「岩男くん」という感じですね。イエス様がどうしてこういうあだ名をおつけになったか。それは、漁師であるシモンが、岩のように頑丈な体だったからなのかもしれません。もしかしたら、土佐弁で言ういごっそう、頑固者だったから、岩というあだ名がつけられたのかもしれません。それは分かりませんけれども、そのあなたは小さい岩です。とおっしゃった後に、わたしはこの岩、ぺトゥラの上に、わたしの教会を建てます。とおっしゃった。
　ペゥトラ、というのは、地に根をしっかりと降ろした頑丈な巨大な岩盤のことです。ペトゥルスとペトゥラ、かけことばになっていて、この岩の上に、わたしはわたしの教会を建てるであろう、と、そうイエス様はおっしゃった。イエス様の教会建設のビジョンですね。
　とは言っても、ここでは、建物としての教会を建てるのではありません。この教会という単語は、エクレーシア、建物の意味は全くありません。「神に呼び集められた人々」を指します。集い、ですね。(ヘブル語で集会をカハルと言いますけれど、それに当たります。)「教会」という訳語は、「教える会」と書きまして、教えを聞くところかなと思われますので、単に「集会」、と訳してもいいかもしれないですね。まぁ定着していますから教会のままでいいとは思いますけれども。
　
　つまり教会と言ったら、一般で言われる、「何々教会はどこにありますか？「ああそれなら、そこの突き当りを右に曲がってまっすぐ行ったら左手に十字架のついた建物が見えてきますよ。」とかいうのは、教会堂のことですね。建物のことです。それは、正確には、教会の入れ物、ですね。教会とは、「主イエスこそ、生ける神の御子キリストである。」と告白する人々の群れのことです。この群れは、あるいはこの信仰告白は、あるいはこの信仰告白する人々は、物凄い力を与えられているので、誰もそれを崩すことはできない。この世のどんな力も教会をくずすことはできない。よみの門でさえも―このよみの門の意味は後で解き明かしますけれども―よみの力でさえも教会を崩すことはできない！そんな力を神様から与えられているのです。

　それでそういうある意味で屈強なですね、どんな力でも打ち倒せない教会の土台とは何か、イエス様は「この岩の上にわたしの教会を建てる」とおっしゃいましたが、「この岩」というのを、ローマ・カトリック教会は、ペテロ個人、ペテロその人だ、と解釈して、ペテロの首位権というのを主張致します。そして、その首位権を持つペテロがローマの教会の指導者・監督になったので、代々ローマ教会の監督は、ペテロの後継者である、としまして、これが代々のローマ教皇ですね。今のフランシスコ教皇は、第266代目だと思いますけれど、カトリック教会は、ペテロを初代ローマ教皇というふうにみなしています。しかしその解釈は、ここの原文のギリシャ語を厳密に読めば、無理があるのですが、細かい議論はここでは省略いたします。
　とにかく、プロテスタントはそうは解釈いたしません。権威は聖書のみであって、ローマ教皇一人に特別な権威がある、とは認めないのです。むしろ、ここで言われたこの岩の上、の岩とは、ペテロがした「主イエスこそ、生ける神の御子キリストである」と告白する「信仰告白」のこと、あるいは「その信仰告白をする人々」のことである。(あるいはこの岩というのは、神ご自身のこと、イエス様ご自身のことだとする解釈もありますが、)この上に建物ではない教会・集会が建てあげられる。(ちょっと新約聖書の中で手紙になると表現にゆらぎみたいなものがあって、パウロ手紙では第一コリント第3章なら、土台はイエス・キリストです、と言われて、エペソ2章20節なら、使徒と預言者が土台だとパウロは語っていますけれども、それについてはまた別の機会に説き明かすことがあると思いますけれども、とにかく、マタイの論で言うならば、信仰告白が土台なわけですね。そういう教会はどんなことがあっても崩れない。)

　また逆を言うならば、どんなに立派な教会堂の建物があって、毎週礼拝が行なわれていて、そして礼拝の中でたとえ使徒信条が告白されてさえいたとしても、集うみんなが、内心イエスを神だとは思っていないならば、それはイエス・キリストの教会とは言えないわけですね。

　宗教改革者マルティン・ルターは、この信仰告白がしっかり保たれているかどうかが、教会が立ちもし、倒れもすることだと言いました。
　つまり、明確に、心の底から正しく信仰告白をし、その信仰告白が教会の土台だと思っているなら、教会は崩れないんです。

　私は四国説教塾に15年前後に渡って参加いたしましたけれども、もう12、3年前になるでしょうか。高知旭教会を会場に、四国説教塾の三日間のセミナーが行なわれて、私も参加させていただきました。そこで3日間で説教を作成する実習をするんですね。
　そこには、確か香川県の教会で仕えておられる、政所(まんどころ)先生という方が、参加者の1人として来てくださっていました。
　その先生が、話されたことに私は大変感動いたしました。その政所先生より前の代の、その香川の教会の昔の話です。宣教師がその地にやってきて、その香川の地で伝道をしまして、教会が生まれた。そこで一所懸命、みんなで献金して木造の教会堂も建った。それからしばらく時が流れて、空襲でその教会堂が、すっかり焼け落ちてしまった。その後どうなったか。もちろん、教会を閉じなかったんです。その焼け落ちた次の日曜日、その焼け跡に信徒たちが集まってきて、おそらく屋根さえ無い中でも、礼拝をしたのです。そして、次の週、次の週、礼拝を続け、人々がだんだん加えられていって、また新しい教会堂も建って、教会がこんにちまで継続している、という話を政所先生がしてくださった。
　素晴らしいなぁと思いました。まさに教会の土台は、信仰告白、また信仰告白をする人々、それがあれば、会堂やその他の何を失っても、教会は決して終わらないのです。
　
　それはたとえ牧師がいなくなってもですよ。ある牧師先生が、このマタイ第16章のこの箇所について、もちろんこの人がいたから教会が建て上げられてというような功労者みたいな牧師がいるような場合がある、でも、もしその牧師を土台に教会が建て上げられているという意識だったら、その牧師がいなくなったら、教会が弱まったり、立ち消えたりしかねない、ということですね。これは非常に大事なことですね。

　たとえば、（極端なケースかもしれませんが）想定して申し上げますけれども、たとえばある単立の開拓教会が伝道を続けていて、中心のように働いている牧師か宣教師が突然天に召されたらそれからどうするでしょうか？信徒ののうちの誰かが説教をするんですよ。(あるいは別の牧師を招聘するか、他いくつかの方法が皆で祈りつつ考えられるでしょう。それぞれが別の教会に転入会する、つまりイエスこそ神の御子キリストですと告白するエクレーシア・別の地域教会に加わるなどして、魂が放ったらかしにされないで、信仰共同体としての教会として歩み続けられるようにするわけですね。)
　
　信仰告白が土台ならこのように崩れない。
　そしてこの力強いこのがっしりとした教会には、よみの門も打ち勝てない！よみとは、原語はハデスです。死者の世界です。そして、門というのは、古代の城塞都市において、一番兵士の力が集中するところですね。ですから力の象徴とされるので、翻訳によっては「力」となっているのは、少し意訳してあるのでしょう。つまり、死の力でさえも、教会には打ち勝つことができないのだということですね。

　そして、私たちは、散らされた教会として生きる、という言い方があります。日曜の礼拝に帰ってきたら、また月曜から、世にあって、家庭や職場や学校やその他の場所で神さまから遣わされてひとりひとりが、いわば散らされた教会として生きるんです。この岩の上のペトゥラが巨大な岩盤を表して、ペトゥルスが巨大な岩から切り出された小さな岩だとしたら、ウィークデイの私たちもまた、ペトゥルス、小さな岩として生きる、その時に、よみの力さえも打ち勝てない力が実は私にもあなたにも個々人に与えられているんです。
　
長崎26聖人の話をしてメッセージのむすびとしたいと思いますけれども、26人が長崎の地で、殉教の死を遂げたのですけれども、私は、その26人は皆、長崎に住んでいた住人だとばかり勘違いしていました。
しかしそれは違いました。京都、あるいは大阪の人たちだったそうです。(高知の浦戸のサンフェリペ号事件がきっかけとなったわけではありますが、)どうして京都にいた者たちが長崎で処刑されたのか？
それは約1か月の間　ずうっとそこを見せしめのようにして、歩き通させられたのです。
ある者は耳を削がれ、ある者は鼻を落とされ、キリストを信じるとこういうことになるぞということを皆に見せしめにされて歩いた
そこにはまだ10代の少年もいました60歳を過ぎた、当時でいえば高齢者と言ってもよいような人たちもいて、みんなそこを歩いた。
日本人だけではありません。スペイン人もいました。ポルトガル人もいました。メキシコ人もいました。
ただ彼らに共通するのは、「主イエスこそ生ける神の御子キリストだ」と告白しているということだけです。
やがてその場所で、長崎に到着した者たちは十字架につけられました。
その時彼らがどういうことばを残したのか？ということがはっきり記録に残っています。パウロ三木という人は　まだ33歳でしたけれども、十字架の上でこう言ったのです。これはフロイスが記録している文です。

ここにおいでになる全ての人々よ、私の言うことをお聴き下さい。(中略)私は何の罪も犯さなかったが、ただ我が主イエス・キリストの教えを説いたから死ぬのである。私はこの理由で死ぬことを喜び、これは神が私に授け給うた大いなる御恵だと思う。今、この時を前にして貴方達を欺こうとは思わないので、人間の救いのためにキリシタンの道以外に他はないと断言し、説明する。キリシタンの教えが敵及び自分に害を加えた人々を赦すように教えている故、私は国王(秀吉)とこの私の死刑に拘わった全ての人々を赦す。王に対して憎しみはなく、むしろ彼と全ての日本人がキリスト信者になることを切望する。

と、こう語ったのです。これは特別な英雄的な殉教の死であり、私たちには縁遠すぎることなんでしょうか？もちろん、皆さんがそのような命を奪われるような、切羽詰まった、問いをつきつけられるような場面に遭遇することを望みませんし、そのような特殊な強烈な状況に立たされることはおそらく無いでしょう。しかし、本当にその岩として遣わされたその現場においてですね、家庭において、職場において、イエス様から、「あなたはわたしを誰と言うか？」という問いがプレッシャーとして突き付けられている、、、というのは、何か福音ではなく別の律法主義のようになってしまうので、どうも違うと思うんですよね。
　むしろ、うまく人の前で、イエス・キリストを神として信じている、ということを告白できなかった。お茶を濁して答えてしまった。そんな罪さえも主は十字架の上で赦してくださいました。あなたのその罪はゆるされました。この罪の赦しこそが、まさに、よみの門さえを打ち勝つことのできない力。そう、神に絶対にゆるされている、というその事実、そしてそれがもたらす平安こそが、死への恐れを取り除いてゆくんです。その罪の赦しと、天の御国の鍵、それをまさに、与えると、今主イエスはあなたに言っておられます。あなたに与えられたこの鍵によって、天のみ国の門は音を立てて開きました。この門からあなたも確実に入るのです。そしてその天のみ国のカギをもって、人々をイエス・キリストのもとに招き続けるように、主は私たちひとりひとりに呼びかけておられます。

お祈りをいたします。
恵みとあわれみに富みたもう、私たちの主イエス・キリストの父なる御神
あなた様のお遣わしになった主イエスこそ、生ける神の御子キリストです。世に来られた救い主です。私たちはそう告白いたします。よみの門も打ち勝つことのできない教会の力、そして天の御国の鍵、それを私たちに与えてくださいましたことを感謝いたします。その喜びにあふれて、週日は散らされた教会として、遣わされた現場現場で、その喜びを人々と分かち合えるように導いてください。主イエス・キリストの御名によって祈り願います。アーメン。

#ペテロの信仰告白 #この岩の上