💝文書版🎄クリスマス礼拝メッセージ『大いなる永遠のクリスマス』

🎄先日2022年12月25日(日)の礼拝メッセージのテキスト版もここに掲載いたします⬇️
💝礼拝メッセージ『大いなる永遠のクリスマス』

新約聖書　ヨハネの福音書第1章1～14節
1初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。
2この方は、初めに神とともにおられた。
3すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもなかった。
4この方にはいのちがあった。このいのちは人の光であった。
5光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。
6　神から遣わされた一人の人が現れた。その名はヨハネであった。
7この人は証しのために来た。光について証しするためであり、彼によってすべての人が信じるためであった。
8彼は光ではなかった。ただ光について証しするために来たのである。
9　すべての人を照らすそのまことの光が、世に来ようとしていた。
10この方はもとから世におられ、世はこの方によって造られたのに、世はこの方を知らなかった。
11この方はご自分のところに来られたのに、ご自分の民はこの方を受け入れなかった。
12しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとなる特権をお与えになった。
13この人々は、血によってではなく、肉の望むところでも人の意志によってでもなく、ただ、神によって生まれたのである。
14　ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。
 
　主の恵みと平安が皆さんの上に豊かにありますように。
　この日も皆さんとご一緒に主の日の礼拝にあずかれますことを心から感謝いたします。クリスマス、おめでとうございます。主のご降誕を心からお祝い申し上げます。
　先日は大雪だったですけれども、皆さんのところは大丈夫だったでしょうか？
 
　ある牧師先生がご自身の昔のエピソードとして話していらっしゃった内容ですけれども、ある日、その先生の誕生日の日だったんですね。その先生の遠く離れた―私も記憶で語っていますので不正確かもしれませんけれども―ご家族のお父さんか誰かだったと思います。電話がかかってきてですね、「おいお前誕生日やろう」ゆうて電話かかってきたんですね。
　なんだろうと思ってですね、その後にお祝いのことばが続くのかなと思ったら「お前の誕生日やき、皆で集まって飲みゆうぞ」ゆうて、お祝いかと思ったら、祝われる本人不在で、飲み会をしていたというですね、まあそういうことだったそうなんですけれど―もう何が言いたいか皆さんお分かりになったかもしれませんが―本人不在で、お誕生のお祝いがなされていたということですね。
　まあよく言われることなんですけれども、日本の街のクリスマスは、祝われる本人不在のクリスマスだということですね。街は、まぁもちろん自粛はあるでしょうけれども、非常に華やかなクリスマスで、豪華なイルミネーションを灯しているわけです。教会が張りあったり比べたりする必要は、競争じゃないわけですから全くないわけですが、イルミネーションというのは、ある意味でいいですね。闇の中に輝く光だからです。ある意味で、聖書が言っている意味を、残しているという意味で、良いものだと思います。
　イルミネーションのもともとは、闇の中に輝く光、イエス・キリストご自身を象徴しています。もともとはロウソクに灯を灯して飾っていたのですが、火事の心配から、今はこうして電球になっているわけですね。
　クリスマスの飾りの由来は色々あります。クリスマスにツリーを飾るというのも、これはもともとはヨーロッパで異教から取り入れた風習ですけれども、それらに教会は、聖書の信仰から来る意味づけをしてまいりました。クリスマスツリーのトップにある一番大きな星、これは何を意味しているでしょうか？
　2つの説があります。一つ目の説は、これはベツレヘムの星ですね。赤ちゃんのイエス様が生まれて、東方の博士たちが、星を見てベツレヘムを訪ねてきた。その時に見た星を表している。それからもう一つの説がありまして、ヨハネの黙示録の第22章16節の、イエス様がご自身のことを「輝く明けの明星」と呼んでいらっしゃるところですね。
 
新約聖書　ヨハネの黙示録第22章16節
16「わたしイエスは御使いを遣わし、諸教会について、これらのことをあなたがたに証しした。わたしはダビデの根、また子孫、輝く明けの明星である。」
 
　そういう輝く星である、イエス様を表している。そういう説もあるわけですね。
　
　ですからある意味で、クリスマスの飾りの色々は、イエス様は光である、ということを強調している、と言ってもよいかと思います。
 
　ということで、光であるイエス様、というのを、このヨハネの福音書は描きます。「光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。」本当に印象深いことばですね。一度聞いたら、忘れられないことばと言ってもいいかもしれません。
　今日神のことばとして与えられましたヨハネの福音書の第1章の、みことばは、本当に、印象深いことばが多いんですね。これは、バプテスマのヨハネではなくて使徒ヨハネが書いたと伝統的に言われております。
　それで、この第1章のこの部分は、ヨハネのクリスマス、と呼ばれることがあります。ええっ、ヨハネのクリスマス？クリスマスにしては、マリアもヨセフも出て来ません。羊飼いも、羊たちも、天使も、宿屋の主人も、東方の博士たちも全然登場しません。娘も幼稚園で聖誕劇をやったわけですけれども、それとは全然違う書き方をしているんですね。ヨハネは、他のマタイ、マルコ、ルカとは別の路線で福音書を書いていると言ってよいと思います。ですから、このヨハネのとらえるイエス・キリストの誕生は、物語のように読むことはできないんですね。独特の書き方をしています。朗読をお聞きになって、印象的で心に残るな、と思いながらも、「ちょっと難しい高尚な語り方をしているな」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
　ある意味で、ある人はこういうことを言っていらっしゃいまして、マタイやルカが伝えるのは、―マルコはイエス様のお誕生を大胆に全部カットしているわけですけれども―マタイやルカが人間の側から見た視点でイエス様のお誕生を書いているのに対して、神さま側からの視点で、ヨハネはこの文章を書いているということですね。イエス・キリストが世に来られたのは、じつにこういうことだったんだ、そういうことを、語っている。まず1節をみますと、
 
1初めにことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。
 
　もう本当に印象深いですね。意味がよく分からなくても、教会に来て初めてこのことばを聞いて、一度聞いて忘れられない、という方も多いんですね。
　さて、このことばが神と共にあった。ことばが神であった、謎めいた表現のように思います。高尚な哲学のように感じられるかもしれません。
　でも、この「ことば」というのは、ただのことばではありません。日本語の言の葉、というふうに、葉っぱのように、ひらひらと飛んでいってしまうようなものとは違い、特別なことばなんだということで、新改訳ではひらがなで「ことば」と書いていますけれども、新共同訳では、葉っぱを除けて、言、というひとことだけで訳しています。人間のことばとは違う、特別なことばなんですね。
　これはギリシャ語のロゴスと言います。ことばだけではなくて、論理、理論、原理、計算、知恵、そのほかにも山ほどあるんですけれども、とってもたくさんの意味をもつのがロゴスなんです。
 
　三浦綾子さんの小説で、映画化もされたんですけれども、海嶺というのがあるんですね。海の高い峰と書いて海嶺ですね。
　この海嶺のストーリーは、海で遭難した音吉たち三人が漂流して、奇跡的に助け出されるという話なんですね。といっても、この海嶺の話の本筋は、歴史上初めて聖書が日本語に翻訳されるという話なんです。
　カール・ギュツラフという宣教師が、この三人からマカオでお日本語を学んで、最初の日本語訳を作ります。音吉たちから、漁師のことばを学ぶんです。そこで、このヨハネの福音書が初めに翻訳されたんですが、最初の1行を訳するのに大変苦心するんですね。ことば、と訳したらえいやろう、と音吉たちもおそらく思ったんですが、ギュツラフ宣教師は、そうじゃないんだ、と。もっとこう、普通の言葉じゃない方が、知恵そのものであられる方が、人間となってこの世に来てくださったんだ、ということをヨハネは言っているんだ。こういうことを言いまして、そうしますと音吉たちは、それならば、ということで、こういう翻訳に仕上がりました。
 
はじまりに　かしこいもの　ござる
かしこいもの　ごくらくと　ともに　ござる
 
　これは、まぁ神を極楽と訳すのは誤訳と思われるかもしれませんが、よくこれは、いい翻訳だと言われているんですよね。知恵そのものであるようなことばなる方が、神と共にあった。子なる神ですね。難しいことばで、
 
【三位一体の図を映すー画像2枚目ー】
 
三位一体の第二位格、などと言われますけれども、父と子と聖霊の三つの中の、子なる神ですね。肉体をとって生まれる前の神のひとり子、ということです。要するに赤ちゃんとして生まれる前のイエス様、ということです。イエス様は肉体こそなかったけれども、永遠の昔からおられたのだ、という驚くべきことを、ヨハネは語るのです。
 
　これは荒唐無稽な話ではないんですね。2節3節を見ますと、
　
2この方(つまり、ことばなる方)は、初めに神とともにおられた。
3すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもなかった。
　
　まあこのヨハネ福音書の書き方からして、ギリシャ哲学のようだな、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ギリシャ哲学には当時からよく似た思想があるんですね。だからヨハネさんは、ギリシャ人に対して、ギリシャ人に親しみ深い哲学的な言い方をして、イエス様がこの世界に来られたことを紹介しようとした、という説明が、一昔前は、なされていたんですけれども、どうもそうではないらしい。じつは、むしろ、これはヘブル的な理解だとも言えて、ことばによって、ものが創られる、というのは、まさに旧約聖書なんですね。
 
詩篇第33篇の6節を見て見ますと、
 
6主のことばによって、天は造られた。
　天の万象もすべて、御口の息吹によって。
 
　とありますし、まさに創世記の初めが伝えるところによれば(創世記第1章3節)、
 
3神は仰せられた。「光、あれ。」すると光があった。
 
神が「光よあれ、と言われると、光ができた」って言うんですよね。これ、少し考えてみますと、どうして、神が「光よ、あれ」と言われたことが聖書に書いてあるんだろうか？別に「神は光を造られた」と書くだけでいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、神がことばを発せられた、ということがとっても大事なんです。
　今日は原語の説明が少し多くなって恐縮なんですけれども、ヘブル語でことば、というのはダバール、っていうんですよね。ダバール、このダバール、というのは、ことがらを切り取る、という意味があります。ことがらを切り取って実現させる。と言ったらいいでしょうか。
　私たち人間でもですね、ことばによって、ものごとが実現したりします。電話でもメールでもラインでも、やりとりをして、何月何日の何時に、どこそこで会いましょう、と言えばですね、そこで会う、ということが実現するんですよね。
　人間の言葉でさえそれです。ましてや神のことばは、「そこにあれ」と言われると、光ができたり、陸地ができたり海ができたり、植物が生まれたり、動物が生まれたりするわけです。神のことばは、それだけの力がある。
　そのお方は(ヨハネの福音書第1章9節)、
 
9すべての人を照らすそのまことの光が、世に来ようとしていた。
 
　とある通りに、このことばである方は、光そのものでもあった、ヨハネは表現するわけです。5節でもヨハネはこう語ります。
 
5光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。
 
　ですから、暗闇の中に輝くまことの光として、誕生されたのが、主イエス・キリストである、ということを、ヨハネは語っているわけです。闇はこれに打ち勝たなかった。ある翻訳では、闇は光を消せなかった、と訳しています。
　その通りでしょう。暗闇が光を消すことは無い。逆に、光が闇を消します。真っ暗闇の部屋も電灯のスイッチを押せば、明るくなります。影になっているところでも、懐中電灯の光を当てれば、影は消えます。
　そういった風に、闇は決して光には勝てないし、消すこともできないですよね。
　
　ここでの闇とは、光であるイエス様と反対側にあるものですからサタン・悪魔と取ってもいいかもしれませんけれども、そう取らない方がいいかと思います。人の世にあったり、人の心にあったりする闇と取った方がいいと思います。
 
　私たち人間は、光を当ててほしい、と思うことがありますね。スポットライトを当ててほしいというか、もっと頑張りを認めてほしい、注目してほしい、これだけのことができた、そういう時に、もっと光をあてて、って思うんですけれども、それは、良いものができた時、良い結果が出せた時、言ってみれば自分のカッコイイ部分ですよね。でも、私たちは、むしろたいてい、光をあてられると困る、そういう部分を多く持っているのではないでしょうか。むしろそういうところがほとんどだと思われる方も多いかもしれません。自分にはこんな恥ずかしいところがある。こんな欠点がある。それは知られたくないですし、また、醜い考えがある。悪い思いがある。そういうのには光を当ててほしくないし、自分だって見たくない、そう思うのが人間の常なんですけれども、そういう言ってみれば罪という闇の中に、私たちはいる。(どうすればいいんだろうか)
 
　ある人は、こう言っているんです。「光は闇の中に輝いている」この光とは、まさにイエス・キリストの十字架の光だ！どうしようもない罪という闇の中に、輝いている光は、十字架の光なんだ。
　単に、自分たちの闇、というものを、あばいてしまって、白日のもとにさらそうとする光、であるならば、
 
11この方はご自分のところに来られたのに、ご自分の民はこの方を受け入れなかった。
 
　とあるように、これはもちろん、選民イスラエルの民が、当時イエス様を受け入れなかった、ということを言っているわけですが、私たちにも言えることだと思うんですね。闇を白日のもとにさらして、そして裁くだけの方であるならば、私たち人間は、恐れて、その光を受けいれず、その光から逃げよう逃げようとすると思います。しかし、この光というのは十字架の光なんだ。その罪を完全にゆるし、永遠の彼方に葬り去ってくださる光なんです。だから、12節で、
　
12しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとなる特権をお与えになった。
 
と語られているんです。
 
　十字架のイエス・キリストを自らの罪からの救い主として受け入れた者は、神の子どもとされる特権が与えられた。そして、そのことばに続けて、驚くべきことばが語られています。

13この人々は、血によってではなく、肉の望むところでも人の意志によってでもなく、ただ、神によって生まれたのである。
　この、人の意志によって、ということばは、男の欲によって、とも訳せます。ですから、すぐに思い浮かぶのは、男女の関係無しに生まれたイエス様のことだと思います。ところが、このことばは、イエス様のことを言っていないんです。「この【人々は】」って言っているんです。この人は、じゃないんです。つまり、その名を信じて、神の子とされる特権を得た人々、キリスト者、クリスチャンのことです。私たちのことです。イエス様のことを語っているかのような文章で私たちのことが語られている。まるでイエス様と肩を並べるかのような、恐れ多いような思いがするわけですが、血によってではなく、そう血筋によってではなく、ユダヤ人である信仰の父アブラハムとはどう考えても日本人である私たちは血がつながっていないわけですが、信仰によってアブラハムの子なのです、とあるパウロが言っている通りに、イエス様の十字架で流された血による契約よって、アブラハムの子とされて、アブラハムに与えられた祝福の約束、祝福のもとい、祝福そのものとするという、神の国の王子王女と、皆さんはされたんです。この人々、つまり私たちは神によって生まれた。私たちは肉体はもちろんお父さんお母さんから生まれたわけですけれども、洗礼によって、キリストと共に死に、キリストと共によみがえる、復活する、という、そういうふうに神によって新しく生まれたんですね、私たちは。
 
　そして、14節の、印象深いことばが語られます。ある人は、この14節がヨハネ福音書だけではなくて、新約聖書の中で一番重要なことばだ、とまで言っているんですね。
　
14　ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。
 
　この、特に「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた」ということばに集中したいのですが、「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた」このことばは、私たちの間に天幕・幕屋を張った。幕屋とはテントのことですね。幕屋・テントを張った、ということばなんです。神がテントを張って私たちの間に住んでくださった。これは、私たち日本人は、パッとイメージがわかないんですけれども、ユダヤ人にとっては、ぱっと心の中に一つの絵が浮かぶことばなんです。旧約聖書の出エジプト記第40章34節35節を見てますと、
 
旧約聖書　出エジプト記第40章34～35節
34　そのとき、雲が会見の天幕をおおい、主の栄光が幕屋に満ちた。
35モーセは会見の天幕に入ることができなかった。雲がその上にとどまり、主の栄光が幕屋に満ちていたからである。
 
　これは会見の天幕とか臨在の幕屋と呼ばれることもあるんですけれども、モーセたちの荒野の40年の旅路、それは、神の臨在と共に歩んだ旅路なんですね。昼は雲の柱、夜は火の柱をもって、神が共におられて、道を示して一緒に旅してくださった。天幕、幕屋、というのは、言ってみれば移動式の神殿です。礼拝所です。その神がおられる幕屋が、みんながまるでモンゴルの遊牧民のゲルのようなテントを持ち運んで広げてはそこで宿泊したところに、神がおられるテントがあり、そこが光輝いていた、っていうんですね。
　だからこの光り輝くテントがあるということは、闇を照らすし、夜の暗闇も怖くない。だって神さまが共にいてくださるから。そして、この40年の旅路を、まさにインマヌエル、神ともにいます、という旅路をして約束の地、カナンの地にたどりつくことができた。
 
　だからこういうふうに言うことができます。教会のイルミネーションがどんなに小さくて、言ってみればハデさは無くて、目立ちにくいものであっても、それは神の臨在を表して光り輝いている。これは、モーセの時代の、荒野の幕屋に譬えることができます。
　ここに光がある。教会に光がある。牧師に会える、ということじゃありません。そこに目には見えないけれどもイエス・キリストがおられて、神の栄光が満ちている。私たちの闇を照らして、明るい光の中に安心して立たせてくださるお方が、確かにおられる。その方の罪のゆるしと、永遠のいのちをいただいて、復活の光の中に立たされて、闇の中にうつむいていた人が、顔を上げて歩くことができるようになっていく。そして、この地上の旅を、このインマヌエルなる方と、そして一緒に天幕を張る仲間たち、つまりキリスト者の仲間のことですね、神さまと、信仰の友と一緒に、旅をする教会なんです。
 
カールバルトというスイスの神学者が1963年ですから、60年ほど前のクリスマスイブにした説教があります。
彼は晩年、刑務所でしか説教しませんでした。ですからバルト先生の説教を聞きたければ刑務所に入らなければならないという冗談まで当時流行ったらしいんですが、
「しかし君たち、勇気を出しなさい」という題の説教です。その最後の部分を、そのまま紹介したいと思います。
 
さあ、これが私たちの今年のクリスマスイブです。去年もクリスマスイブがありました。そして来年も。
もしも私たちがなおも生きているなら、再びクリスマスイブがあるでしょう。
むすびとしてもう少し言わせてください。
確実なのはこれです。
つまり、厳密に言うならば、私たち人間の人生全体が、唯一の大いなるクリスマスイブということです。そして、そのようなクリスマスイブの定めとは何かと言えば、それは、究極の永遠の最後決定的な大いなるクリスマス、まさにそのクリスマスに対して私たちが備えをするということなんです。私はむすびとして今、この永遠のクリスマス、時間の中で、私たちの人生というクリスマスイブの間中、私たちが待ち受け、仰ぎ見ることがゆるされているこの永遠のクリスマスについて語っている、聖書の最後の書、ヨハネの黙示録の第21章ですけれども、そこから数節を読みたいと思います(1～5節前半)。
 
わたしは新しい天と新しい地とを見た。最初の天と、最初の地とは過ぎ去ったからである。
また私は、聖なる都、新しいエルサレムが、神のところから、天から、その夫のために、着飾られた花嫁として、用意を整えられて、くだってくるのを見た。
また私は玉座から大きな声がこう語りたもうのを聞いた。
「見よ、神の幕屋が人間たちと共にある。
そして神は彼らと共に住むであろう。
そして彼らは神の民であるだろう。
そして神ご自身が、彼らと共なる神が、
彼らの神でいますであろう
そして神は、彼らの目から、すべての涙をぬぐい去ってくださるであろう。
そしてもはや死はなく、
もはや悲しみも叫びも痛みもないであろう。
最初のものは過ぎ去ったからだ。」
また玉座に座っておられる方がこう語りたもう。
「見よ、わたしはすべてを新たにする。」
 
これが、あの永遠のクリスマスであるでありましょう。アーメン。
 
　こういう説教のむすびですけれども、最後の、永遠のクリスマス、というのは、再臨、そして新天新地、新しい天と新しい地の完成という、救いの究極的な完成を言っています。アドベントは、イエス様の誕生と、再臨を、待ち望む時でした。
　この地上の闇と言えるような状況を、あるいは荒野と呼べるような旅路を、光なるイエス・キリストが私たちと一緒に幕屋を張って下さって、昼は雲の柱、夜は火の柱で導いてくださる。光が闇を打ち払って、一歩一歩進むことができる。同時に、私たちは遥かに天の故郷、私たちの約束の地である、新しい天と新しい地を待ち望み見ながら、インマヌエルなる方と一緒に旅を続けるのです。
その御国にたどりついた日には、主イエス・キリストが手を伸ばしてくださる。その手をもって、ひとりひとりの目の涙をぬぐい取ってくださる。その日がいつかやがてやってきます。その始まりがまさにクリスマスです。私たちは、その意味で、私たちの生涯のすべてにおいて、大いなるクリスマスイブを生きています。やがて来るその日には、太陽の光もいらないほどに、主ご自身がすべてを照らすと約束されているのです。お祈りをいたします。
 
すべての人を照らすまことの光であられる、主イエス・キリストの父なる御神
私たちには闇がありました。そのところに、「光よ、あれ」とおっしゃってくださったあなた様は、御子主イエスを、暗闇を照らすまことの光として、遣わしてくださいまして、暖かい光で照らしてくださって、私たちひとりひとりに、いのちをもたらしてくださいました。なお、この地上では、旅人であり、寄留者である私たちは、はるかに天の故郷を仰ぎ見て進みます。あなたの栄光が満ちる臨在の幕屋があり、インマヌエルである方が確かにおられて、この地上の旅路を続けさせてくださいます。やがて、天の御国に迎え入れられます時には、大いなる永遠のクリスマスが、天の祝宴が、用意されているとは、なんという想像もつかない恵みでしょうか。私たちの全生涯を、大いなるクリスマスイブとして、あなたを待ち望みながら、闇にとどまることなく光の中を、歩むことを得させてください。主イエス・キリストの御名によって祈り願います。アーメン。
 
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#光は闇の中に輝いている