📗【文書版】✴️礼拝メッセージ『この小さい者たちのひとりに』　2024年11月17日 新約聖書　マタイの福音書第10章40節～第11章1節

📗今日の礼拝メッセージのテキスト版もここに掲載いたします⬇️
📗礼拝メッセージ『この小さい者たちのひとりに』　2024年11月17日
 
新約聖書　マタイの福音書第10章40節～第11章1節
 
40　あなたがたを受け入れる人は、わたしを受け入れるのです。また、わたしを受け入れる人は、わたしを遣わされた方を受け入れるのです。
41預言者を預言者だからということで受け入れる人は、預言者の受ける報いを受けます。また、義人を義人だからということで受け入れる人は、義人の受ける報いを受けます。
42まことに、あなたがたに言います。わたしの弟子だからということで、この小さい者たちの一人に一杯の冷たい水でも飲ませる人は、決して報いを失うことがありません。」
1イエスは十二弟子に対する指示を終えると、町々で教え、宣べ伝えるために、そこを立ち去られた。
 
主の恵みと平安が皆さんの上に豊かにありますように。
この日も皆さんとご一緒に主の日の礼拝にあずかれますことを心から感謝いたします。
 
　ある教団の中でも大きい教会の牧師先生が、同じ教団内の小さな、本当に小さな教会の支援を、教会をあげてしている話をしていらっしゃったのを、―これは数年前の録音だと思いますけれども―インターネットで聞きまして、私は大変励まされました。
　その小さな教会の方は、現住陪餐会員7名ということで、しかもそのうちの2名は、何十年もその教会を支えて来られたご夫婦ということですが、近々息子さんのお住まいの県の高齢者施設に移らないといけなくなるということで、7名から5名になるそうですね。
　そういう教会ですから、大変運営的にも厳しい。しかし、これから6年間、思いつく限りの、ありとあらゆることをやってみよう、それでもダメだったら、潔くそこの教会を閉めようということなんですが、本当に色んなことをやっていらっしゃるということですね。
　
たとえば、教会を会場にして　カルチャーセンターと題しまして、有料の聖書講解講座、ワンドリンク付きだそうです。
それから、子どもの英語教室、これも有料だそうです。―案外有料とした方が、地域の方も安心して来られるのかもしれませんね。無料にすると、「タダほど高いものはない」ということで警戒されるかもしれません―
それから年に6回、若手のクリスチャンアーティストを招いて、ライブをする。これは無料。あとは毎月1回　讃美歌を歌う会。
さらにこれが面白いんですけれども、まだ実現はしていなかったそうですけれども、福音麻雀クラブ、と。ただの麻雀クラブじゃなくて福音麻雀クラブというのは、どこかでみことばに触れるタイムなんかを持つんだと思いますけれども。
こういうことをしているうちに、その小さな教会の牧師先生は手ごたえを感じていらっしゃると言います。何人もの近所の人から「この教会、まだやってたんですね」と言われる。「そうです。まだやってます」「イエス・キリストの教会です、あなたのための教会です」そんな思いで、凄く熱く楽しく伝道していらっしゃる姿が伝わってきますね。
　そしてただ熱く楽しく伝道している、それは教会の発展という自己目的のためではなくて、地域のための教会、その地域の人々が、牧師や教会員を通して、キリストに出会うため、そうやって、その地域の人々に祝福を流すために存在しているわけです。そして、その教会が無くなったら、一番困るのは神さまです、その地域の人々はその教会があることで、生けるキリストに出会う機会があるのだと、そうその牧師先生はおっしゃっていました。
　
　そういうわけでそれを聞いて大変私は励まされたわけですけれども、それは今の私たちの状況と少し通じるところがあるからです。先日のフリースペースの3日間で近所の方たちが8名ほど来てくださいました。全員がバザーの残りを買って行ってくださった方ですが、警戒心を持たれずに、かえって親しみを持っていただいているようです。
　こういうことを月一回くらい私が関西に行かない時にしたいと思っていますので、1日だけとか、半日とか数時間とか、担える方は無理のない範囲で担っていただければ助かりますし、後はその小さな教会のようにですね、色んなアイディアで、―健康体操でも何でもいいですので―又貸しにならない形で、やっていただければと思います。私が関西に行っている間でしたら、鍵もお渡しします(ここの管理会社によれば、私が県外でも、私が把握していて、連絡が取れるようにしていただければＯＫです、ということでした)。
　
　そういうわけで私たちは、まさにこのマタイ第10章12弟子の派遣のみことばの通りですね。イエス様から、町々村々に派遣されて行く弟子たちとしてここにいるわけです。イエス様は、「迫害されたら次の町に逃げなさい」と言ってくださいました。パウロたち使徒たちもそうでしたが、迫害されて次の町へと行く先の町々で福音を伝えて、伝えた先で福音が広がって行きました。そのように、私たちも、―私たちは迫害されたわけじゃないですけれども―潮新町、塩屋崎町と次の町次の町と導かれて行って、そこで福音をこうして語っているわけです。インターネットでも拡散されて、毎週の礼拝動画はユーチューブだけでも必ず30回から50回、フェイスブックも含めたら毎週100回～200回(もちろんその数の全員が全部視聴したわけではありません。数秒再生されたというのも含んでいます)に(ある週には、導入にカルト宗教の問題を取り上げて、それに関わる画像に変えると、物凄くクリックされて、その回は5000回近く視聴されることと)なりました。そんなふうに全国にも高知ほっとチャーチから発信されたイエス・キリストの福音の声がたくさん広がって聞かれているわけですが、地域のことも忘れてはなりません。牧師と信徒の違いなく、ここに遣わされている私たちは全員、今日のみことばによれば、預言者であり、そして義人なんです。
　もちろんイエス様からの派遣というのは、日曜日の礼拝で祝祷(しゅくとう)によって世に遣わされて、日曜の午後から平日にご自身の家庭や職場に遣わされているというのがありますが、この教会が置かれている地域に私たちが遣わされている、というのも、同時にあるわけです。平日に家庭や職場においてにせよ、ここの地域においてにせよ、私たちは預言者であり、義人としてイエス様から遣わされている、そう言われると、「私なんかがめっそうもない」と言ってしまいそうになるかもしれませんけれども、驚くべきことに、神様の目から見れば、キリストの代理人であり、小さなキリストであり、神の国の到来を告げ知らせる、神の国の大使なんです。
この大使というのは、この当時のユダヤの文化では、遣わした方と全く同じ者という扱いになるんです。ですから、キリストが遣わした者であるならば、人々が遣わされた者にした扱いは、そのまま遣わした方への扱いになる。
　だからそのキリストの大使である私たちに、冷たい水一杯でも飲ませてくれる者は、キリストに対して水一杯与えたことになるのだから、決してその者は神様からの報いを失うことはないという、驚くべきみことばを、今日主は聞かせて下さるのです。
　水一杯っていうのはどういうことでしょうか。ほんの小さな親切、ということができます。あるいは、当時の中東では冷たい水というのは貴重だったという話もありますけれども、どちらにせよそんなに意味は大きく違わないと思います。隣の美容室さんが、バザー用の品物をくださった、向かいの花屋さんが、オープンのお祝いに、観葉植物をくださった。こういうのも小さな親切でしょう。キリスト者(クリスチャン)ではない方でここの備品をくださった方もあります。
　皆さんも家庭や職場において、親切にしてくださる、キリスト者でない方がいらっしゃると思います。キリスト者であるということで偏見を持ったり反対してくるのでもなく、ある人なら夫が礼拝まで送迎をしてくれるとか、こちらがキリスト者であることを知って、日曜日には仕事を代わってくれる同僚がいらっしゃるとか、上司が配慮して日曜日には仕事を休ませてくれるとか、他には、ご本人はキリスト者ではないけれども、教会のチャリティーイベントや子供食堂その他のボランティアには協力しますよ、と申し出て下さる方、色々あると思います。
　そういう親切をしてくださる方、それは私たちにとってありがたいだけではなく、その親切をしてくださった人にとっても祝福なんだ。キリスト者を受け入れる人はキリストを受け入れることだ。そのキリストの大使であるキリスト者に親切にする人は、決して、断じて、神さまからの報いを失うことは無い。しかも、この何度も出て来る「報い」ということば、これをある人は「永遠のいのち」と訳しました。それは一つの解釈でしょうから確定はできないでしょうけれども、それほどまでに神さまの恵みは広いと考えることもできるでしょう。
　そもそも私たちが任された、神の国の到来の知らせを宣言して回るということは、ここにこの世のどんな団体とも違う、神さまのご支配が来ましたよ、というキリストという王様の布告なんです。
　イエス様は12弟子を遣わす時に、「汚れた霊どもを制する権威をお授けになった。霊どもを追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいを癒すためであった」と、そう第10章1節のみことばにあります。
　このことや、イエス様が神の国の、天の御国の祝宴の、神との交わりが回復された姿を見せるためになさったことは、人々の病気を癒されたり、社会の底辺、周縁に置かれた人々をまず招かれたり、取税人や罪びとたちと一緒に楽しく食事をなさったり、当時弱者とされていた人々、差別されたり抑圧されていた人々に、解放をお告げになりました。
　イエス様の最初の、メシアとしての就任演説とも呼べるシナゴーグでの説教がルカの福音書の第4章に記されていますが、その時の主イエスの説教は、聖書の解説ではなくて、神の国の到来の宣言をなさったんです。「しいたげられている人びとを自由にし、主の恵みの年を告げ知らせるために」このイザヤ書の預言が、今、聞いているあなたがたの耳の中で実現しました、と宣言なさったんです。これはヨベルの年といって、徳政令のようなものです。旧約の解放の年であるヨベルの年、それに勝る本当の解放の年、これがメシアが来たことによって今始まった！そういう知らせなんですね。
 
　ですから私は反省していることがあります。私の5年以上前の説教では、十字架と復活、罪のゆるしと永遠のいのち、つまり魂の救済ですね。それが一番大事であることは変わりないんですけれども、もれなくそれにセットでついてくるものを、あまり語らないでいてしまった、ということなんです。
　ですからずっと私の説教を聞いてくださっている方は変化していることにお気づきの方も多いと思いますけれども、その反省を踏まえて、キリスト者の社会的な責任であったり、社会正義と呼ばれるものもきちんと語るように心がけるようになった、というよりは、だんだんとこれらは切り離せないものであるということに気付いて来たということですね。イエス様は魂の救いも、社会的な救済もセットでもたらされた、と言えるからなんですね。
（しかし「だから福音は豊かさも健康ももたらすんだ」という方向に行きますと、これは「繁栄の神学」とか、ワードオブフェイスという方向に行きますので避けるべきなんです。富や健康や自分の願いが神になって行くんですね。）
　もし、キリスト者の社会的な責任であったり、社会正義だけを語る、こういう教会ですと、「社会的福音」と言って批判をされることがあります。それは、確かにそれ自体は立派であり、素晴らしいことなんですけれども、十字架も復活も、罪のゆるしも永遠のいのちも語られない、ということになれば、教会が教会である必要がなくなってしまうんですね。それならばいっそのことNPOとかNGOとか、ボランティア団体になってしまった方がいいという話になってくるんです。教会がその地に置かれている理由は、そこでしかできない体験、まさに聖なるお方と、礼拝において出会うという体験を、多くの場合説教の中などでするわけですね。目に見えないイエス様が会堂を歩かれて、そっと出席した人の肩に手を触れたりしてくださるような体験、聖なる畏れを感じさせるような体験、これは教会でしかない体験なんです。そのためにこそ教会は地域にあり続けるとも言える。
　
　そしてもう一方の誤りは、両極端なんですけれども、先ほど申し上げたようなことだけに価値を置く、ということです。魂の救い、イエス様との霊的な出会い、それだけに価値があって、教会はそれだけを提供することに徹するべきだ。これは私がどちらかというと傾きそうになっていた方向性です。
　福音派によくありがちな方向性なんですけれども、―アメリカの福音派はトランプ大統領に毒されて変なことになっていますけれども、まともな福音派であっても―やはり、福音を、魂の救済に限定して考えて、福音がより包括的なものであることを忘れがちな傾向があるんですね。
　たとえば最近注目されている神学に、「被造物ケア」というものがあります。前にも説教で触れましたが、これは、エコロジーと通じるんです。イエス・キリストがもたらしてくださった救いというのは、人間のからだと魂、というのに限定すると視野が狭くなってしまうんです。
　たとえば「贖い(あがない)」と言いますと、イエス様に私の身も魂もあがなわれた、と人間に限定して言ってしまいがちなんですけれども、ローマ人への手紙第8章を見れば、「被造物があがなわれることを待ってうめいている」と言っていますね。それから、旧約のイザヤ書第11章には、
 
旧約聖書　イザヤ書第11章6～9節
６　狼は子羊とともに宿り、
豹は子やぎとともに伏し、
子牛、若獅子、肥えた家畜がともにいて、
小さな子どもがこれを追って行く。
７　雌牛と熊は草をはみ、
その子たちはともに伏し、
獅子も牛のように藁を食う。
８　乳飲み子はコブラの穴の上で戯れ、
乳離れした子は、まむしの巣に手を伸ばす。
 
　これは何を意味しているかというと、新天新地の幻をイザヤは語っているんですね。終末に新しい天と新しい地が実現した時に、そこには動物たちも共にいて、弱肉強食ではない、完全な調和がある、ということです。これがローマ人への手紙が語っている「被造物があがなわれて」いる状態の一部です。
　そして、イエス様が荒野の誘惑の時に、マルコの福音書の第1章では、イエス様が「野の獣たちと共にいた」とありますね。これは何を意味しているかというと、このイザヤが預言した新天新地の幻が、一部、その荒野において、実現していた、ということを意味しているんです。つまり、マルコ第1章15節で、時が満ち、神の国は近づいた、―これは近くに来た、というだけではなくて、もう実現し始めている、位のことですが―もう神の国が実現しているという、そのことによって、新天新地の一部が地上に侵入しているということなんですよね。
　そして、創世記第9章の、ノアと虹の契約ですね。神さまは、洪水の後に契約を結ばれました。これは、多くの場合、神さまと、ノアとの間に結ばれた契約、もしくは神さまとノアとその家族と子孫、つまり神さまと全ての人間との契約だと思わされているんです。ところが、聖書にはそんなこと書いていないんです。はっきりと、神と、ノアとその子孫、そして【すべての生き物たちとの】契約と、はっきりと、何回も書いてあるんです。どうして、これまで多くの場合読み飛ばされてきたのですけれども、そうして、神さまは人間だけではなくて、すべての被造物、つまり動物、植物を、そしてこの地球を愛しておられて、アダムとエバ以来堕落した後も、人間を含む被造物、被造世界まるごと贖われることを、あらかじめご計画しておられる、ということなんです。
　だからこそ私たちは、エコロジーもするわけですね。いや、どうせ再臨が来て新天新地ですべての環境は回復するんだから、どんどん石油を掘って、どんどんCo2を出していいじゃないか、ということにはならないんですね。神さまが愛しておられて、やがて贖おうとしている人間を愛し大切にすることが神さまのみこころならば、神さまが愛しておられて、やがて贖おうとしておられる被造世界、地球や自然界を大切にする、というのは神さまのみこころだからですね。
　差別を無くし、すべての人の人権を大事にすることも大切ですね。なぜなら、人権というものも、聖書の考え方のバックボーンが無いと生まれていないものだからです。また、人権を守ることは、モーセの十戒を守ることにも通じると思います。
　こういうふうに、十字架による神との和解から来る、罪の赦しと永遠のいのちという、魂の救いという福音の中心から、人間の尊厳というものが生まれ、そしてそこから来るシャローム・神の平和というものは、そういった抑圧された者、社会の周縁に追いやられた者の解放、そして被造物のケア、そういったものも含んだ、包括的なものとして、地域に、そして私たちが遣わされる職場や家庭にもたらすのです。
　ですからこういった福音の広さ、というものに気付いていないと、教会のする慈善のわざ、つまりボランティアとか災害救助とか、あるいは医療とか教育とか地域貢献とかそういうものも含むと思いますが、そういったものが、何かゆがんでとらえられることがあると思うんですね。どういうふうにゆがんでとらえられるかというと、そういった慈善の行ないが、人間をとる漁師が、人を釣るためのエサのようにとらえられることがあるんです。
　
　災害支援のことで私は「ちょっとそれは…。」と思ったことがあるんですね。13年前、ちょうど2011年ですね。神戸ルーテル神学校で、東日本大震災ボランティアのツアーに、神学生と先生がたで行ってまいりました。
　その時に、同級生だった友人に聞かせてもらった話ですけれども、こういう災害支援に来たクリスチャン団体の中に、ちょっとどうか…という伝道をするグループがあって、被災者の方が支援物資を受け取って、クリスチャン団体からもらった電子ジャーを開けてみたら、中に無言で聖書が入っていた、そして受け取ったキリスト者でない方は非常に困惑した、という話ですね。
　こういう場合、愛ではなくて、取引になってしまうんですね。災害支援する代わりに、読みなさい、という無言の圧をかけているわけですよね。
　ある人は、愛についてこう言っています。「ひも付きで愛するな」ひもをつけて愛するな、ということですね。愛というものはその本質において、えさであるはずがないんです。(こういうものについて、ちゃんともう名前がつけられているそうなんですね。マニュピレーション、っていうんです。操作ですよね。親切によって相手を操作する、というわけです)
 
　で、慈善活動や親切をえさにするということは、福音・神の国の到来というものを、包括的なものと考えておらず、愛というものを、みことばを聞かせる戦略のための道具にして、愛でないものにしまっているんですね。
　しかし聖書が言っているように神の国の到来の知らせ、福音を包括的にとらえるならば、災害救助、これ自体も福音宣教です。エコロジーの活動、これ自体も福音宣教です。マイノリティや社会の周縁に置かれた人々と連帯したり声を上げること、これ自体も福音宣教です。伝えたい教えに引き込むための戦略としてではなくて、慈善の行ない自体が、福音宣教であり、神さまからの委託だから、やっています。こういうことなんですよね。根本がそういう考えだと、下心や、操作が無いですよね。
 
ところでもう一つ、話しておかなければならないことがあります。どうして主イエスは、弟子たちを、そしてキリスト者たちを、「小さい者たち」とお呼びになったのか、ということです。
キリスト者には、社会的に影響力があり、偉大な人物とされている人もいるでしょう。しかし、キリスト者はもれなく「小さい者たち」だと主イエスは言われます。
なぜ弟子たちは小さな者なのでしょうか？それは、主イエスの弟子だからです。主イエスの弟子は、主イエスに似た者になるのです。【主イエスご自身、小さな者となられました。】狼の中の羊となられました。このお方は、この世の権力や財力に1ミリも依存なさらなかったのです。それでも尊いお方だった。
世界はこの尊いお方を【世界で一番小さな者として十字架につけたのです】主イエスは、【誰からも冷たい水一杯与えられることなく】十字架につけられたのです。
この第10章のことばをあの時、直接聞いていた弟子たちにさえ誰もこのお方に冷たい水一杯差し出すことはありませんでした。
本当はそのことによって【世界全体が】神から捨てられても仕方がなかったかもしれません。
けれども神は、この十字架によって世界を救ってくださいました。そしてその事実を告げるために、私たちひとりひとりをお召しになって、遣わしてくださったのです。
神である主イエス・キリストが、なぜ十字架にかからなければ、なぜここまで小さな者にならなければならなかったのか？
それは、そういう救い主によってしか救うことのできない世界だったからであると思います。
私たちはそういう世界の中に生きている、狼の中の羊です。自分が他の人にどのように思われているか、ということが絶えず気になり、少しでも自分を大きく見せたいと言うのが、振り切ることのできない誘惑なのかもしれません。狼の皮をかぶりたい、と思うこともあるかもしれません。
しかし主イエスに愛され　主イエスに救われている自分であることを受け入れた時、虚栄を捨てて、38節にあるように「自分の十字架を負って主イエスに従う」という歩みをするようになる。
主イエスに従うといのは、主イエスと同じく小さな者になること、もし狼の皮をかぶっているならその皮を脱ぎ捨て、神に愛された、そのままの羊として生きるのです。
そして神の国の到来を宣べ伝える。直接的な魂の救いを宣べ伝えることによっても、また慈善の行ないをもって福音を宣言する。そうし続けている時に、もし誰かが、この私たちのために、水一杯でも恵んでくれることが起こるならば、それは小さな一歩でしかないかもしれない。
しかし、傷ついた狼の世界が神の愛によって癒されて行くのは、この小さな一歩からなのだと思います。
 
主イエスは私たちを、ご自身の羊として遣わしてくださいます。そしておっしゃるのです。
 
わたしの弟子だからということで、この小さい者たちの一人に一杯の冷たい水でも飲ませる人は、決して報いを失うことがありません。」
 
お祈りをいたします。
恵みとあわれみに富みたもう、私たちの主イエス・キリストの父なる御神
あなた様は御子主イエス・キリストをこの世界にお遣わし下さり、そして私たちを小さなキリストとして、世界に、地域に、それぞれの持ち場に、遣わしてくださいました。選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民として。それはしかし、偉大な者と言うよりは、小さな者として遣わされることでした。それは主イエスご自身が、小さな者となられたからです。一切のこの世の大きさ、というものを身にまとわず、十字架に向かわれました。冷たい水一杯受けることなく、十字架で死なれました。そこで私たちは知ったのです。この世界は、神であるお方が、そこまでしなければあがなわれないものであったことを。しかし同時に私たちは知りました。この十字架が、多くの人を救うだけではなくて、この被造世界まるごと、救うのだということを。私たちは、御子イエス・キリストの死と復活を宣べ伝えることによっても、また慈善の行ないによっても、神の国の到来の知らせを・福音を、地域に、世界に、宣言して行きます。その私たちを受け入れ、小さな親切でもしてくれる者は、決して報いから漏れることはないという、主の約束を信じて、あなたのわざに励んで行けますように祝福してください。主イエス・キリストの御名によって祈り願います。アーメン。