📗【文書版】✴️礼拝メッセージ「祭司の王国・宝の民」新約聖書　マタイの福音書第9章35節〜第10章8節

📗昨日2023年6月18(日)の礼拝メッセージのテキスト版もここに掲載いたします⬇️

✴️礼拝メッセージ「祭司の王国・宝の民」

新約聖書　マタイの福音書第9章35～38節
35　それからイエスは、すべての町や村を巡って、会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいを癒やされた。
36また、群衆を見て深くあわれまれた。彼らが羊飼いのいない羊の群れのように、弱り果てて倒れていたからである。
37そこでイエスは弟子たちに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。
38だから、収穫の主に、ご自分の収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。」

新約聖書　マタイの福音書第10章1～8節
1イエスは十二弟子を呼んで、汚れた霊どもを制する権威をお授けになった。霊どもを追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいを癒やすためであった。
2十二使徒の名は次のとおりである。まず、ペテロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレ、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、
3ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、
4熱心党のシモンと、イエスを裏切ったイスカリオテのユダである。
5　イエスはこの十二人を遣わす際、彼らにこう命じられた。「異邦人の道に行ってはいけません。また、サマリア人の町に入ってはいけません。
6むしろ、イスラエルの家の失われた羊たちのところに行きなさい。
7行って、『天の御国が近づいた』と宣べ伝えなさい。
8病人を癒やし、死人を生き返らせ、ツァラアトに冒された者をきよめ、悪霊どもを追い出しなさい。あなたがたはただで受けたのですから、ただで与えなさい。

　主の恵みと平安が皆さんの上に豊かにありますように。
　この日も皆さんとご一緒に主の日の礼拝にあずかれますことを心から感謝いたします。

　突然ですけれども、皆さんは「ぞうをもむ」という土佐弁をご存じでしょうか？（ライブ中継で礼拝に参加してくださっている方はご存じでしょうか？）まぁ高知県民でなければ分からないかもしれません。ひどく心配する、という意味ですね。
　先日ある高知の方に、単に大変だったとか、苦労したとか、そういう時にも、「おおの、ぞうをもんだちや」とか、そういうふうに使うよ、ということだったので、けっこう軽い意味でも使われるんだな、と思いました。
　その「ぞうをもむ」の言葉の由来は、内臓だそうですね。内臓を、こう、こうやって揉まれるくらいに、心配した。私はよく分かるような気がするんですけど、もう心配で心配でたまらなかった時にですね、頭の中がわちゃわちゃする、ぐちゃぐちゃになる、という感じもあるんですけれど、(腹をさすって)もっとこっちですね。ここに来ますね。この感覚分かって頂けるでしょうか。ここが揺り動かされるような感じでですね、そして心配事が去ったら、この辺も落ち着くっていうことですね。
　で、なぜ、この話を最初にするかと言いますと、聖書にも、よく似た表現があるからですね。それが今日のみことばの、イエス様が、群衆を見て、深くあわれまれた、ということばなんですね。
　
　これがもう、(腹をさすって)ここに来た、っていう感じのことばなんです。前にも説明をさせていただいたかもしれません。ギリシャ語は特に覚えなくてもいいんですけれども、スプラングニゾマイ、スプラングニゾマイ、と言って、はらわた痛む、ということばなんです。
　まぁ土佐弁の「ぞうをもんだ」というのはちょっとニュアンスが異なるかもしれません。イエス様はぞうをもんだがぞね、と言ったら、心配のニュアンスが強くですぎて、ちょっと違うかもしれないんですね。どっちかっていうとイエス様の「愛」を表すことばなんです。だから、前の新改訳第二版の翻訳では、「かわいそうに思って」となっていたんですね。
　他にもルカの第15章で、あの放蕩息子のたとえ話で、お父さんが帰ってきた息子を見つけるなり「かわいそうに思って」これも同じ「はらわた痛んで」。それから良きサマリア人(じん)のたとえと呼ばれることの多い、ルカ第10章のこのサマリア人はイエス様ご自身をあらわすわけですが、強盗に襲われてボコボコにされて半殺しにされて倒れている旅人を見つけてですね、「かわいそうに思って」これも「はらわた痛んで」ということば、イエス様か、父なる神さまが主語の時にしか、聖書の中で使われない強い強い、そしてなまなましいことばなんです。抽象的な概念じゃなくて(腹をさすって)ぞうをもんだ、みたいに身体性がありますよね。
　それというのも、古代のイスラエル人は、内臓に感情の座があるって考えたんです。感情は(頭をさわって)ココじゃない。でも土佐弁にもちょっとそれが残っていることからも分かる通り、日本人もおんなじように考えているところがあるんですよ。
　はらわたが煮えくり返るとか、腹にすえかねるとか、はらわたにしみいるとかもありますけれど、他にももうちょっと上の方で(胸をさすって)胸が痛む。そうですよね。何か災害が起こる。ウクライナのことなどを考えてもいいかもしれません。入戦地や被災地の人々のことを考えると胸が痛みます。それは、頭で、死者何人というふうに統計の数字やグラフを見ているのではありません。なまみの人間のことを思って共感しているわけですね。英語ではコンパッション、共に苦しむ。それがイエス様の愛なわけです。
　しかもそれは単なる同情ではありません。「あわれむ」とか「かわいそうに思う」という日本語は、どこか上から目線ですね。あわれみをかけてやるとか、かわいそうだからちょっとは恵んでやろうとか、そういった響きがありますから、ちょっとよくないかもしれない。イエス様は民衆と同じ目線なんですね。同じ目線で、共感しておられて、多分日本語で一番近いのは「断腸の思い」ですね。イエス様は、群衆を見て断腸の思いに駆られたわけです。

　ところで、どうしてそこまで、はらわたがちぎれるほどの深い共感、同情にかられたんでしょうか。それは、

彼らが羊飼いのいない羊の群れのように、弱り果てて倒れていたからである。

　と福音書を書いたマタイは語ります。この「弱り果てて」ということばも、なまなましくてですね、皮をずたずたに剥がれて、ということばなんですね。もちろん、それは比喩表現ですね。それっぐらい民衆がボロボロになっていた、っていうことなんですよ。

　ボロボロと言ったら、今の日本の民衆も通じるところがあるかもしれませんが、この前半の、羊飼いのいない羊の群れのように、という表現が、物語っていることがあるんですね。
　この羊飼いと羊という表現を聞いても、日本人である私たちにはあんまりピンと来ません。羊と羊飼いに接することがほとんどないからですね。でも、ユダヤ人たちにとっては凄く身近ですし、何より一つのたとえとして、この表現を聞いたんですね。
　それは、羊は、民衆、民を指します。（ここではイスラエル、ユダヤの民ですね。）そして羊飼いとは、指導者あるいは支配者を指します。旧約聖書に羊と羊飼いで、民と指導者を表す表現が色んな書に出て来ますが、その中でもエゼキエル書第34章が、ここのマタイの表現の下敷きになっていると言われています。1節から5節をお読みします。

旧約聖書　エゼキエル書第34章1～4節

1次のような主のことばが私にあった。―預言者エゼキエルに、ですね―
2「人の子よ、イスラエルの牧者たち―これが羊飼いです。民の指導者たちです―に向かって預言せよ。預言して、牧者である彼らに言え。『神である主はこう言われる。わざわいだ。自分を養っているイスラエルの牧者たち。牧者が養わなければならないのは羊ではないか。
3あなたがたは脂肪を食べ、羊の毛を身にまとい、肥えた羊を屠るが、羊は養わない。
4弱った羊を強めず、病気のものを癒やさず、傷ついたものを介抱せず、追いやられたものを連れ戻さず、失われたものを捜さず、かえって力ずくで、しかも過酷な仕方で彼らを支配した。

　という神さまの激しい怒りのことばです。これは牧者というのは、もちろん政治的リーダーというのも含みます。当時の政治的指導者たちが、羊飼いのように、羊である民を養わなければならないのに、かえって、国民を食い物にしている、さらにはほったらかしにしている。そういうことも言っていますし、また、おそらくそれよりもニュアンスとしてはもう一つあるのは、宗教者的指導者たちのことですね。宗教的指導者たちが、民衆を霊的に、みことばによって養わない。民が傷ついていても、ちっとも共感しないし、あわれもうとせず、その魂の痛みをほったらかしにしているばかりではあきたらず、かえって力づくで支配している。そういう様子を、神さまは預言者エゼキエルに語らせなさいました。
　そういうことが、このマタイが描いたシーンで、二重写しにされているんですね。民衆が、もう皮をずたずたに剥がれるように、打ち倒されている姿、それを見て、断腸の思いになられた。神の民イスラエルが、どうしてこのようになったのだ。
　それは、一つはイエス様の、パリサイ人、律法学者たちへの怒りもあってのことばなのでしょう。彼らは民衆を圧迫していました。イエス様が「先祖たちの言い伝え」と呼んだ、文章化されていない律法ですね。これを口伝律法(くでんりっぽう)と言いますが、そういったもので民をがんじがらめにしていた、というだけではありません。
　そのことを説明いたしますけれども、ここでイエス様が弟子たちに言われた、

「収穫は多いが、働き手が少ない」

　この有名なみことばについてですね、まぁこのことばを聞くとすぐにですね、こんにちの教会の伝道の成果とか、教勢の拡大であるとか、受洗者数や礼拝出席者数の話とか、どこそこの教団では教会数が年間どれくらい増えたとか、逆にいくつの教会が閉所になったとか、無牧の教会が今いくつある、兼牧していらっしゃる先生が何人いらっしゃるとか、働き手が足りない、であるとか、もうそういった話になったりとか、もしくはイエス様は日本という畑を見て悲しんでおられますよとか、または、「イエス様はこの日本でも『収穫は多い』と言っておられます。99％がまだイエス様を信じていないのを見てなんとも思わないんですか？日本でもクリスチャン人口2％を超えればあっという間に4％8％10何％となりますよ、教会数が何万になれば後は増加のスピードは倍々ゲームです。私たちは大収穫を見ることになるでしょう。さあ日本の伝道のために、共に立ち上がろうではありませんか！」と言って、時には「あなたも働き手になってください」と言って、将来牧師、伝道者になる人を募ったりする、そういった方向の話になることがありますし、私はこれまでそのようなタイプのメッセージを何度も聞いて来たんですけれど、―もちろんそういう視点や戦略も必要だとは思いますし、その数字を聞いて励まされて、やるぞ！という思いになる方もいらっしゃると思いますけれど―今となっては、私は個人的には、聞くと元気が無くなっちゃう部分があるんですね。それは、何か数字の話ばかり聞かされるとですね、私は、ああ数字のビジョンですか。数字さえ上げればいいんですか、って―私がひねくれているだけかもしれませんが―思っちゃうんですね。そして、私はもう二十年伝道してきて、十数人しか洗礼に導けていない、だめな働き手なのかなぁという気になってくるし、そういったテイストのメッセージを聞きますと、何か成績の悪い営業マンである田村くんが、叱られているかハッパをかけられているだけのような気がして(まぁこれは私の取り方が悪いっていうのもあるかもしれませんね)、どんどん心が萎えてくるんですね(私は以前そのメンタリティでシャカリキに伝道していたらバーンアウト手前まで行ったのです)。
　
　ここで大事なことなんですけれど、イエス様が見ておられるビジョンって「数字」なんでしょうか？聖書をよく読めば、そうじゃないんことが分かるんですよ。ここでこのイエス様が「収穫」と言われた時に、全く違う、響きを立て、そして弟子たちは、目をまんまるくして驚いたはずなんです。
　先ほどパリサイ人が、民衆を圧迫していたのは、口伝律法でがんじがらめにしていただけじゃない。と申しました。先週、取税人マタイとパリサイ人のことをお話しました。パリサイ人たちは、イエス様の弟子に、非難めいた質問をしました。「あんたらぁの先生のイエスさんは、取税人や罪びとらぁと一緒に食事をするがかね？」と。「そんな連中の仲間ながかね？」と。
　ここでいう罪びとたちというのは、いわゆる前科のある者ではありません。ここでは下層民という意味で、貧しい人々、生活も律法を軽視した人々、生活態度が不道徳、不品行な者を指したし、アムハーレツ、地の民、といって、一説には(民の指導者じゃなくて本当の羊を飼う)羊飼いも入っていたそうで、職業的に生き物相手ですから安息日律法とかシナゴーグでの礼拝とか守れないわけですよね。そういった、構造的に律法を守れない、あるいは守るのが困難な人たちも罪びとと呼んで、パリサイ人たちは見下していた。
　その人たちが、ここでイエス様がご覧になって、はらわた痛めた群衆なんです。で、そういう人びとを、パリサイ人はなんとこの当時、【風が吹き飛ばすもみがら】と考えて来たんです(詩編1:4)。取税人なんていうのは罪びとアムハーレツの最たるもの、メシアが来たら真っ先に滅ぼされるのは取税人、その他の罪びとたちも「風が吹き飛ばすもみがら」だと考えていて、神の「収穫」だなんて、考えたこともなかったんです。収穫って、神さまの宝物として、神の蔵に納められる、っていうことなんです。それを聞いて弟子たちの驚きようってなかったですよ。マタイなんて感動してですね、私みたいな者でも救われるんだったら、この群衆のみんなが救われてほしい、って思ったんですよ。

　それで第10章1節になると、ここで文脈は切れてませんけれど、12弟子が立つんですよ。イエス様に立たせていただく、と言った方が正確ですけれど、イエス様お一人では、働きに物理的に限界がある。ですから12人の弟子たちが、イエス様の権威、権能を与えられて、そのパリサイ人律法学者たちがケアして来なかった民衆がいる町々村々に、ここに12使徒とありますけれども、使徒たちが遣わされて行く。ある意味で小さなキリストになってですね、イエス様と同じ働きをしていく、ということですね。
　
　ここで、イエス様は、使徒として【12人】を選ばれたところに、深い意味があるんです。それは、イスラエル12部族になぞらえて、新しいイスラエルを見ている。新しいイスラエルである教会を、すでにここで見ておられる、と言ってもいいと思います。そして、その新しいイスラエルとは、祭司の王国なんです。出エジプト記第19章6節にこうあります。

旧約聖書　出エジプト記第19章6節
6あなたがたは、わたしにとって祭司の王国、聖なる国民となる。』これが、イスラエルの子らにあなたが語るべきことばである。」

　神さまがモーセにおっしゃいました。イスラエルは祭司の王国となるんだ。それが、モーセの時代から千数百年経って、イエス様の到来によって真に実現したわけですね。
　そのことをはっきりと、使徒ペテロが語っています。ペテロの手紙第一第2章9節。

新約聖書　ペテロの手紙 第一第2章9節
9しかし、あなたがたは選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神のものとされた民です。それは、あなたがたを闇の中から、ご自分の驚くべき光の中に召してくださった方の栄誉を、あなたがたが告げ知らせるためです。

　と。よく万人祭司の根拠と呼ばれるところですが、正確には全信徒祭司ですね。私、出エジプト記第19章のこの「祭司の王国」っていうは、国民全員が祭司である国っていうことなんですよ。それは、どういう国かというと国境がある国じゃないんです。神の国、ここでは全世界の教会と言い換えてもいい。この神の国の住民である私や皆さんは、皆、祭司なんだ、イエス様の権威、権能を受けた、遣わされた者なんだ。ということですね。そして、苦しんでいる民のところに行って、イエス様ほどにはできないかもしれないけれど、相手のことを伝道対象とか数字とか見ずに、ひとりの人間として見て、相手のために胸を痛めて、表面的にではなくて心から共感していく、ということです。

　私たちは、傷ついた人の心が、気持ちが、なるだけ分かる人になった方がいいです。共感力は成長していくものでもあります。でも私たちが出会う、痛み苦しんでいる人々の心、それは完全には理解することのできるものではありません。似たような体験を人生の中でしていたとしたら、―たとえば同じ病気にかかったことがある、であるとか、そういう体験があると―かなり深いレベルまで共感ができるでしょう。しかし、互いが似たような体験をしていても、やはり、その人特有の体験なんです。完全に分かって差し上げることはできませんので、ある意味そこはじれったい思いがするかもしれません。でも、それでいいんです。人間には限界があります。だからこそ、完全にすべてを分かってくださる、イエス様があなたのそばにいらっしゃると、告げるのです。

　先ほど、イエス様が群衆をご覧になって、はらわた痛められた、と申し上げました。日本語でも、腹に沁み渡るなど、内臓で感情を表しますが、しかし、ユダヤ人の表現には、日本人とやはり似ていても違うところがあるんです。それは、ある人の説明によれば、このことばには神殿でいけにえとして捧げられた動物の「内臓を食べる」という意味から来ていて、その受動態なので、「内臓を食べられているような感情を持つ」といった意味になるそうです。つまり、イエス様は「内臓をえぐられるような痛みに襲われた。」ということです。それほどに、イエス様は、他者の痛みや苦しみを自らの痛みとして感じておられたということです。
　その他者の痛みをご自分のものとされるイエス様の、その究極の姿は何でしょうか？あの十字架です。あのゴルゴタの十字架の上で、私たちの、皆さんの痛みを苦しみを、いやもっと深みまで、魂までえぐられる痛みをもって、魂を刺し貫かれてくださった。それは私たちの罪のためです。その罪の罰を受ける身代わりになってくださった。そして、その身代わりの死によって、私たちの、私の、あなたの、罪は、完全に赦されました。この完全に共感して下さり、完全に罪の重荷から解き放って下さるイエス様があなたのところに来られた！と人々に宣言していくのです。

　晴佐久昌英というカトリックの司祭の方が、信徒使徒職、というのを語っていらっしゃるそうですね。これは第二バチカン公会議で言われたことだそうですが、このマタイ第9章10章は、献身した伝道者だけのことを言っているんじゃないんです。晴佐久神父は「福音宣言」ということを強調なさいますが、福音を説明するんじゃなくて、宣言して回るっていうことですね。それは信徒でもできるんだと。
罪悪感に悩み苦しんでいる人がいる。その人に「あなたの罪は赦された。イエス様の十字架によって。」って宣言して回る。そんな権威・権能が与えられて、遣わされているんだ、と。ええっ！？そんなこと言って良いのですか？まだイエス様信じていない人に、言っていいんですか？信じないと罪ゆるされないんじゃないんですか？と思われる方もあるかもしれませんし、また私がよく説教の中で「あなたの罪はゆるされました！」とはっきり宣言するので、動画を見て礼拝に参加しておられる方にはまだ信じていない方もいるのに、その人にまで罪のゆるしを宣言してもいいもんなんですか？と思われる方もいらっしゃるかもしれません。けれども、旧約聖書イザヤ書の第44章22節にはこうあります。

旧約聖書　イザヤ書第44章22節

わたしは、あなたの背きを雲のように、
あなたの罪をかすみのように消し去った。
わたしに帰れ。わたしがあなたを贖ったからだ。」

　「すでにあがなったからだ」神のことばです。あなたをあがなったんだ。あなたを十字架の血の代価で買い取ったんだ。あなたの罪をすでに霞のように消し去ったんだ。だからシューブ、帰っておいで。あなたの魂のふるさとである、わたしのもとに帰っておいで。あの放蕩息子を迎える父親のように、あなたに罪のゆるしを宣言してを招いておられるんです。
　そう礼拝の中で今宣言いたします。そして、クリスチャンは教職でなくても、この宣言を、罪に悩み苦しむ人にして回る。そして教会にいらっしゃい。その赦しをいつも豊かにいただける場所ですよ。イエス様に出会える場所ですよ。

　教会という祭司の王国って―祭司って神と人とを結びつける役割の人ですね―そういう祭司たちが国民となっている国なんです。そういう人が集っている。

　この祭司の王国は、ヨハネの黙示録の新天新地まで続いております。わかりやすく言えば天の御国。イスラエル12部族になぞらえて12人を遣わした、ということは、天の御国の完成の絵を、イエス様は群衆を見ながら、ぱーーーっと描いておられるんです。

　ヨハネの黙示録を読んでご覧になると、12、という数字がたくさん出て来ることにお気づきになると思います。黙示録第21章と第22章の新しいエルサレムの光景です。

新約聖書　ヨハネの黙示録第22章2節
都の大通りの中央を流れていた。こちら側にも、あちら側にも、十二の実をならせるいのちの木があって、毎月一つの実を結んでいた。その木の葉は諸国の民を癒やした。
　
新約聖書　ヨハネの黙示録第21章12、14節、21節
12都には、大きな高い城壁があり、十二の門があった。門の上には十二人の御使いがいた。また、名前が刻まれていたが、それはイスラエルの子らの十二部族の名前であった。

14都の城壁には十二の土台石があり、それには、子羊の十二使徒の、十二の名が刻まれていた。

21十二の門は十二の真珠であり、どの門もそれぞれ一つの真珠からできていた。都の大通りは純金で、透明なガラスのようであった。

　そんなふうに、祭司の王国である、新しいエルサレムは、私たちに約束されている天の御国です。第4章には、天上の礼拝の姿が描かれています。(第4章を携挙された教会と取るのは少し極端な意見です。)

新約聖書　ヨハネの黙示録第4章4節、10節
4また、御座の周りには二十四の座があった。これらの座には、白い衣をまとい、頭に金の冠をかぶった二十四人の長老たちが座っていた。

10二十四人の長老たちは、御座に着いておられる方の前にひれ伏して、世々限りなく生きておられる方を礼拝した。また、自分たちの冠を御座の前に投げ出して言った。

　二十四人というのは、12人の二倍です。ですから、これを旧約から12人、新約から12人と取る人もいますし、ユダヤ人から12人、異邦人から12人と取る人もいますけれども、いずれにせよ意味は、完全な祭司の王国が、この天の御国において完成している、ということなんです。そして、大勢の人々が、風に吹き飛ばされるもみがらではなくて、神さまの宝物として、神の蔵におさめられている。それがイエス様が描いておられるビジョンであり、絵なんです。黙示録には天使たちや聖徒たちが輝かしい讃美の歌を歌っているシーンがありますが、そのように天国の輝かしい光景を、ヨハネは描いてくれているのです。そして、その天の御国のひながたというか、それをちらりと垣間見せてくれるのが、地上の教会なんです。

ある人がこういうふうに言いました。聖書を読んでみると、神さまはご自身の存在を　証明するためにたくさんの議論をなさっていない。
イエス様が、神さまはいるということを証明しようとしてたくさんの演説をなさったというのはない。それでも神さまはご自身を証明されている。それは、【教会をお創りになることを通して証明なさった】。
この世の中にどこに神さまがいるのか。そう絶望して、打ちひしがれて、やけっぱちになっている人々が日本の地にも多くいらっしゃいます。
でも、この先生は、被災者の前でこの話をなさったんだそうです。被災した教会で話した。
この震災のため、教会員がひとりもいなくなったという教会はない。
この震災にショックを受けて、絶望して、牧師を続けられなくなって辞めたという先生は、聞いたことがありません。
むしろ、その中でたんたんと牧師も信徒も礼拝を続ける。祈り続ける。町のため、被災地のため、世界のために祈り続ける。
そういう姿を見て、被災地の教会において、ひとり、またひとりと、人々が加えられ続けていった。
そこに、祭司の王国があったからです。人々のために、町のために祈り続けた人たちがいたからです。そしてその背後に、神がおられて、「確かにあなたがたの中に神はおられる」と人々が信じたからでしょう。

　私たちは、この教会でも、祈り続ける。ここに小さな祭司の王国があります。
主イエスは、ここで、収穫は多い、だから、あなたが働き手となりなさい、とおっしゃったのではなく、「収穫のために働き人を送って下さるように祈りなさい。」とおっしゃいました。私たちは、孤独ではない。その天のみ蔵に、神様の宝物をおさめるために、働く働き手を、世界中で増し加えてくださるように、収穫の主に、そう、私たちが主ではない。そういう意味で、私たちが気負う必要はありません。収穫にさえ責任を持って下さる神に祈り続ける。そして、天の倉の大収穫を、私たちは、御国において、見させていただけるのです。

お祈りをいたします。
恵みとあわれみに富みたもう、私たちの主イエス・キリストの父なる御神。
あなた様は、御子イエス・キリストをお遣わしになり、そして私たちひとりひとりをも、呼び寄せ、尊(たっと)い御子の血によって買い取ってくださって、神の宝の民としてくださいました。そして、キリスト者ひとりひとりを、王である祭司としてくださいました。もったいないことです。恐れ多いことです。しかし、あなた様がはらわた痛むほどの愛をこの私に注いでくださり、そしてこの町の人々に、この国の人々に、この世界の人々に、等しく注いで、あなたをあがなった、だから帰っておいでと、ひとりひとりに声をかけていてくださっていますことを心から感謝いたします。ちまたには、痛み苦しみと絶望とがあふれ、ずたずたに打ちひしがれている人々が多くおります。主よあわれんでください。いやあなたがあわれんでくださいました。この人々に、あなたの深いあわれみを、あなたの赦しと愛の宣言をして回る者とされておりますことを心から感謝いたします。なおこの務めに、おひとりひとりを励ませてください。いつもイエス様が描いておられる絵を、ぱーっと心に魂に描かせていただきながら祭司の働きをし続けることを得させてください。そのような群れとして、私たちを育ててください。また世界中の教会において、そのような祭司・働き人を起こし続けてください。主イエス・キリストの御名によって祈り願います。アーメン。